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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.11-2 今週のゴーヘー
                                    2002年3月23日発行
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■今週のゴーへー(Vol.11の続き)

○3月14日(木) 晴れ
午前4時半頃起床。外に出ると空気が少し湿っていた。雨が近いんだね。
今日は暖かくて風もなく快適な出だしだった。船底や引き波の波頭が青白く光るときがある。夜光虫だ。こんなに気温が低い時期でも光るんだね。
山海前を快走中、突然ゴーヘーの右手にカラカラと音を立てて海に流れ落ちる物が現れた。すぐに網だとわかりゴーヘー父に伝えてエンジンを止めた。なぜだかわからないが網が勝手に海に引き吊り込まれていた。船の勢いがついているので、網がどんどん繰り出されていく。かといって不用意にゴスタンすると、網がペラに巻き付いてしまうかもしれない。綱状態になった網をしっかりにぎり船が自然にすこし横向きになるのを待ってゴスタンした。
暗くてよくわかないがオモテからトモにかけて網がくしゃくしゃになって横たわっていた。とにかく海に繰り出した網を縄たぐりで手繰って船のオモテに引き上げた。呆然。8反約250mの網がどうしようもなく、くしゃくしゃに絡まっていた。まだ暗くてどうすることもできないので、引き返すかと思いきや、そのまま上野間目指して船を走らせた。網をもう1セットカゴに入れて積んでいたので今日はそれを使うようだ。
上野間についたらまず絡まった網を横へ押しやり、網をやる最低限のスペースだけ空けた。一クラ目の網を入れてから絡まった網をほどきにかかった。8反の網とウケ4個、両端の碇とボンデン、それらを網に繋ぐ紐がどうしようもなく絡まっていた。本来上に積んであったはずの網から順にほどいてそろえた。20分くらいしてようやく半分の4反をそろえてカゴに入れた。網はあちこちが破れていた。残り4反はくしゃくしゃのまま一クラ目の網を上げ、終わるとすぐに二クラめを入れた。またガランガランを引きながら残り4反の網をそろえた。すぐ下りでSK丸が網を入れた。20分位してようやくそろえ終わった。
それにしてもどうして急に網が船外に落ちたんだろう?昨日の激ドンブラコ状態でもボンデンや碇が勝手に海に転げ落ちることがなかったのに、今日のような静かな状態の海でなぜ落ちるものか?ちょっと考えづらいよな。う〜ん、わからん。考えられないことが起こったとしか考えられない(-_-;)。こんなこと初めてだ。
おかげで漁の方はさっぱりだ。


○3月17日(日) 晴れ
午前4時半過ぎに起床。ちょっと寝坊。急いで支度をしてでかける。船着き場にいくと丁度SK丸が出て行くところだった。すぐに船を出す。
上野間のいつもの場所にはSK丸が先に着いて網をやった。我々はすぐ下り(南)側に網をやる。場所は早い者順だからしかたないね。で、網を上げ始めると意外にカレイがかかっていた。大小含めて8枚とマタカ1本。いい感じだ。
2クラ、3クラ目はカラだったけど、4クラ目でまた8枚かかった。今度は小さいカレイが少ない。いい感じだ(笑)。この頃SK丸はすでに下りに下がっていた。きっとカレイがいなかったんだね。我々は海苔の枠を間をあちこちやった。カラもあったけど、2・3枚ずついるときもあって今日はカンコの中がカレイで賑わっている(嬉)。
昼近くになると気温が上がって暑くなってきた。中に来ているセーターを脱いだけどまだ暑い。つい先週まで寒さで凍えるほどだったのに、もう暑いなんて季節の進み具合が早すぎるぅ。
帰り、ゴーヘー父は先日破れた網をキヨウ(繕う)ため、ゴーヘーが船の舵を取ってきた。内海前を通過するとき1頭のスナメリが船のすぐ左舷そばをイワテ(北)に泳いでいった。はっきりと体が見えるほど近づいたのは今日が初めてだ。案外小さかった(1.5mくらい)。その直後前方の海面が妙に盛り上がるのがいくつも見えた。あ、スナメリだ!と思う間もなく、スナメリの群れの中に突入!。少しでもスナメリを避けようと舵を右に切った。船底にスナメリが当たる音はしなかったし、後ろを振り返っても海が赤くなることはなかったので、スナメリを傷つけることはなかったと信じたい。
明神様(知多半島の先端の灯台)の傍に来ると往来の船の引き波でいつものように波が高くなった。ここから片名前(かたなまえ)までは船の往来が激しいのでいつも緊張する。引き波に乗ると急激に船体が左右に振られるのでひっくり返りそうな気がしてかなり怖い(;_;)。なんとか無事(笑)ここを過ぎて台船に船をつけたのだが、この瞬間も緊張する。前方には岸壁とテトラポットがあり、船の引き波で付近は大荒れ状態(-_-;)。スクリューの回転を止めても船は急には止まらない・・・止めるためにはゴスタンしなきゃいけない。前回はゴスタンが遅れて、テトラにぶつかりそうになった(T_T)。今日はなんとか止められてホットした。。
今日捕れたマタカは甥っ子の中学卒業祝いに持っていくことにした。


○3月19日(火) 晴れ
午前5時頃起床。風になりそうなので行くかどうか迷うが、風が吹いてくれば戻ってくればいいと言って出かける。船着き場に行くと他のカレ網の船は皆岸に着いていた。コウナゴは休みみたい。船のエンジンを掛けようとして、ゴーヘー父が燃料を確認するとなんと昨日のままだ。昨日油屋(ガソリンスタンド)に給油するように頼んでおいたのにやっていない!ゴーヘー父はいたくご立腹。油が無くては漁ができないので、仕方なく家に戻る。
6時40分頃ゴーヘー父が油屋に電話して給油してもらう。7時ちょっと前船に行き、とりあえずオクゴオリを目指して走る。
佐久島までの中間点来たとき、突然船底でドンッという鈍い音がした。流木じゃない、なにか柔らかいものが当たる音だ。船の後方に浮かんでくるものはなかった。すぐに船のスピードを緩めて音のしたあたりに戻ってみたけどやはり何もない。スナメリでも当たったかと思ったのだが、、、
福江の一番西側の海苔枠のすぐそばで一クラ目をやる。風がなく穏やかで海の表面が空の色や日の光を反射してゆらりと揺れている。北西の方向、日間賀付近の海の色がにわかに濃くなってきた。じきに風が来るだろう。
網を上げ始めると海藻がびっしり着いてきた(苦笑)。その海藻を取りながら網をようよう上げていると、予想通り風が出てきた。まだそよ風程度だから漁には影響ない。二クラ目を西のテトラポットの前でやる。ここでも海藻が更に多く網に着いてきた。ゴーヘー父の網を上げるスピードが緩くなった。どうにか網を上げ終わると、梶島目指して走り出した。小ガレイ3枚でこんなに網が汚れてはこれ以上やっていられない。
15分後、梶島に着くとすぐに東の桟橋の傍に網をやる。ところがここでも海藻とコノカサ(ヒトデ)、ガゼ(ウニ)がたくさん網に着いてきた。梶島もダメだ。西に船を向けて走り出した。程なくアイバ尻で漁をしている船に近づいた。片名のAE丸だ。聞くと朝から小ガレイが2枚だって。どこをやってもカレイがいないらしい。しばらく話した後、少し離れて網を海に入れた。網の汚れを少しでも取りたいからだ。汚れを取りながら網を上げると、すぐに帰ってきた。
港に着いたのは11時半丁度だった。それから昼飯を挟んで午後3時まで2人がかりで7反の網の汚れを取った。髪の毛のように細く海藻が束になって網の結び目にからみついていて、とても取りづらいから時間がかかる。残り1反はギブアップ。乾かしてから網を揉んで海藻を取ることにした。参った。


○3月21日(木) 曇り
午前5時頃起床。今日は春一番が吹くという天気予報だったので、何時にそれが吹き出すかが一番の関心事。5時半頃そろりと出港。もうあまり寒くない。急に春になった。
上野間のいつもの場所より少しタアカ(岸側)で網をやる。1クラ目1枚、2クラ目6枚。これまでよりカレイが少し大きい。8時半頃、弱い北より風が南に変わった。南から雲がどんどん流れてくる。
6クラ目で5枚いた。10時頃風は東よりに変わって少し強くなってきた。空一面薄い雲に覆われた。7クラ目カラ。風が止んだ。じきにマゼ(南風)が強くなってくるだろう。漁を切り上げて帰る。
下るにしたがって南よりの風は少しずつ強く波は高くなってきた。豊浜前で50cm〜1m位の波になる。船の速度を少し落として進む。コウナゴ漁の船は大きいのでこの波でも勢いよく走っていく。
仲買には15枚、7kgのカレイを持っていった。カレイがだいぶ重くなってきた。今が美味しい時だよね。港に戻るとKA丸からコウナゴをもらった。ちょっと大きい(長さ5cmくらい)ので値段が安いらしい。カゴ1杯(約20kg)1,000円だそうだ。コウナゴ漁が始まったときがカゴ1杯2万円だったからなんと20分の1に下がった。水揚げ高がまったく違うから単純な比較はできないけど、コウナゴに比べたらカレイの値段の下落は誤差の範囲内だなぁ。(苦笑)


■エピローグ

今号はエピソードが多くてどうまとめるか悩んだ結果、読みやすさを考慮して2通に分けました。紙の雑誌ではこんなことできないので、電子メールゆえの利点ですね。

さて、ゴーヘーが漁師になって最初に思ったのは、漁師にも通勤時間がある、ということでした。漁場に行くまでにある程度時間がかかる。「どこでもドア」がほしいくらいです。特に波の高い日は、、、(^_^;)

長距離通勤に関する楽しいHPがありました。
駅までたったの40分!
このHPの放浪の日々には個人的にとても共感するものがあり、通勤アイデア集はそこまでするか?と目を覆いたくなるほど(笑)のアイデアで一杯です。


■次回予告

Vol.12「漁村の春」
2002年4月6日(土)発行予定

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Copyright (C) 2001-2002 Gohe.

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