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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.04 透明度7m
                                   2001年12月15日発行
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■透明度7m

日本の北から紅葉の便りが届くようになると、海も冬支度が始まります。11月、次第に海の透明度が高くなり始め、手繰る網が斜めに海底に向かって伸びている様子がよく見えるようになります。何も魚がかかっていないと潮の流れを受けた網が海中で下流に膨らんでいます。その様子を船上で見るのは実に寂しい。見える範囲で何もかかっていない(T_T)、、、アオサなどの海藻が網にかかっているともうげんなり。網の袋にカレイの代わりにアオサが入っていたり、網に絡まっているアオサはとても取りづらく、取るのにとても時間がかかる(-_-)メ。でもカレイがかかっていると底の方から白い腹を見せながら上がってくるので、網を手繰る手にも力が入ります!(^^)!

このように透明度が高くなると水深4・5m程度の海底が船上からはっきり見えるようになります。カレイかコチがいないものかと目をこらしますがやっぱり見えません(笑)。それより今自分たちが海に入れた網が海底に立っているのがよく見えます。それを見ると「などほど、建網だ」と妙な納得をします。ついでに魚がかかっているのが見えると楽しいのですが、やっぱりそんなに世の中(海の中?)は甘くないです(;_;)。

こうして魚がかかっていないとすでにわかっている網をあげていくわけですが(;_;)、背中から陽を受け風が凪いで波が穏やかになったりすると海底があまりによく見えるため、水がなくなってまるで船が空中に浮かんでいるような錯覚を覚えることがあります。地上4・5mの空中を網を手繰りながら移動しているような感覚です。斜めに6・7mくらい先の海底まではっきりと見えます。透明度が高い湖や南の海に潜ると空中遊泳しているような感覚になると聞いたことがありますが、それに似た感じです。汚れてきたと言われて久しい三河湾、伊勢湾ですが、まだまだ捨てたもんじゃないと思う一瞬です。




■今週のゴーへー

○12月某日
今月からナマコ漁解禁。ナマコ漁は2種類あって1つは長さ1.5m、幅40cmくらいの鉄枠(ケタ)に袋状の網を取り付けたマンガで海底を引く「マンガ漁」と、もう1つはメガネと呼ぶ先にメガホンの先にガラス板をはめたような筒で海底を覗き、先に返しのない針をつけた竿でナマコを引っかける「拾い漁」がある。
夜明け直前にゴーヘーとゴーヘー父は伝馬(「てんま」と読む、長さ5m程度の小舟)に乗り込み、浦前(大井漁港前)の灯台の周りをケタを引っ張る。今年は1番乗りだと思って引いてると、いわて(北側)のほうべ(地名)の先に伝馬が1パイ(1艘)いる。誰だかわからんけど、どうやらナマコを引いてるようだ。早いなぁ(-_-)。
さて、漁の方だが去年なら10分も引っ張ると大きなナマコが10数個袋(袋状の網)に入ってきたのだが、今朝はほとんど入らない。いつの間にか周りで他の漁師がゴーヘーたちと同じようにナマコを引いているが、みんなナマコが入らないようだ。付近をいろいろ引っ張ってみたが石ばかりでナマコは1つか2つしか入らない。そのうちほうべから伝馬が下ってきて他の漁師に様子を聞きに来た。どうやらYS丸みたいだ。ほうべもだめみたいだ。
OA丸が出てきた。彼は「拾い」でナマコを拾っている。見てる間に3つ4つと拾っていく。こりゃ拾いの方がよさそうだとすぐに港に戻って竿とメガネを持って出る。でもメガネが1つしかないのでゴーヘーは何もすることがない(-_-)。しばらくしてゴーヘー父からやって見ろと指示されメガネを覗いて拾ってみたがうまく拾えない。はっきり言って下手だ。すぐに交代させられた(T_T)。
ところで、ゴーヘー父の伝馬についている船外機は2ストロークのエンジンで古いため、排気ガスがとても臭い。ナマコを拾っている間は船外機が風上側にあるので、ずっと排気ガスをかいだままになりとても気持ち悪くなる。今日も気分が悪くなってきて11時半頃終わりにした。

○12月某日
今日も穏やかな天気だったが、ナマコ引きに行かずコノワタを取った。まだ水がそんなに冷たくないので、手がかじかむ(凍えて動かない)こともなく本来なら取りやすいのだが、小さいナマコが多いので作業ははかどらない。ナマコは7割方が黒ナマコで残り3割近くが青ナマコ。赤ナマコは10個くらいあった。黒ナマコのコノワタは少しだけ黒っぽいので青や赤とは別にしている。見た目がよくないので値段も少し安い。今年のナマコ漁はダメかもしれない。
今日は東海地区の大学対抗駅伝が行われているらしく、村の消防会館の前が賑わっていた。そこでたすきが渡されるそうだ。ちょうど漁港への入り口にあたるので、選手や関係者の間をそろそろと漁師の軽トラックが抜けていく。取ったコノワタを仲買の店まで持っていく途中、走ってくる選手達とすれ違った。速い!

○12月某日
強風。2日分のナマコのコノワタを取った。ゴーヘーは青ナマコのコノワタを取った後黒ナマコのコノワタを取った。黒ナマコのコノワタは少し柔らかく切れやすい。一層慎重に作業する。11時頃には終了。

○12月某日
朝から猛烈な風雨。午前中に組合に電話して注文した味付け海苔は明日受け取りに行くと伝えた。
午後、注文のあったお歳暮用の宛名書きを行った。

○12月某日
今日は強風。先日と同様15・6mの風が吹いている。
午前中に組合で味付け海苔「磯の香」をもらってきた。包装紙で「斜め包み」によるラッピングを行う。「斜め包み」とはいわゆるデパートでの包み方で「巻き包み」とも呼ばれているそうだ。この方法は見栄えがよく手間がかからない反面、「巻く」ところでテクニックがいる。デパートでバイトすればよかったと思うゴーヘーであった。


■エピローグ
今年の12月は例年になく強風の日が多いです。すでに1月になってしまったかのように毎日強風が吹きます。風が凪いでも1日ともたない。魚もナマコもつかまらないし、漁にも出られない。そんな八方塞がりの日が続いています。東海沖地震が妙に気になる今日この頃です。

さて、次回は12月29日(土)。今月から始まったナマコ漁とコノワタ取りについて書く予定です。題して「神業ナマコ拾い、かじかむコノワタ取り」。乞うご期待。

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