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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.19 梅雨
                                    2002年7月13日発行
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■梅雨

皆さんよくご存じの通り、6月上旬から7月中旬頃まで梅雨入りが一足早い沖縄と梅雨のない北海道を除く日本の各地で梅雨の期間となります。ここゴーヘーの住む知多半島でも現在どっぷりと梅雨の最中です。

雨が降ると一部の人を除いてカレ網の漁師は漁を休みます。ブリッジの外で舵を取るカレ網船の場合、雨の中船を走らせると雨が直接顔に当たるので悪い視界がなお悪くなります。網揚げも合羽を着ての作業となり揚げづらい上に汗をかくので漁が終わると身体が冷えて体調を崩しやすくなります。現在は2名の漁師を除いて皆子育てが終わっていることも漁を休む理由の一つです。

かように雨では無理をしないカレ網の漁師も梅雨時は例外です。汗をかいても気温が比較的高いため身体が冷えることがないし、なにより魚がよく捕れる時期なので無理をしてでも漁をしたいのです。

ですから風が吹いて波が荒くならない限り少々の雨でも出漁します。
風が吹いていても次第に収まっていくのなら、出漁します。
霧雨や霧で辺り一面乳白色となって方角がよくわからなくても、出漁します。
朝出る時に土砂降りになっていてもお昼までにやんでいくのなら、出漁します。

とにかく何かと理由をつけて出漁します(^_^;)。

ゴーヘーの個人的な希望としては、、、
自然には逆らわずに漁をしたいなぁ(^_^;)。




■今週のゴーヘー

○6月28日(金)
朝、一旦東に行って一クラやってから梶島に戻ってきたら、HA丸が赤灯台の西側で網を揚げていた。西浦組の中で一番早く港を出る人で今日も3時前には出て梶島まで来たようだった。ここからわずか30分、それほど早く出て梶島に着いてもまだ真っ暗だよ。
ゴーヘー達が網をやる場所の近くにHA丸が寄ってきて網をやるので行動が制限されてやりずらい。もっともこちらが網を早く揚げ終わればHA丸の傍で網をやるのでお互い様だね。途中HA丸は網揚げにとても時間がかかり、揚げた後も30分以上網をそろえていた。網が汚れたようには見えなかったので、ハゴかなにか網にたくさん絡まったのかもしれない。
10時頃梶島に見切りをつけて一色前の大瀬に移動した。アオリイカを狙ったのだがコウイカ2つに小コチ数本が捕れただけだった。


○6月30日(日)  <カレイの大漁>
3時15分頃、「どうするだぁ?」の声にビックリして目を覚ました。昨夜の天気予報で今日は雨との予想だったので、ワールドカップの3位決定戦を見て、その後も0時過ぎ頃までテレビを見続けたのが寝坊の原因。
それにしてもゴーヘー父、「どうするだぁ?」と聞くのではなく「いくぞ、起きろ」と声をかける(怒鳴る?、(-_-;))のが普通だと思いませんか?、、、
4時15分、梶島の桟橋前に着き網を入れた。カレイ2枚に中ゴチが2本捕れ、続けてその周りを4クラやってみたところ、全部でカレイが20枚程度捕れた。一旦梶島の西に移動して3クラやってカレイを8枚捕まえてから、また東側に戻り磯の東を3クラやりカレイを8枚捕まえた。潮が上げ潮から下げ潮に変わったのでもう一度桟橋付近に網を3クラやってみたところ、19枚のカレイが捕れた。
夕方の札場(市場)でゴーヘー達の売るカレイを見てHA丸が「梶島の桟橋だ」としきりに言っていた。ゴーヘーに向かって「(船が)一パイだで安気(あんき=安心)にできらいなぁ」とも言うので、「一パイならなぁ」とだけ答えておいた。


○7月1日(月)  <ガランガラン当たる>
昨日のHA丸の様子から今日はまた梶島に来ていると思ったのだが、朝東風が強かったせいか、彼は西浦に行ったようだ。普通ならゴーヘー達も西浦に行くけど、昨日のHA丸の様子も気になったので、あえて梶島に来てみたのだが、どうやら取り越し苦労だったようだ。というわけで波が荒かったけど、一パイで安気にできた(笑)。
浅瀬でガランガランを引っ張った時、船底に鈍い金属音が響いた。水深が1〜2mの場所だったので、引っ張っていたガランガランが岩か何かに当たって跳ねて船底に当たったらしい。ちょっとビックリした。漁の方は昨日とうって変わりいつもの梶島に戻っていたが、カラがないだけ魚は次第に溜まっていった。
11時頃またアオリイカを狙って大瀬に行った。今日は首尾良くアオリイカを捕まえたのだが、5ハイ捕まえても大きいのは1つだけだった。


○7月3日(水)  <つき磯に当たる>
朝梶島へ行くとすでにHA丸が長瀬で網を揚げていた。ゴーヘー達は梶島を回り桟橋の西側で網をやった。昨日一日お休みだったから魚がいてもいいはずなのに、ガニ(カニ)や小さなコチ・カレイが1・2枚ずつしか捕れない。
その後梶島のどこをやってもこの調子。どうしたのかと訝っていたが魚が捕れないのは紛れもない事実。ヒ○エイ丸もほとんど捕れないようで7時には諦めてオクゴオリ目指して走り出した。ゴーヘー達も田原を目指して走る。
田原のいつもの場所でやると4クラでハゴ9枚、コチ10本(大2本)、小カレイ3枚が捕れた。5クラ目にカラで、6クラ目にもう一度最初の場所へ網をやろうと船を進めたら、船のオモテ(前)の船底で「ゴン」という音がして、次にトモ(後ろ)の下で「ゴリゴリ」と音がした。つき磯(海中の岩)に当たってしまったらしい。ひょっとしたらペラが曲がっているかもしれないと心配し、少し船を走らせてみたが船に変な振動は起きず、ペラは曲がってなさそう。
で、その場を離れ江比間に戻り一クラやって(これがカラ)、更に黒部まで戻り沈んだ防波柵の沖側で2クラやった。するとこの2クラでクロダイが10枚程度、ハゴが15枚程度、アイナメが4本かかった。久しぶりにクロダイの大漁だった。
港に戻って魚を水槽に揚げたらすぐに船を船台(ドック)に揚げて、トモの被害状況を確認した。キールの最後尾、舵を支える部分の下側が何カ所か擦れており、穴が開いているところも発見。中の鉄部分が露出していた。すぐに片名(かたな)の造船所に行って補修のための道具を借りてきて穴を塞いだ。内部にまだ水が残っているが今日の所はこれでよしとした。


○7月4日(木)  <ルール違反>
昨日、札場(市場)が終わった後刺し網の漁師が集まって話し合いがあった。ゴーヘー達は船の補修で参加しなかったが、議題はその前日(火曜日)のHA丸の出漁について。
火曜日は休漁日だったにも関わらずHA丸は一人勝手に出漁し梶島で漁をしたらしい。道理で昨日梶島で魚がいないはずだ。話し合いは結局HA丸のごねた者勝ちとなったらしい(-_-)。
冬の海苔漁ではHA丸もきちんと海苔漁のルールを守っているので、カレ網でルール違反するのはカレ網漁師達をなめている証拠と思われる。もっとも海苔漁の場合は抜け駆けをしても出荷自体が半月に一度しかないので直接収入には結びつかないが、カレ網の場合は違反操業でも捕れた魚はその日のうちに仲買が買ってくれるのですぐにお金(ただし相場より安いが)になる点が異なる。
10年ほど前にもHA丸が同様な違反操業をやって、その時は土下座&罰金という制裁が行われたそうだ。その翌日、HA丸を厳しく追及した漁師の舟のリモコンが、前日までの何の不調も無かったにもかかわらず突如壊れたらしい。こういう事実が現在、HA丸追求の矛先が鈍る原因かもしれない。
ゴーヘーが思うに、休漁日に出漁して捕った魚は買わないように、漁業組合(組合)を通じて仲買に通達を出すのがいいんじゃないかな。組合には水揚げの中から口銭を払っているのだし、組合員全体の権利や利益を守るための活動も組合が行うものだと思う。
違反者への制裁は罰金や土下座などより、一週間の出漁停止がよいように思う。出漁停止を破って出漁すれば、更に一週間の出漁停止を延長する。これも組合が本人に通達を出す。カレ網の自主規制ルールとはいえ、組合としてルール違反には厳しく対応すべきだと思うなぁ。


○7月5日(金)  <賑わう梶島>
今朝の梶島はHA丸に加えてST丸も来ていた。ゴーヘー達が到着したらどちらも二クラ目を上げ終わるところだった。ここ二日梶島で漁がないにも関わらずST丸が今年初めて梶島にやってきた。二人は中が良いはずなのだが、ST丸はHA丸にいったいどんな話を聞いたのだろうか?
ゴーヘー達がまだ3クラ目の朝6時までに、ST丸とHA丸の2ハイでゴーヘー達の半日分のクラ数(漁の回数)をやって、HA丸はオクゴオリへ、ST丸は三河へ走っていった。まだ網を入れていない場所をあっちこっちと移動しながら、8時過ぎまで梶島いた。
やる場所が無くなり、しかたなくいつもは昼近くに行くオオズに行って、そのまま昼まで漁をした。今日の水揚げは18,000円也。


○7月9日(火)  <クロダイ大漁>
今日は2時40分起床だった。今年一番の早起きだったんで、西浦に行くかと思えばまた梶島だった。台風の影響で下波がエライからとのこと。しかし梶島に行くには早すぎる。実際梶島に着いた時はまだ4時前であたりは真っ暗。突然船が現れてビックリした魚(たぶんボラ)が海の中で激しく行き交っていてるのが見えた。
えっ、真っ暗で見えないのではって?実はボラは泳ぐスピードが速く、海中を移動する時に夜光虫のために身体(特に前面)が青白く光ってみえる。青白い弾丸か小さなロケットが四方八方へ飛び散っているようだった。
ヤマテ(目印)もなにも見えないため5分ほど船を回して網をやる場所をよく確認した後、網をやった。網が海中に落ちると網目が青白く光って見えた。
8時まで漁をやったらコチが9本、カレイが6枚、アイナメ1本が捕れた。島の東側は下波から島影になっているので穏やかだけど西側は波が大きく、これ以上網をやる場所がないので田原を目指して走った。
田原では2クラやって大ゴチが6本、クロダイが6枚、ハゴ(小さいクロダイ)が6枚、アイナメが2本捕れた。下波のエライ日はクロダイがタアカ(浅い場所)に上がってくるらし。
潮時もよかったらしいので、今度はオクゴオリの黒部に行き、沈んだ防波柵のそばで網をやった。一クラ目はハゴ7枚で、2クラ目にクロダイが大漁にかかった。多分20枚以上、ハゴも含めると30枚以上かかった。
ところが途中で沈んでいた2本の鉄の棒に網が絡まっていて上がらなくなってしまった。網にかかったクロダイが暴れるうちに鉄棒に絡まったらしい。しかたなくそこで網を切断し、反対側から網を揚げてきた。全部揚げ終わるまでに1時間ほどかかっていたのでクロダイは少し弱っていたし、鉄棒付近の網にかかっていたクロダイはいつの間にか逃げていなくなっていた。一人だったら2時間くらいかかったかもしれない。
網は汚れも大量についていてもう続きができないので戻ってきた。カンコは3つ使い、港について水槽に入れても1つでは入りきらず2つの水槽を使った。4本あったアイナメは2本が死んだけど、弱っていた大ゴチは水槽の中で元気を取り戻した。大きなクロダイは1つ千円になってきたので、今日の水揚げは今年初めて、かつ1年ぶりの6万円台♪だった。


■エピローグ

台風6号が去りました。知多半島では大きな被害も無く済みましたが、岐阜県の西側では河川の増水で床上浸水や死者まで出たようです。無くなった方・被害に遭われた方々にお悔やみ申し上げます。

台風はまだ7号8号と連続して発生しており、週明けにはまた影響が出てきそうです。漁の方もお休みの日が続くかも知れません。自然相手・お天気相手の仕事なので仕方ないですが、ちょっと気が滅入ります。

天候が回復すると漁に出られますが、この時期は日中猛烈に暑いので参ります。その暑さを少しで和らげるため、、、次号をご期待ください。


■次回予告

Vol.20 「天幕」 2002年7月27日(土)発行予定

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Copyright (C) 2001-2002 Gohe.

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