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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.10 目が無くてもエサに困らない
                                     2002年3月9日発行
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■目が無くてもエサに困らない

陸上の多くの生物には目があります。
ほ乳類、は虫類、鳥類、昆虫。どれをとっても大抵2つ(昆虫の場合は複眼ですね)以上あります。他者を捉えて食料としている生物は獲物との距離が正確に測れるような目の構造になっていて、獲物とされる生物の方は捕食者をできるだけ速やかに見つけられるような目の構造になっています。いずれにせよ、目が生き抜くための鍵となっています。

一方海に中に視点を移すと、陸上とはまったく違った光景が見えてきます。魚類の多くは一般に捕食者であり常に他者を獲物として捕らえて生きています。したがって立派な目を持っておりその性能もとても良いようです。

皆さんは魚類以外の海の生物にどんなものを思い浮かべますか?

海で暮らすほ乳類は三河湾・伊勢湾にも生息していますが今回は割愛します。海藻などの植物も除きます。

ゴーヘー通信ではヒトデやウニが定番(笑)ですが、この他にナマコ、クラゲ、貝類、ゴカイ類、カニなど多くの生物がいます。そしてカニなどを除くとその多くに目がありません。見過ごされがちなことですが陸上の常識から考えるとまさに別世界です。

ゴーヘーは小さい頃から海を身近に遊び・生活してきました。ゴカイを捕って釣りのエサにしたり、アサリを採ったりしてしました。しかしそれらが何を食べて生きているかなんてその頃もその後も考えたこともありませんでした。

戻ってきて漁師になって毎日大量のヒトデやウニ、カニを目にするようになってようやく「こいつらは何をエサにしていきているんだろう?」から「どうやってエサを捜しているんだろう?」と思うようになりました。

ウニのエサは未だによくわかりませんが、ヒトデはすぐにわかりました。二枚貝、特にアサリです。触手を器用に動かして這って移動しながらアサリを捜し、海底から口を出しているアサリに出会ったらゆっくりとアサリを掘り起こして、五本の足でアサリを包み込み触手で貝殻を吸い付けて無理矢理開いて中身を食べます。ものすごい馬鹿力です(驚)。アサリが多いところにヒトデは涌いてでてきます(笑)。まさに食い放題!だからヒトデは目がなくてもエサに困りません(笑)。

一方のアサリのエサはなんでしょう?
アサリに砂だしをするとよくわかりますが、生きたアサリは貝を少し開いて口らしきものを2つ出して、常に海水を吐いています。口らしきものの1つは入水管でもう1つは出水管だそうで、常に海水を吸って吐き海水中の植物プランクトンなどの有機物を体内に取り込んでいるそうです。これまた目など要りません。新鮮な海水さえ身の回りにあればOK。

ここで陸上と海水中の大きな違いがわかります。陸上では空気中にエサにできるような微生物は大量に浮遊してはいません。せいぜい春の黄砂や花粉で人間が迷惑を被る程度ですね(しか〜し、この花粉が、、、目がシバシバする、、)。一方の海水中には大量のプランクトンがあって、光の届かない深い海底でない限り実にふんだんにあります。このふんだんにあるプランクトンのおかげで単にふわふわ漂っているだけのクラゲも、エサに困らず大量発生したりします。牡蛎やイソギンチャク、珊瑚の仲間などのように岩場に固着して暮らすことも可能です。

目がなくても手軽にエサが手に入る海中は、生物にとって陸上に比べてはるかに暮らしやすくて優しい環境なのかもしれません。




■今週のゴーへー

○2月24日(日) 快晴、強風
朝5時半頃起床。風はまだ吹いていた。途中で止んでいくだろうとの予想で出かける。
明神様の鼻を回るとさすがに波が高かった。ゴーヘー一人だったら行かないなぁと思いながら寒さに耐えていた(苦)。上野間前に行くとAW丸がすでに漁をしていたので、すぐイワテをやる。すると上げ端に中ガレイが3枚もかかっていてちょっと慌ててしまった(笑)。腹が少し黄色いよく肥えたカレイだった。上げ終いにも1枚いた。
三重の山々の山頂付近にまだ雪が残っている。風はその方角から吹いてくるから、冷たさが一層増すような気がする。
付近を丹念にやったけど時々中ガレイが1枚や小ガレイが1・2枚いる程度で、ほとんどカラばかりだ。風も波も一向に凪いでくる気配がない。
10時頃ガランガランを引っ張っているとき、ウケが波を被ってウケ紐が伸びるのが見えた。えらい風と波でウケに巻いた紐が伸びていくんだなぁと感心してると、ガランガランを上げ始めた。ゴーヘー父が上げたガランガランをしきりに気にしてる。そこでようやくガランガランに網を引っかけたんだとわかった(ゴーヘー鈍し)。
船のオモテに行くと、ゴーヘー父が「ゴヘせい」(と言われて妙に嬉しい)と言う。船が風に流されて網を引きずっていた。リモコンを操作してそろりそろりとゴヘする。手こずりながらもどうにか網を外した。
網を上げてガランガランで引っかけたところにきたら、タガ縄(アバをつける上側の紐)が切れていた。網はズタズタだった。すべて上げ終わってから破れた網を別な網と交換し、更に二クラほどやって帰ってきた。


○2月25日(月) 晴れ
朝5時頃起床。急に早起きになってきた。
外は予想外に寒かった。放射冷却で冷え込んだようだ。船で走り出すとじきに足が冷えてきて、特に足指が冷たくなってきて痛かった。参った。
内海前まで来たら後ろからカレ網らしい船が二ハイ走ってきた。たぶんYT兄弟だろう。うちの船もスピードを上げた。昨日やった上野間前まで行く。1番に網をやるのは気分がいいものだ。この最初のクラにカレイが3枚いた。後はたまに1枚いる程度でカラばかり。YT兄弟もすぐに下りに行ってしまった。
今日も相変わらずの漁だが風も波の昨日とは打って変わって穏やかで、そして暖かい。8時頃にはもう早朝のような寒さはなく、お昼近くには手袋をしていた掌が汗ばみ始めたほどだった。3月中旬のような気温だ。カレイが動くようになってきたはずだ。


○2月26日(火) 曇り
朝6時頃起床。遅い、、、。
曇りの日は朝だけでなく一日中寒い。今日は三河と梶島に行ったけど漁はさっぱり。10時半までやって小ガレイ2枚のみ。はぁー。
梶島ではカモメがたくさん水面に浮かんでいた。数千羽レベルだろう。皆しきりに水面をつついているから、たぶんコウナゴをついばんでいるんだと思う。今年はコウナゴがたくさんいるんだなぁ。


○2月27日(水) 曇り一時晴れ、夕方から雨
朝5時半頃起床。また遅い。
今日は雨が降るような天気予報だったけど朝は快晴だった。昨日に比べて暖かい。途中中須前あたりで船の左後方にスナメリの一群が見え隠れした。5・6頭はいただろうか。黒光りしたものが海中から浮かんで出たので最初はビックリした。
上野間に着いた頃雲が出てきて空一面が覆われた。一クラ目はまた上野間前の白い大きなウケの傍だ。網を上げると久しぶりの大漁で、大小8枚のカレイが捕れた。これまでの2日分だ。その後も4枚、6枚、2枚と続いたけど、尻すぼみでいつものカラの状態に戻った。
仲買には21枚置いてきた。重さ・値段は後日。8kgくらいあると思うんだけどなぁ。
家に戻るとメル友からフリースのソックスが届いていた。足が冷たいというゴーヘーの声に応えて送ってくれた。渋いグリーン色で早速靴下の上から履いてみるとぴったりのサイズだった。う〜ん、暖かい。明日の朝が楽しみだ。すぐにお礼のメールを書いた。


○3月1日(金) 快晴
朝5時頃起床。コンビニの旗が少し強めに揺れていた。
船着き場に行くと港内の水面がかなりシマケていた。ゴーヘー父は行けるところまで行ってみると言って船を出したが、明神様まで行くと北西の風が強く吹いていて何よりも波が高いので帰ってきた。


○ 3月4日(月) 快晴
朝5時頃起床。今日もコンビニの旗が少し強めに揺れていた。案の定明神様を回ると波も風も強くなった。それでも1日ほどではなく今日は戻らずにそのまま走った。内海前でまたスナメリを見た。体の色が黄土色っぽくて普通のスナメリと違ったけど、泳いでいる様子からスナメリと判断。
連日の上野間の沖で一クラ目をやる。直後にSK丸がイワテに網を入れた。この一クラ目で大小12枚のカレイが捕れた。大漁だ!(^^)!。10枚以上の大漁は何カ月ぶりだろう?ただし大きいけど痩せているのが気になる。みんなエサを喰って腹はぽんぽんにふくれているんだけど身は痩せている。きっと上がってきたばかりなんだろう。
二クラ目は6枚、三クラ目は3枚と減りあとは1枚か2枚捕れるだけだった。一クラ目の場所以外にはいないんだね。それでも去年の秋よりはいいかなぁ。昼飯あと2クラやって帰ってきた。仲買に持っていくと25枚で10kgだった。やっぱ痩せてたな。
今朝は真冬並に寒かったけど、いただいたフリースのソックスのおかげで足の冷たさがかなり緩和された。日中は3月下旬並だったようだ。三重の山々の山頂の雪が残りわずかになっていた。吹いてくる風も冷たさが少し緩んだような気がする。


○3月5日(火) 曇り
朝4時頃起床。外は真っ暗、海も真っ暗だった。とうとう本格的なカレ網が始まった。
上野間に着くとすでに明るくなっていた。風もなく穏やかで晴れてれば絶好の漁日和だ(^-^)。一繰り目はいつもの場所。今日は小さいカレイ3枚、大ガレイ1枚、計4枚だった。その後は1枚か2枚。時々カラの繰り返し。全体的にカレイが小さい。9時頃広瀬に行って一繰りやってみたがカラだった。すぐに下って苅谷の棒杭の沖でやった。ここでは大ガレイが1枚ずつ捕れた。
12時半頃ガランガランを引きながら弁当を食べた。その後2クラもやったおかげでカレイは21枚、8kgあったが、昨日に比べキロあたり400円値下がりしてた。たった1日で20%も値が下がるなんて株も真っ青の暴落だ。昨日より小さいものが多めだった分安かったということか、、、。


○3月8日(金) 曇りのち晴れ
朝4時半頃起床。コンビニの旗がパタパタとはためいている。結構風が吹いてそうだ。港に行くとコウナゴの船は一杯もおらんかったけど、水面はえらいシマケていた。
港を出ても明神様の鼻を回っても波は思ったほど高くはなかった。水を被ることもなく上野間まで進んだ。風はさほどではないが、波が案外高くなっていた。ドンブラコ、ドンブラコと昔話では悠長な波の様子だが、実際にその状態になるとのんびり網をやっていられない。ちょっとした生命の危機!すら感じる(-_-;)。
日が少し昇ってきたら風も強くなった。ビュービューと音を立てて吹いてくる。一人だったらこんな日は来ないね。来てもすぐ帰るよ、きっと。1クラ目はカレイが4枚いた。その後も1枚か2枚、時々カラ、の繰り返し。カレイの腹はエサでポンポンに膨らんでいるんだけど身は痩せている。背中に骨のスジがうっすらと見えるカレイもある。エサのあるこの場所であと半月ぐらい暮らさないと太らないよね。でも太る前に捕ってしまうからなぁ、、、。
10時くらいから11時位まで風が少し収まって漁がしやすかった。12時少し前に朝やった場所をもう一度やるとにわかに風が出てきた。ゴーヘー父の網を手繰るても次第に早くなって、最後は縄たぐり状態だった。風は勢いを増してきてあっと言う間に朝以上の波と風になった。どうして?今日は高気圧がせり出してきて風が収まってくるはずじゃなかったの?そんなことを考える余裕もなく全速で下り始めた。
一刻も早く野間の灯台を越えたい。ここはいつも波が高めでこんな時は一段と高い。野間の灯台が近づくと船のスピードを落としてそろそろと進んだ。どうにか波高になる前に越えることができたようだ。
内海前から豊浜前まで海苔の枠のタアカを走った。枠のおかげで沖から来る波が少しだけ弱まる。その間ゴーヘーはずっと左目がちくちく痛くて目をつむっていた。花粉症か?やだなぁ、、。
明神様を回ると左前方から猛烈な波しぶきが襲ってきた。そんな荒波の中、メジロドウマンを一杯に積んだ2人乗りの小舟が下っていった。すごすぎる、、、。カレイは18枚で6.5kgだった。1枚360g平均だなんてやっぱり痩せてるわ。


■エピローグ

今回は日記部分の日付をすべて入れてみました。本格的に漁が始まって書きたいことが多かったので、きちんと整理して書くために日付を入れてみました。しかし分量が多すぎたかもしれません。ゴーヘー通信には字数制限がない(^_^;)ためお許しください。
次号ではできるだけシェイプアップいたします。


■次回予告

Vol.11「通勤時間」
2002年3月23日(土)発行予定

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Copyright (C) 2001-2002 Gohe.

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