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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.111 愛知の漁業
                           2006年1月21日発行
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■愛知の漁業

ここ2・3年中部地区が元気だというニュースや報道をテレビや新聞でよく見
かけます。特に昨年は2月にセントレア(中部国際空港)開港、3月〜9月が
愛・地球博の開催があり中部地区、殊に愛知の景気・経済が絶好調を迎えた感
があります。

そんな地域経済の中で名古屋という大消費地を抱え愛知の漁業もなかなか健闘
しています。

愛知は2つの内湾を持ち、そこに流入する数多くの河川により漁業には好都合
な豊かな海となっています。この海で獲れる魚介類はシラス、コノシロ、スズ
キ、アナゴ、イカナゴ(小女子)、クルマエビ、ガザミ類(ワタリガニなど)、
シャコ、アサリ、バカ貝、タイラギ、マダイ、クロダイ、海苔、ワカメ、アオ
サ、アワビ、サザエ等々多くがお馴染みのものです。このうち水揚げ高が全国
上位のものは(平成15年、カッコ内はシェア%)、
 1位:シャコ、トラフグ(外海)
 2位:シラス(10.9)、コノシロ(16.4)、アナゴ類(11.2)、ガザミ類(12.6)、
    アサリ類(23.8)
 3位:クルマエビ(13.4)
 4位:スズキ類(6.4)
 5位:イカナゴ(7.0)、海苔養殖(6.5)
となっています。内水面(川や養殖池)でもウナギ(32.3)と金魚が2位、アユ
(10.0)が3位です。トラフグは内湾ではなく主に外海となります。

これらの魚介類を獲る漁業種類(漁法)としては、小型底引き、巻き網、刺し
網、釣り、延縄、小型定置網、地引き網、船引き網、潜水、採貝、採藻、海苔
養殖などがあります。水揚げ高別が全国上位(平成15年、カッコ内はシェア%)
のものは、
 1位:船引き網(12.7)
 3位:小型底引き網(3.4)、潜水業(12.8)
 4位:採貝(9.4)
となっています。小型底引き網の全国シェアが3.4%と低いにも関わらず順位が
高いのは、北海道が71.1%と断トツ1位のシェアを誇っているためです。2位愛
媛が3.7%なので愛知との差はわずか0.4%しかありません。愛知の小型底引き網
漁は実質全国2位とみても良いでしょう。

このように愛知の漁業は水揚げ高で全国有数のシェアを誇るものがたくさんあ
るのですが、総水揚げ高(総生産高)、生産額でみると
 ・総水揚げ高:19位(105,544トン)
 ・生産額:20位(243.83億円:海水面のみ)
と真ん中よりやや上というレベルでしかありません。ちなみに1〜3位の顔ぶ
れは
 ・総水揚げ高
  1位:北海道(1,673,500トン)
  2位:宮 城( 400,369トン)
  3位:長 崎( 312,604トン)
 ・生産額
  1位:北海道(2,475.94億円)
  2位:長 崎(1,086.30億円)
  3位:北海道( 959.43億円)
です。北海道は農業のイメージが強いですが実は漁業で全国断トツ1位なので
すね。長崎で漁業が盛んなこともよくわかります。

話しを元に戻します。

愛知の漁業は全国有数のシェアを誇る魚介類が多いにも関わらず、総水揚げ高、
生産額では平凡な結果となっています。これは漁業経営体数や世帯員数、漁業
就業者数でも同様です。このような結果は愛知の漁業が沿岸漁業と海苔養殖・
内水面養殖が主流であるためだと考えられ、漁を行う2つの内湾が全国有数の
豊かな海であることの証しだと考えられます。大消費地も抱え愛知の漁業と漁
師は大変恵まれているわけです。


しかし、愛知県内に限定して見てみるとまったく違った景色が見えてきます。

まず県内の農業との比較では
 就業者数 漁業:5,304人、農業:117,280人
 生産額  漁業:243.8億円、農業:3,258.6億円
 平均所得 漁業:432万円、農業:162.5万円
就業者数で22倍、生産額で13倍の差があります。その一方で平均所得は漁
業の方が2.6倍も高いという逆転現象があります。農業の場合は低い所得を
他の仕事で補っている人が多いようです(いわゆる兼業農家)。

こうした数と金額の差は行政の「農業重視」という姿勢に強く表れてきます。
現代日本は多数決を旨とする民主主義の国ですから数が多い方がより重視され
るわけです。補助金や振興資金もその多くは農家向けのもので、漁師が最も多
いここ地元自治体でさえ漁師向けのものはほとんどありません。そしてなによ
りも農業重視を象徴しているのは海岸・浅瀬を埋め立てて農地を作ることです。
その逆は決してありません。これは愛知に限らず日本全国の海で共通している
ことではないでしょうか(諫早湾が象徴的ですね)。

(あ、念のため言っておきますがゴーヘーは多数決・民主主義に異論・反対す
るわけでも、自治体の補助金がほしいわけでもありません。(^_^))

地域住民も遠くの漁港に行かないと会えないような漁師の人より、近隣でよく
見かける農家の人の方により親近感を覚えるというものでしょう。

工業や商業とも比較したいのですが、これはもはや比較するまでもないですね。
海岸・浅瀬の埋め立て理由が工業団地を造ることに変わるだけです。


生業(なりわい)としての数の差は変えることのできない現実です。かといっ
て、漁業資源が減少しつつある今、漁師の数がこれ以上増えて一人あたりの水
揚げ高が減ってしまうのも困ります。現実は漁師の高齢化・後継者不足で漁師
の数は減少傾向にあるので、利己的な思惑とは関係なく数の差は広がるばかり
です。

それでも、愛知の漁業も漁師もがんばっています。自分たちが生き延びるため
にただがむしゃらにがんばっています(^_^)。


注:本稿は愛知県農林水産部刊行の「水産業の動き2005」を参照しており
  ます


■先週のゴーヘー

○寒いですね〜


■今週のゴーヘー

○灯油代が _| ̄|○


■エピローグ

今月も寒い日々が続いていますが暦を見ると大寒は20日で、寒の内はまだこ
れからなんですね。今冬はず〜っと寒の内状態で過ぎていくのでしょうか。

こうした寒さに合わせたのか、株式相場も急落で寒々としてきたようです。一
昨年からメディアを賑わしてきたライブドアが風説の流布で証券取引法違反、
粉飾決算で商法の特別背任の疑いだとかで売りが殺到し、その売りが他の銘柄
の売りを呼んで一気に市場全体が値を下げてしまったとか。ライブドアは1日
で1,500億円、4日で3,500億円も時価総額が減少したと報道されても、全然実
感もわかないしそもそもそんな金額見たこともないし(笑)。TBSの朝ズバで
みのもんたさんがレインボーブリッジの建設資金と比べてたけど、へぇ〜そん
なもんかぁ、というのが感想。実物に喩えると?わかりやすいけど、橋見たっ
て金額が実感できないことには変わりないです。

というわけでゴーヘー通信のVol.109での予想が当たるのかどうかが、投資家や
市場関係者の心配をよそに、非常に楽しみな展開になってきたなぁと一人勝手
に思っている今週末であります。

あ、抗議のメールとか送らないでくださいね(^_^;)。


■次回予告

Vol.112 「絶滅危惧種」 2006年2月4日(土)発行予定

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