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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.20 天幕
                                    2002年7月27日発行
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■天幕

暑い! 毎日暑いです!
ゴーヘーの部屋の室温は連日35度くらいまで上昇しています。漁がお休みの時部屋にいると頭がクラクラしそうです。クーラーはあまり好きでないので、余程じゃないと使わないので、汗でTシャツが身体にべったりくっついています。

室内でこれだけ暑いのですから、日光を遮る物のない海上での暑さは大変なものです。日が昇ってまもなくの朝6時頃からすでに暑いです(笑)。8時頃になるとめまいがするほど暑いです。すぐにでも天幕を張って日陰を作りたいのですが、まだ日があまり高くないので天幕を張っても船の上に日陰ができません(苦笑)。しばしの我慢。

全身汗びっしょりになった9〜10時頃、船のオモテ(前側)やトモ(後ろ側)にやおら天幕を張ります。すばやく天幕を張れるようにオモテには竹の横棒があらかじめ紐で固定してあります。ちょっと恰好悪いですがいちいち片づけるのは面倒なので暑い期間はずっとそのままです。

昨年から船のオモテにマストを利用して縦に渡した木の棒やそれに固定した竹の横棒を常時設置し、天幕をしっかり固定するようになりましたが、一昨年までは小さなブルーシートを不安定に張っていただけのようでした。

こうしてしっかりと張られた天幕は夕方まで張ったままです。ですからゴーヘー父は天幕を張ったまま船を走らせています。「今日のカンコ」に天幕の写真を載せていますが、オモテの天幕の大きさは横1.8m×縦2.7mあります。船の大きさに比べてやや大きく、オモテにこれだけの大きさの天幕を張ったまま船を走らせているのは、伊勢湾・三河湾にたくさんの漁師と船があっても、今のところゴーヘー父だけです(笑)。




■今週のゴーヘー

○7月12日(金)  <カラス>
朝、梶島へ行くとすぐ後ろからHA丸が追いかけてきていた。2ハイとも島の東側の桟橋付近に行き、真っ暗でよく見えない中ゴーヘー父が慎重に場所を決めて網をやった。潮が随分速くて、ゴーヘー達の網は一部が海底の岩の上に流されており、あげる際に船が岩に当たりそうだった。
ゴーヘーの今朝の朝食は、食パンにハチミツを塗って食べたのだが、漁の合間に食べるので一度で全部を食べきらないため、残りはビニール袋に入れてトモに置いておいた。今朝珍しくカラスがトモの帆柱の上で騒いでいたので不思議に思いながらが網揚げ作業をしていたのだが、終わってトモに戻ってみると食パンの入ったビニール袋がびりびりに破かれて甲板の上に転がっていた。中のパンは2枚のうち1枚が半分ほど喰われていた。腹が立ったが喰われてしまったものはどうすることもできない。とりあえず半分になったパンのカラスにつつかれた部分やツメが当たった部分を取り除いて食べ、残りはブリッジの中に入れておいた。
次の網揚げではカラスの声も聞こえず安心していたのだが、揚げ終わってトモに戻ってみると、今度は空のビニール袋が甲板に転がっていた!カラスのヤツ、ブリッジからパン入りのビニール袋を引きずり出して、パンだけ持っていってみたい。もーっ、腹が立つやら、腹が減るやらで、居もしないカラスに対して呪いの言葉を吐く!!!
漁の方は9時半頃まで梶島、その後大瀬と布土で一クラずつやって昼には戻ってきた。魚の量は3ケタ(トロ箱の数)分しかなかったが、祭礼前日のためか少し相場がよかった。


○7月17日(水)  <4日ぶり>
土日が夏祭りでその後2日間台風の影響で休漁だったので、4日ぶりの出漁だった。
朝東風が強く吹いていた。西浦組はもう出た後だったがゴーヘー達も久しぶりに西浦へ行った。奥田(おくだ)でFH丸が網を揚げている様子をちょっと見てから、上野間(かみのま)で二クラやった。大ゴチ1本と小コチ1本、小カレイ4枚、ハゴ1枚だった。
6時に沖の瀬(空港島南)に行くとFH丸とHA丸がいた。二人とも空港島工事中の進入禁止の境界線を越えて網をやっていた。ふと、先日の北朝鮮と韓国のカニ漁でのトラブルを思い出した。海の上では境界線なんてあってないようなもの。捕れそうだと思うとつい境界線を越えて漁をやってしまうのが漁師だよなぁ。付近には警戒船もいるのでゴーヘー達はあまりあからさまに境界線を越えて中には入らなかった。それでも網を揚げたら境界線の内側でコチが5本かかった。
この後は苅谷沖・もう一度沖の瀬、上野間と5クラやったけど3クラカラだった。雨も風を伴って激しく降ってきたのでみんなより一足早く帰ってきた。途中、中須前(なかずまえ)で船のトモ(後ろ)の船底でゴン!という大きな音がした。たぶん台風の大雨で流れてきた流木が船の下に入ってしまいキールの後端のでっぱりに衝突したのだろう。ペラは大丈夫だろうか?
浦前まで来たけど港には入らずにそのままゆっくりと北上した。北からの風が強くて波が少し高めだけど、空は明るくなってきており雨はもうしばらくしたら止みそうだった。こちら側も4日間誰も漁をしていないのだからと期待して、矢梨前と河和の旧都築紡績前で合わせて3クラやったけど、小さいコチが1本捕れただけだった。残念。
夕方の札場(市場)では皆魚が少なかったので、尻上がりに相場が上がっていった。こんな日に限って一番最初に売る順番なんだよなぁ(苦笑)。


○7月18日(木)  <不漁>
朝梶島へ行く。長瀬に到着した時点で例によってまだ暗くしばらくあたりをうろうろする。
梶島では3クラやった。大ゴチが1本いた他は小さなカレイやコチが1つ2つ程度。島に近寄ると楠のすがすがしい香が漂ってくる。これになにかの甘い香りも加わっていて気持ちの良い朝が演出されているのだが、カンコの中が寂しくて気持ちが晴れない。今朝の天気も一瞬晴れただけでその後は雲が厚くなってきた。
6時40分田原に到着した。いつもは2クラか3クラでやめるところを、今日は昼まで11クラをやった。最後の一クラを除いてカラは無かったが、小コチが1本か小カレイが1枚というパターンでカンコの中の侘びしさは一向に改善されなかった。小さいコチではダメだと痛感するが、かといって放してやるとカンコの中が大ゴチ1本だけになってしまうのでダメだ。小さいコチばかりでも油銭(燃料代)くらいにはなるだろう。
無線で他の漁師の話しを聞いていても皆サッパリダメの様子。昼前に帰ってしまった人もいた。ゴーヘー達は、お昼の弁当を食べた後江比間で一クラやったけどハゴ1枚だけだった。
夕方の札場では昨日より更に魚の値段が良かった。一番売りの人が昨日より多くの魚を売っていたので、最後売りのゴーヘー達の時にはやや値も収まっていたが、それでもいつもより8割以上高かった。明日から市場が2連休となる前日だからだろね。


○7月21日(日)  <コンサート>
今日は昼で上がらせてもらって、午後浜崎あゆみのコンサートに行った。
大学時代の友人の誘いで5月の名古屋レインボーホールに続いて、今日は豊田スタジアムでの開催。アリーナ席だけで約1万人、トータル3万人程度のキャパシティ。交通の便・食事の便を気にしながら最寄り駅に降り立った。
案の定、食事できる場所は極限られた数件しかなく、近所で一軒だけのコンビニも弁当&ドリンクの購入で長蛇の列。並べば買えたけど目と鼻の先にあるスタジアムまでの所要時間が気がかりの友人が、妙に先を急ぐのでコンビニを早々に退却。開演一時間前にはスタジアム入り口に到着。すぐコンサートグッズを買いに行った友人は、購入順番待ちの長蛇の列にげんなりしてすぐに戻ってきた。
開演30分前にスタジアム入り。その時の客入りは五分程度。実際にコンサートが始まったのは開演予定時刻より30分以上遅い午後6時4分だった。お客さんは若い女性ばかりと思いきや、男性がかなり目立つ。カップルはもちろん多いのだけど、男性だけのグループも多数あり。ゴーヘー達が座った列は横12人掛けで女性は端っこの一人だけだった(笑)。コンサート中も野太い男性の声援が飛ぶ・飛ぶ(笑)。
コンサート会場のあちこちにあゆのシンボルマーク(Aをデザインしたもの)が張ってあり、旗も至る所に飾ってあった。旗をふる観客もいて、会場はさながら「あゆ王国」の様相。観客はあゆ王国の国民であり、皆一様に国王(女王?)であるあゆをに対して歓声を張り上げていた。そして、コンサートはアンコールも含めた2時間弱があっという間に終了した。
にわかあゆ王国国民となったゴーヘーも会場からの帰り道ではすぐに現実に引き戻された。会場のすぐ脇にある橋を駅方面に渡りきるまでにコンサート終了時から約1時間。駅方面にびっしりとならんだ人を見て、とりあえずコンビニでトイレを借り腹ごしらえのためおにぎりとお茶を買う。ゆっくりと食べていたせいか駅に向かう頃には人はもうまばらで午後9時45分頃駅に到着。丁度発車する電車を逃したため、その後接続がすこぶる悪く家に着いたのは午前0時20分頃だった。


○7月22日(月)  <水温上昇>
睡眠3時間弱。さすがに眠い。加えて日中の猛暑は堪えた。
しかしゴーヘーより魚の方がもっと堪えているようで、カンコの中で魚が次々に死んでいく。コチはいつの間にか2本死んでおり、比較的丈夫なクロダイも一番大きいヤツが弱ってぷかぷか浮いていた。アイナメも弱っていて、夕方売る時にはすでに死んでいた。もちろん売り物にならない。
昨日までに比べ今日は海水温が急に高くなった。海水の中に手を入れると暖かく感じるから海面付近はきっと30度近い海水温だったと思う。


○7月24日(水)  <Vベルト>
ガランガランを引き上げるために使っているローラーが最近頻繁に止まらなくなる。原因はエンジンの回転をローラーに伝えるVベルトが古くなって伸びて外れやすくなったため。止まらなくなるたびにゴーヘー父がエンジンルームに入って外れたVベルトをはめていたのだが、今日はガランガランを引き上げるたびに外れたので業を煮やしたゴーヘー父は、Vベルトがローラーから外れないように木片をローラーのVベルト付近に釘で固定した。外れそうになると木片に接触して外れずに済む目論見。
ゴーヘーは内心その木片を心配していた。回転するVベルトが木片に接触したら摩擦熱で破損するかもしれないと。でも口にはしなかった。「じゃ、どうするだぁ?!」と言われると、替わりのVベルトがない以上どうすることもできない。
で、つぎにローラーを使ったら見事にVベルトは破損。エンジン側でVベルトが絡まりエンジンストップ!エンジンルーム内はゴムの焼けこげた臭いでいっぱいだった。ガランガランはローラーが無いと上がらない。どうするつもりだろう?と心配してたら、ゴーヘー父はトモ(後ろ)のカンコから新品のVベルトを持ってきた。
新しいのがあるなら、もっと早く交換せい!


■エピローグ

参りました。台風続きで漁はお休みばかりです。今月は今日(26日)まででまだ11日しか漁に出ていません。残り漁に出られる日数は最大で4日間なので今月は最大でも15日しか漁が出来ないことになります。昨年より7日間も少なく残り順調な水揚げがあったとしても、昨年より10万円以上水揚げが少ない予想です。現時点では20万円近く少ない水揚げ。1年で最大のかき入れ時にも関わらずピンチです!!

残り4日間毎日5万円程度の水揚げ、、、はありえないな(断言!)。1日でもそんな大漁があったら、翌日から他のカレ網の船がまとわりついてきて、自由に漁ができなくなるからなぁ。もちろん、その逆にまとわりつくこともあるから、よく言えば競争が激しく、悪く言えば足の引っ張り合い。

せめて残り4日間すべて出漁できますように。


■次回予告

Vol.21 「網の破れ」 2002年8月10日(土)発行予定

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