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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.13 アサリかき
                                    2002年4月20日発行
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■アサリかき

村の浜辺は砂浜ではありません。ほとんどが泥と石に覆われていて、泥の中にも石がいっぱいあります。石のサイズも数センチからこぶし大、さらにはひっくり返せないほど大きなな石まで様々なサイズがあります。一般の潮干狩り場のような砂浜はどこにもありません。

このため潮干狩りによく使う小さな熊手は役に立ちません。泥の中に熊手を差し込もうとしても石に当たって歯が立ちません。うまく入ったとしても石を引き起こす際に熊手の爪が曲がってしまうかもしれません。

村の漁師達は手堀の際、独特の「カギ」と呼ぶ道具を使用します。カギは爪が1つしかありません。この爪は長さ7〜10cm、最大幅3cmくらいの平べったい形をしていて丈夫です。泥にめり込んだ石を掘り起こしたりする際には威力を発揮します。反面爪が1つしかないので効率が悪い面があります。それでもうまい人はカギ1本で20kg以上のアサリをかきます。

カギを使った手堀にはかく場所によって三つのパターンがあります。一つは水が完全に干上がった場所でかく方法。二つ目は水が引いたばかりでまだ水たまりがある場所でかく方法。三つ目はまだ水がある場所(水深数cm)でかく方法です。それぞれ使用するテクニックが微妙に異なります(笑)。

完全に水が干上がった場所では目で見てアサリを区別します。出てくるアサリが泥まみれのため小石との区別がつきにくいのですが、目で見て一度に判断できるので多少の見落としに目をつぶれば効率のよい方法です。

二つ目の方法は水たまりの水をうまく利用して掘った場所に海水を満たしてアサリと泥・石を洗うようにして区別します。周りの泥を満たした海水の中に落として手とカギで泥を手前に引き寄せるときにうまくアサリを峻別でき、アサリについた泥が水で流されるので見落としが激減します。

三つ目の方法は完全に手探りになるため効率は一番悪いですが、水の中のため誰も掘っていない場所であれば一カ所でたくさんのアサリを採ることができます。

この他胴長を履いて海の中に入り手堀りで掘る方法と、腰マンガと呼ばれる道具を使ってアサリを採る方法もあります。腰マンガはかなり大量にアサリが採れるので魅力ある方法ですが、これは完全に「漁」であり一般の潮干狩り客が行うことはできません。




■今週のゴーヘー

○4月6日(土) 晴れのち曇り
午前3時半頃起床。オクゴオリに行くにはちと早すぎるが、暗いうちに向こうについて先に場を取っていよう(笑)。で、東の空が明るくなり始めたばかりの午前5時、オクゴオリの福江に着いたらすでにカレ網の船が3杯(隻)もいた!TA丸、OA丸、FH丸の3バイだった。
この場所は海中に折れて沈んだコンクリート製の棒杭(防波柵)が一列に並んでいて、漁船には危険なためキイタンポ(黄色い航路標識)が浮かんでいるのだが、このキイタンポが列の片方にしかないため棒杭の正確な位置が薄暗い中ではわからず、うかつに近寄ることができない。
もう少し明るくなるまで待とうと皆付近をうろうろするが、5分もすると棒杭から一番遠いTA丸が網をやり始めたので、OA丸、FH丸もそれに継いだ。しかたなくゴーヘー達もキイタンポの傍で注意して網をやりはじめた。
1クラ目は小カレイ3枚だけだったので、2クラ目は沈んだ棒杭の反対側の端に行ってやる。大ガレイ1枚を含むカレイ6枚+アイナメ1匹が捕れた。3・4クラ目がカラだったので、5クラ目から黒部の東側防波柵の傍に行く。昼まで9クラ連続して西側防波柵との間でやる。カレイが中小25枚、コチが中小3本捕れた。よかった。
途中10時過ぎ頃からマゼ(南風)が強く吹き始めた。かなり強く吹き付けてきて網をうまく広げられないほどだった。三河や西浦ではまだ凪いでいるようで、そちらでマゼが吹き始めたのは昼頃だった。


○4月8日(月) 晴れ、一時曇り
午前5時、オクゴオリの福江に着くとすでにOA丸とTA丸がいた。後からFH丸がついてきており、四杯の船があたりをうろうろ。ゴーヘー達は十八番に行って薄明るい中網をやる。手元もよく見えないくらいの明るさだから網を繰り出す手つきが心許ない。この一クラ目は小カレイ3枚+アイナメ1匹。アイナメはまた丸々と太って大きかった。
二クラ目から昨日と同じ黒部の防波柵の間に入った。大きなカレイは少ないが毎回2・3枚ずつカレイがかかる。
午前9時頃江比間の港前に行く。FH丸も傍に来たが一クラやってまた西に戻った。ゴーヘー達は小カレイが1枚かかったのでそのまま続けていたら、江比間の港の東側でコチが2本かかった。そのうち1本は大ゴチだった。更に港の西側でもコチが2本かかった。これでどうにか3セイロ(トロ箱)分捕れた。
帰りはゴーヘーが舵を取ってきた。もう海苔枠もないので注意しなくちゃいけないものもなく気楽に走ることができ、午後2時には港に入港した。札場(市場)の前の岸壁に船をつけようとしたら、OA丸がその岸についていて向かって右側しか空いていない。車で言う縦列駐車、しかも右奥にバックで入れるという難題。OA丸にぶつけそうになりながら必死でゴヘとゴスタンを繰り返しどうにか右奥に入れた。毎度の事ながら船にはブレーキが無いから大変。


○4月9日(火) 曇り
午前3時45分頃起床。弁当のおかずがない(T_T)。昨夜のメジロ(アナゴ)の干物の残りものを弁当入れにつめてでかける。
空は曇っており靄がでているようで対岸の三河の灯りが見えない。佐久島・日間賀島の灯りもぼんやりとしか見えない。午前5時頃オクゴオリの福江に着く。すでに3杯(隻)のカレ網がいて、ゴーヘー達の十八番にはHA丸が船を浮かべていた。
一クラ目の網を上げ始めようとしたら無線でSK丸がOA丸を呼ぶ声が聞こえた。日間賀島を過ぎてオクゴオリを目指して走ってきたはずなのに、なかなか街の灯りが見えないので心配になって呼んだらしい。「どこにおるだな(いるのか)?」とのOA丸の問いかけに「それがわからんだがな」との返答。ちょっと東の方に逸れてしまったようで、結局江比間あたりについたみたい。
今日は風が吹いてくるという天気予報で、午前7時半過ぎに本当に北西の風が強くなってきた。SK丸は一足早く帰ってしまった。まだカンコは寂しいけどもうやっていられないのでゴーヘー達も帰ってきた。売り物はカレイ4枚、アイナメ2本、甲イカ(カミナリイカ)1パイだけだった。


○ 4月10日(水) 曇り
午前4時30分頃起床。コンビニの旗はふわりと揺れている程度。しかし道路に出てみたらコンビニ正面の旗が西の風にはためいてた。港に行くと案の定西風で水面がシマケている。カレ網はST丸を除いて誰も出ていない。ゴーヘー達もすごすごと戻ってきた。
午前9時ちょっと前、ゴーヘー父が突然沖へ行くと言い出した。外は凪いでいる様子。弁当カゴを持ってすぐに出かける。目指すは梶島だ。
午前9時半頃梶島に到着。岩礁の西側で網をやるが、大ゴチが1本かかっただけで後はクラゲとエイしかかかってこない。東側に移って網をやると今度はコノカサ(ヒトデ)とエイばかり。コノカサは厚く太っていていかにも美味しそう。食べられないのが残念だ(笑)。この時は上げ終わるまでに50分ぐらいかかった。
3クラ目は桟橋のそば、4クラ目は島の西側でやるがすべてカラだったが、エイは大漁だった(笑)。手ぐらいの大きさから小さめの座布団くらいの大きさまで、全部で50匹くらいかかった。誰かキロ500円位で買ってくれないものだろうか(苦笑)。


○ 4月11日(木) 曇り
午前5時、オクゴオリの福江に到着。他の船は先に着いていたがまだ網はやっていない様子だった。まだ薄明るい中で一クラ目をやる。この頃からお腹がしくしくと痛み出した。我慢できないほどではない。漁は小カレイ3枚+アイナメ2本。網に汚れ(海藻など)が着くので網を上げるのに時間がかかった。二クラ目は黒部の防波柵の間に行く。そのうち北西の風が出てきた。お腹の痛みは相変わらずだ。
午前7時半頃、波が大きくなってきた。網もやりづらいし上げづらいが、今日は帰る様子がない。波の比較的静かなテトラポットの防波堤の蔭に避難して朝飯になった。今朝の波は「逆潮」といって風の吹く方向に向かって潮が流れるため波が高くなるらしい。時間が経てば逆潮は収まるので漁を続けるようだ。他の船も皆帰らない。
確かに時間と共に波は穏やかになり加えて風も凪いできた。ところがゴーヘーのお腹の痛みは一向に治まらず、背中も痛くなってきた。妙に足も怠い。午前10時頃からはガランガランを引く間仰向けに寝てたら気持ちよかった。熱でもあるのか?
お腹の痛みは引く気配がなくお昼になってもお弁当を食べたいとは思わなかった。午後0時半、ようやく漁を止めて帰ることになった。ゴーヘーは船のオモテに行って風が当たらないようにして横になった。また風が出てきたのか、波で船が下から突き上げるように震動した。うとうとしたと思ったらもう港に入港するところだった。魚を水槽に揚げて船をつけたらすぐに帰り支度をしてうちに戻った。熱を測ったら37度8分。すぐ寝た。
夜には38度3分まで熱が上がった。


○ 4月13日(土) 晴れ
昨日は強風でお休みだった。近所の病院は金曜定休だったので、今日行って来た。今回の体調不良はどうやら胃腸風邪というやつらしかった。今流行っているとのこと。


○ 4月14日(日) 晴れ
まだ病み上がりだが(笑)、今丁度大潮なのでアサリかきに出た。今回は量を稼ぎたいと思い少し小さい3cmくらいのアサリも採ったので、量はいつものカゴに半分近くあったけど重さは稼げなかった。
仲買に持っていったら、「アサリが小さい」ということで単価はキロ300円だった(;_;)。大物狙いのポリシーを捨てたのが敗因。今日の稼ぎではコンビニのバイトの時給の方がずっといい(T_T)。


○ 4月15日(月) 晴れ
捲土重来(笑)、今日もアサリかき。12時20分頃浜に行くと、昨日ゴーヘーがかいていた場所で胴長組が既にかいていて空いた場所がなく、他を捜す。ソコリ(干潮)は13時半頃なのでまだ潮は引くはずなんだけど、南東の風が吹き始め波が押し寄せてきて潮の引きが悪い。
水の中での場所探しは思いの外難しく、適当な場所でかいても大きいアサリが少ない。次第にマゼが強くなってきてソコリ近くなっても潮が引かず、むしろ水深が増してきた。腕まくりしての作業でタダでさえ海水で腕が冷えるのに加え、風で一層寒く感じるので14時でアサリかきは切り上げた。今日は売れる程の量がない。参った。


■エピローグ

今回は体調を崩した上に強風続きで漁に出られない日が多かったです。参りま
した。体調管理に気を配りたいです。


■次回予告

Vol.14 「東風」
2002年5月4日(土)発行予定

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