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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.3 冬の朝は焚き火
                                    2001年12月1日発行
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■冬の朝は焚き火

最近朝がめっきり寒くなってきました。最低気温が5度を下回ることが多くなり、霜が降りることももう間もなくと思われます。こういう寒い朝、漁師たちは岸壁で焚き火をします。

都会では焚き火そのものを見る機会が少ないと思いますが、ここでは港のあちらこちら、多いときには5箇所くらいから煙が立ち昇っています。それぞれ4・5人が焚き火を囲んで昨日のことや今日の予定などを話します。体が十分に温まったり話が尽きたりするとそろそろ出港ですが、海上を走るブリッジの陰にいても風が体に当たらないようにしてても体が冷えてきます。今は防寒もしっかりしてたり、ブリッジ内に人が入れるように作られていたりするので、寒さも昔ほどではないようです(それでも寒がりのゴーヘーにとっては寒い!)。

昔は漁に出てあまりに寒いと船の板を外して船上でも焚き火(!)をしたそうです。当時の船は木造船だったので、甲板の板など焚き火の燃料代わりになる木の板がいくらでもあったとか、、、でも、木造船上で焚き火をしてそのまま船が燃えたりしないのか気になったので、ゴーヘー父にその点を聞いたところ、「船を燃やすようなたあけた(馬鹿な)ことはせん。それに水なら周りにいくらでもある」と自信たっぷりな即答^^;;。こりゃ、1度や2度、船を燃やしているかも??

さて、岸壁の焚き火に話を戻します。

これらの焚き火を囲む人の輪はどこも火からちょっと離れています。実はとても熱くてちょっと近寄れないくらいなんです。それもそのはず、焚き火のイメージから程遠いほど炎が大きいのです!だいたい人の身長ほどの高さは必ずあって、流木や建設廃材、ばらした網など、燃えるものはなんでも燃やしています(^^;。時々炎が3mくらいまで上がって、火の粉が遠目にもたくさん飛んでいるのが見えたり、黒煙がもうもうと立ち上っていることもあります。「大丈夫か?」なんて心配することもあるのですが、やはりあまり派手に燃やしていると漁業組合を通じて注意・苦情がくるみたいです。なんでも岸壁はコンクリートの塊のようで実は内部に鉄筋や石(骨材と呼ぶらしい)が入っていて、大きな焚き火を起こすとその焚き火の熱が岸壁内部の鉄筋や骨材に伝わり、それらが熱膨張してコンクリートにひびが入るらしい。岸壁の修理はとてもお金がかかるので漁業組合や行政が神経質になるのみたい。

でも、なんど注意されても焚き火は止められない(^^;。だって、朝はとっても寒いから!




■今週のゴーヘー

○11月某日
午前5時半出港。一旦東へ行くも風が出てきたのと空だったのとで1繰りやっただけであいば尻に戻ってきた。すでにFH丸とYS丸が漁をしてた。無線で聞くとどちらも空が多いみたい。
風が強くなる一方で午前10時半頃帰港。網をきよう(繕う)。今日は網の破れも少なくきよい易かったのが、2反めの終わりにあば(浮き)からや(錘)にかけての大破れがあり大苦戦。ゴーへー父から通常とは逆にあばを手前にしてきようとやりやすいと教わる。こんなやり方は初めて知った。なんて柔軟な発想!頭の中で電球が灯る気がした(笑)。


○11月某日
今日は風になる天気予報。朝船着き場に行くと港の水面が見事に縞化ている。午前6時に出港しつかわ瀬に建て込みを籠に2杯やって帰ってきた。
午前10時頃強風の中建て込みを上げに出た。つかわ瀬の北側の建て込みにまた大だこがかかっていた。たこ籠にはなかなか入らないけど網にはほんとよくかかる(なぜ?)。「たこ網」ってできないかと一瞬本気で考えた(笑)。


○11月某日
ここ2日ほど建て込み&カレ網の2本建て。夜建て(夜の建て込み)もやってる。これだけやってやっとがカレイ12kgあった。大だこも1匹いた。昨年の2倍漁をして半分の水揚げ、、、参ったなぁ。
今年の海はいったいどうなっちゃったんだろう?海苔が順調に育っているので海水温が高すぎたり低すぎたりしてるわけじゃない。雨が少ないのは気になるけど去年のように多すぎるよりいい。他の漁法(船引き網、底引き網、流し網、定置網)の様子がよくわからないけど、特別良いという話も聞かない。しろめ(ジャコ)引きの様子は無線で流れてくるけど不漁が多い気がする。カレイのような海底の魚が捕れない時はちょっと気がかりがある。地震が近いのかなぁ。東海沖地震が近いという報道も最近目立つ。このあたりは内海だから高い津波の心配はないけど、地震の揺れは震度5とも6とも言われているのできっとひどいだろうなぁ。ちょっとやだな。


○11月某日
今日は西の風が強く休漁。午前9時頃たこ籠を上げに行った。小さい蛸が3匹入っていた。今期のたこ籠はこれでおしまい。
日曜に海苔の初出荷だった。今年も有明の海苔が色落ちしているとテレビで報道していた。海苔の高値をあてこんで(あてにして)大井の海苔屋さ(海苔漁師さん)は海苔網の数を去年よりぐっと多くしていたが、果たしていかに?


○11月某日
今日も強風でお休みだ。さすがに本格的に冬に突入してきて風で出られない日が多くなってきた。前日の天気予報で西高東低の気圧配置だと翌日の朝はいつもより起床がぐっと遅い。ふて寝状態だ(笑)。海は北西の風に吹かれた波頭で白くなって見える。気圧配置が緩む日をひたすら待つのみ。天気には勝てんからなぁ。


○11月某日
朝5時起床。べんとうを詰めて2階の自分の部屋に上がり出かける支度をして階下の台所に戻ったところ、ゴーへー父が「まんだ、早いがな(早いけどな)」という。時刻は5時半で日の出までまだ1時間程度、確かにでかけるには早すぎる。で、テレビのニュース(日本テレビ系)を見ていたらいつのまにかゴーへー父がいない。玄関で物音がするので見に行くとすでにゴーへー父の長靴がない!おお、騙された!(笑)。あわててべんとう持って出かける。
今日も梶島に行く。島のまわりのいつもの場所をやっても中ガレイが1枚、新子(1年目のカレイ)が2・3枚しか捕れない。かわりにコノカサ(ヒトデ)が大量に捕れた(-_-)メ。黄色っぽいやつでほんとに人の手くらいの大きさがあってよく肥えている。エサのアサリを抱えたまま上がってくるやつもいる。体中に小さなイガイガがついていて網にひっかかかって実にとりづらい。網の袋に入って更に網にくるまっているようなヤツはなかなか取れなくて最悪だ。一繰りでたらいに一杯くらいあった。
梶島は三繰りやってやめて、あいば尻に行った。ここでも空か1・2匹しか捕れない。1枚だけ大ガレイが上がってきた。白い腹を上に見せて網の袋に入らずに網にもたれるようにして上がってきた。寒いのでおとなしく上がってきたけど(カレイも寒いんだねぇ)、ちょっと踊ったら(暴れたら)落ちていたところだ。全長40cmくらいありそう。その後時々カレイがかかることがあったけど午後1時近くまでやっても中カレイ5・6枚しか捕れない。おくごおりに行ったOA丸、FH丸が無線で話す内容を聞いていてもよくないようだ。

今期のカレ網も終わりだな。



大きさの比較のためラジオペンチ(長さ16.5cm、最大幅5cm)と比べて写真を撮影。わかりづらいけど一番厚い腹部(写真では下半分)で厚み5cm近くありました。


コノカサ(ヒトデ)とガゼ(ウニ)の写真です。コノカサは右側のタイプが多くかかります。やわらかくてふにゃふにゃしてます。写真のガゼは棘が寝ている状態なのでイガイガしていませんが、通常は棘が立っていて刺さるとすぐに折れてなかなかとれません。痛いです。


■エピローグ

先週ゴーへー通信に突然号外を出して皆さんを驚かせてしまい申し訳ありませんでした。ラン丸は随分弱っていたので死ぬことはある程度予想していたのですが、予想外の衝撃を受けてしまい狼狽し落ち込んでしまいました。

ラン丸が永眠して早1週間。玄関をでるとすぐ左手に物置があり、その中にはラン丸の小屋が置いてあって彼が自由に中を歩いていたのですが、この物置には未だ入ることができません。玄関を開けるとその物音で必ずラン丸が物置から出てきて出迎えてくれたものですが、今はそれもありません。まだこの新しい状態になれることができないのですが、きっと時間が癒してくれるものと信じております。

号外に対しいろいろな方から暖かい励ましのメール、掲示板への書き込みをいただきましたが、それぞれのお便りに返信する気分になれずそのままにしておりました。この場を借りて失礼をお詫びするとともに改めましてお礼申し上げます。みなさん、本当にありがとうございました。

さて今号のゴーへー通信はいかでしたでしょうか?焚き火をなさる場合はくれぐれも周囲に燃えやすいものない場所でなさってくださいね。ゴーへー通信の文中の解りづらい言葉にカッコで注釈をつけてみました。毎号ちょっとでも進化するゴーへー通信でありたいです(^_^)v。だってタイトルからして「ゴーへー(前へ進め)」なのですからね(^_^)。

次回ゴーへー通信は「透明度7m」と題してお送りします。配信予定日は12月15日です。お楽しみに!

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