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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.100 漁師は短期
                           2005年8月20日発行
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■漁師は短期

今回のタイトルの「短期」は「短気」の間違いじゃないか?
あまりの暑さでゴーヘーもとうとう参ってしまったのかと心配された向きもあ
るかもしれません。エイやガゼの針が指に刺さってじくじくと痛い毎日ではあ
りますが、幸い暑気にあてられて参ってしまうようなこともなくタイトルも間
違いでもありません。

漁師と言えば「短気」の代名詞のような印象を持っている方は確かに多いでしょ
う。事実ゴーヘー自身を含めてゴーヘーの周りでは短気な漁師が多いです。ゴー
ヘー父の場合、ゴーヘーが網をやっている最中にちょっと網が絡まって落ちて
いったりすると「チッ」、網揚げ中に船が流されてその立て直しにちょっとも
たもたすれば「チッ」と舌打ちします。網に絡まったガニをはずしていてもす
ぐに外れないと大きなガニでもすぐにツメを折ってしまいます。他の漁師だと
一クラでもカラがあるとすぐに走って場所を変えます。潮が変われば魚がかか
るとわかっていてもその時刻が午後だとそれまで待っていられないです。ガマ
ンとか待つとかいう単語は漁師の辞書にないかもしれないです。

話しがそれました。漁師が短気なのは皆さんのご想像のとおりということで、
ここでは「短期」について説明したいと思います。

「短期」は説明するまでもなく「期間が短い」ことです。グーグルで「短期」
を検索すると短期アルバイトや短期大学などがトップページに表示されます。
これは短い期間で一定の成果を得たいという人々の思惑の表れかもしれません
が、世間の風潮がそういう傾向であることの証でもあるのかもしれません。

漁師も短い期間で成果を得たいと強く願っている人種です。おそらく漁業が職
業として成立する以前の狩猟採集時代から、漁師は短期で成果を上げることを
願っていたと思います。

できれば朝の一クラ目で大漁、四つガンコを抜いて帰ってきたい。一クラ目が
ムリでも二クラやったら大漁で帰りたい。二クラがムリでも三クラ目で。今ま
ではムリでも今度の一クラで大漁にしたい、と常に考えています。現実はそん
なに甘くないんで「せめて半日で」とか(笑)。結局「今日の所はどうにかカ
ンコ一杯になったからいいかぁ」と満足して帰ってくる。

この時一クラごとに結果がわかることが重要です。網にまったく魚がかからな
ければその近辺に魚がいない可能性が高まります。逆に1つでかかればいる可
能性が高まります(Vol.55「生まれた時から」を参照)。こうした一クラごと
の判断で次をどうするか決断しているので、「短期」は漁をする時の「基本単
位」のようなものです。漁師が短期である強力な裏付けとも言えます。

さて我々は「短期」を旨とする漁師なので、漁の最中は当然明日のことは考え
ていません。今魚がいるかどうかそれが重要でありわかりもしない明日のこと
なんて関心がありません。だから今日魚のいた場所で徹底的に網をやってきま
す。魚は流れて動いているものだから今日いた場所に明日いる保証はまったく
ありません。とにかく今日のうちに全部掴まえる!、という意気込み。明日は
明日の風が吹くさ、と。

この「明日の保証はない」という事実が漁師をして短期にしているのだと思い
ます。誰かに・何かに遠慮して魚を獲り残したり逃がしたりしても、明日・明
後日・一週間後・一ヶ月後あるいは一年後、自分がまたその魚を掴まえる可能
性はゼロです。むしろ他の誰かが掴まえてしまうでしょう。そうなる前に今こ
こにいる魚は全部自分が掴まえる!という気持ちでいるのです。

その点農業は漁師の真逆に位置していると思います。常に明日・明後日・一週
間後・一ヶ月後・一年後を考えて農作業をやっていることでしょう。作物を育
てるとはそう言うことだと思います。

漁師の短期志向(思考)は漁をしている限り変わりません。短期志向(思考)
は漁師が漁師であることの証であると思います。


■今週のゴーヘー

引き続きブログにてご覧ください。

http://blog.livedoor.jp/gohe/


■エピローグ&改装のお知らせ

ゴーヘー通信もとうとう100号に到達してしまいました。
ほぼ2週に1度のペースで3年9ヶ月あまり。長いようでもあり短いようでも
あります。バックナンバーにずらっとならんだ様子を見るとよくぞこれだけ書
き続けたものだと自分を誉めてあげたいです(笑)。

時々読者の皆様から頂くメールを励みに書いて参りましたが、今年は発行ペー
スも乱れがちでいささか不調気味でした。自分の意見や考えを発表する場があ
るのはとてもラッキーなことなのですが、その幸運に首まで浸かりながらもむ
しろ溺れかかっているというのが現状のようであります。

Vol.94から日記部分をブログに移しコラムだけでゴーヘー通信をお届けして参
りました。長すぎるメルマガを短くして読みやすくするのが目的でしたが、不
調の原因を取り除くには至りませんでした。

またサイト・ブログ・メルマガの3様において読者の動向が微妙に異なる、特
にメルマガと他の2つとは読者の行動に差があるようです。メルマガは読むけ
どサイトやブログは読みにいかないという読者は案外多く、平凡だけど世間に
あまり知られていない漁師の日常・漁の様子を届けたいというメルマガ発行当
初に抱いていた思い(もちろん思いはこれだけではないが)は、図らずも実現
しない形となっています。


随分かつギリギリまで悩みましたが、この100号を機に不調の原因である定
期的コラムを思い切って「不定期」にし、定期発行は日記部分だけに戻してみ
ようと思います。その際日記部分はブログの要約版と位置づけできるだけ簡潔
にまとめるようにします。場合によっては数日を割愛するケースもあると思い
ます。また「コラム」発行の場合は日記は割愛させていただきます。


「コラムが楽しみで読み続けてきたんだ」という読者の方には大変申し訳ない
のですが、これからもゴーヘー通信を続けてコラムも書き続けるために、「コ
ラム不定期、日記定期」への変更をご了解頂きたく存じます。


今後コラムに関しては海・漁と漁師がらみだけではなく、時事ネタを「漁師か
ら見た」とか「海から見た」という観点から書くことにもチャレンジしてみた
いと思います。


なお、「次回予告」は今回から発行予定日の記載に留めます。コラムを書く場
合だけタイトルを予告として入れさせて頂きます。

ゴーヘー通信は次号より大幅に改装いたしますが、今後ともゴーヘーならびに
ゴーヘー通信を応援してくださるようお願い申し上げます。


■次回予告

Vol.101 2005年9月3日(土)発行予定

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