前一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.09 寒さは足の裏から
                                    2002年2月23日発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


■寒さは足の裏から

朝出漁の際には船の操船はゴーヘー父の担当のため、ゴーヘーは何もすることがなくブリッジ後ろの道具箱の上に後ろ向きに座っています。眠いときには転げ落ちないように注意しつつ、ブリッジにもたれかかって寝ていることもあります。

冬、座っているとお尻が冷えるため、発泡スチロールの板やキャンプ用の銀マットを座布団大に切ったものをお尻の下に敷いています。股引は必須です(笑)。風が寒さを増幅させるのでなるべく直に風が当たらないよう座る位置を工夫したり、上半身や足を懸命に動かして体を冷やさないようにしたりします。寒くなるとゆっくり寝てられないです(笑)。

漁を行う際にはゴムの手袋をはめて冷たい水で手を濡らさないように気をつけます。手が思うように動かないと網に指が絡まってそのまま指が引きちぎれる危険もあります。ただ中には普通の軍手をはめて網を手繰っている人もいます。魚の体はヌルヌルしているため、魚を網から外すにはゴム手袋では滑って不便な面もあります。それを嫌ってのことかもしれませんが、手がしもやけ・あかぎれだらけにならないかと不思議な気もします。

顔も風が当たると寒いので、目だし帽のような毛糸の帽子を頭からすっぽり被ります。更にヤッケのフードを被って冷気を防ぐ、という涙ぐましい防寒装備(笑)。ゴーヘーはとにかく寒いのが苦手。よくぞ漁師をやっていると感心します(笑)。

さて問題の足元ですが、これが実は一番大変。漁は甲板に立って行うわけですが、網を上げている最中の立ち位置は常に同じ場所でそこから1歩も動きません。魚を外したり汚れを取ったり上げた網を積んだりする時に動きがある程度で、ひたすら一カ所に立ったままです。体重がかかったままの足裏は血液の循環が悪くなり、すぐに足裏全体が冷えて痛くなってきます。足指も痛いです。海水でびしょぬれになった甲板が足の冷えを一層加速します。

せっかくの防寒対策もあまり効果を発揮せず、足裏からの寒さで体が震えだします。一刻も早く例の道具箱に腰掛けて足裏を冷たい甲板から開放してあげたい、とひたすら考えています。魚のことは考えないの?今は聞かないで〜(-_-;)。

これほど冷たくなっても足の指はちょっとしかしもやけになりません。なぜ?(笑)




■今週のゴーへー

○2月某日 晴れ、強風
今年最初のカレ網漁、のはずだった。朝6時に起床すると外では「ゴー」という風の音。とても出漁できない。トイレに立っただけですぐに布団へ逆戻り。


○2月某日 晴れ、強風
朝6時すぎに起床する。今日こそ、今年最初のカレ網漁。
近所のコンビニの幟(のぼり)はおとなしくたれている。風は無いようだ。明るくなってきて沖をよく見ると白波が立っている。北西の風が吹いているようだ。朝食を食べとりあえず家を出てみる。
船着き場に行くとやや風がある。西の空には風雲が浮かんでいる。ダメだったら戻ればいいとのゴーヘー父の言葉に船に乗り込みいざ出港。三河に向かって浦前の海苔の枠(海苔網を張ってある海上の枠)を越えると、波しぶきが頭から覆い被さってきた。波も風もひどいが一色前の海苔枠付近に来たら波は収まってきた。海苔枠をやり過ごし海苔そだ(海苔網を張ってある竹の杭)の近くに行って初網。案配ようカレイがかかっとるとええが、と思いつつ網を上げるが小さいカレイが1枚。その後アイバ尻に行って1クラやるもやはり小カレイが1枚。梶島まで行って1クラやるが中ガレイ1枚と大量のアオサ。
さしもゴーヘー父もこれでやる気が失せたか、船を西に向けて走りだした。いつの間にか風がとても強くなっていて、さっき通った海苔そだ付近でも波しぶきが頭から被ってきた。一色前の海苔枠から沖にでたら、1m近い横波が右からやってくる。船が左に大きく傾く。傾きすぎてペラが空転する音が聞こえた。これが2度あった。いつもながら船ってなかなか転覆しないものだと思う。
浦前までくると波はウソのように静かになった。船着き場に船が着くとすぐに網の汚れを取る作業にかかった。30分程度で終わる。初漁は散々だった。


○2月某日 快晴、風あり
朝6時すぎに起床する。風もなく良い天気、快晴。
中学校前を下っている最中にSK丸が戻ってきた(なぜ?)。すると片名前から急におくごおりに向けて走り出した。日間賀島を越えると波が高くなってきた。どうやら西浦は波が高く、それでSK丸は戻ってきたようだった。
オクゴオリに着くと昨日並の波。テトラポット製の防波堤の陰に入って1クラ目をやる。中ガレイ1枚、小ガレイ1枚。アオサ多し。OA丸もおくごおりにやってきた。あちこち転々として網をやっている。魚いないんだなぁ。
波が収まっていくとの予想に反し一向に収まらない。11時までやって小ガレイが3枚しかとれない。代わりにアオサが網全体にびっしりついた。8反すべてに付いたのは久しぶりだ。午後一杯アオサ取りだな。
最後の一繰りの後、網をカゴに入れた。どうするつもりだ?と思っていたら、ブルーシートまで被せてしまった。このまま1週間くらい放って置いて腐らせるそうだ。それから海に入れればきれいに取れるらしい。そうだよな、こんなにたくさん、取ってられないもんなぁ。


○2月某日 曇り、微風
朝6時すぎに起床する。曇り空だが風はない。今日は西浦に行くと言っていたが船は梶島を目指して走り出した。無線でOA丸がすでに内海前を走っていると言っていたので、もう遅すぎるとの判断か?
いつものように梶島の西の水かぶりのそばをやる。カレイの気がなし。足下が冷える。足指が凍るように冷たい。ガランガランを引く間、道具箱に座っているので少しだけ足に血が通う気がする。
梶島の東に換わって2クラやっても小ガレイが1枚あっただけで、大量のコノカサ(ヒトデ)がかかってきた。通りあい(吉良港と赤灯台の間)をやってもコノカサ。一昨年砂を入れたところをやってもなし。アイバ尻に行って2クラやってやっと中ガレイが2枚。小ガレイが2・3枚。まったくだめだ。秋にカレイがおらんかったで春もだめなのか?
ちょうど昼になってやめた。売れるだけの漁がないので直帰。船をつける直前に雨がしとしと降り出した。あわててうちで食べる分だけ持って帰ってきた。


○2月某日 快晴
朝5時40分頃起床する。今日は西浦に向かった。途中師崎前であげていた建て込みに大きなマタカがかかっていてビックリした。
向こうに着くとすでに他の船は2繰り目を上げ終わるところだった。OA丸の下りからやり始めて付近一帯をあちこちやったけど空ばっかり。たまに小さいカレイが1枚いる程度。大谷の海苔そだ傍をやっている時に常滑の船が付近に寄ってきてやり始めたけどどこも空が多いみたい。11時頃下り際にその中の1隻の船に寄って聞いてみてもやはり空とのこと。このおじいさん、素手で網を上げていた。無風快晴で暖かいとは言ってもまだ冬だよ。平気なのか?
小野浦で最後に一繰りやったけどやっぱりだめ。今日は中ガレイ2枚、小ガレイ2枚、セイゴ1匹の散々な成績。カネ大にカレイを置いてきた。4日分で2kg程度。はぁ〜。


○2月某日 曇り時々小雨
朝6時頃起床する。今日は雨との予想だったけど朝降ってはいなかった。出がけにぱらついた程度。いつでも帰れるように三河に向かった。
一色前からアイバ尻まであちこちやったけど、アオサと海苔以外は何もかからない。お昼までやってやっと中ガレイ3枚、小ガレイ3枚だった。昼飯後の最後の1繰りも空。今年はまだちょっと早いんじゃないか?


■エピローグ

今年のカレ網の出だしは最悪です。昨年より1週間早い出漁なので次週にはも
う少し取れるかもしれません。今はそれを期待するばかりです。寒さも峠は越
えたようで晴れていれば、朝8時頃にはもう寒さを感じなくなりました。家の
畑の早咲きの梅はもう満開で、水仙も花の見頃を過ぎました。近所の花ひろば
という観光農場では菜の花が満開です。もう春はそこまで来ているようです。


■次回予告

Vol.10「目が無くてもエサに困らない」
2002年3月9日(土)発行予定

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright (C) 2001-2002 Gohe.

Amazon
Google



前一覧


ゴーヘー通信トップ