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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.23 ペラが曲がる
                                     2002年9月7日発行
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■ペラが曲がる

ヨットなどの帆船やシーカヤックなどのオール・櫓で漕ぐ舟を除き、ほとんどの機械船はペラ(正しくはプロペラ)を回して動きます。ペラは常時水中にあるためこれを目撃することは滅多にないと思います。

ドックに上がった船を見る機会があれば、ぜひペラにご注目ください。船体の大きさに比べて案外小さいものです。これでよく船が走るものだと感心するほどです。

船体に比べて意外に小さいペラでも船が勢いよく走るのは、ペラが高速で回転し大量の水をかくからです。ゴーへー達が乗る小型漁船でエンジンの回転数は通常走行で1分間に2,000回転前後、1秒間に33.3回転もします。ペラの回転数は多少減速しますがそれでも毎秒数回〜10数回転することになります。

小型船のペラには通常3枚の羽があります。ペラは高速で回転するため、なるべくロスが少なく効率よく水をかく必要から羽が薄く作られており、更に微妙な曲面を形成しております。かなり堅い金属で作られていますが薄いがゆえに曲がりやすいものでもあります。

もちろん水をかいているだけでは決して曲がりません(^^;)。ペラが曲がる時は大抵なにか堅いものにペラが当たった時です。カレ網の船で多いケースはツキ磯などの海中の岩やコンクリートにぶつけるケースと、走行中に太い丸太に当たるケースです。

ツキ磯は漁をする場所の近辺にあり、当たらないように注意深く船を進めていても勘違いや潮に流されたりして当たることがあります。ペラが回っていなければ被害はほんの少しで済みますが、当たるのを避けようゴヘ・ゴスタンなどした際に当たったりしたら、ペラはグニャグニャに曲がっちゃいます(-_-;)。

走行中に丸太に当たるケースは少ないですが、朝暗いうちや波が高めで波間の丸太がよく見えない時などは当たる確率が高くなります。「海になぜ丸太が?そんなマンガのようなこと、あるの?」と思われるかもしれませんが、大雨などが降った後数日間は川から流れてきた「流れもの」が海上に漂っています。よく台風や集中豪雨で増水した川にかかる橋に木や丸太がひっかっかっている映像をテレビなどで見ますよね。最終的にはあれが海に流れてきます。

曲がったペラを使用していると船に妙な震動が発生します。ペラが曲がったことにより回転するペラに加わる力が不均衡になり震動となって現れるようです。そのままではペラを回すシャフトが曲がったり、シャフト回りの船底が割れたりするためできるだけ早く修理に出します。もちろんグニャグニャに曲がったペラは元に戻せません。交換あるのみです。

そんなペラを作っている・修理している会社のサイトです。

ナカシマプロペラ
榎マリンプロペラ
ミカドプロペラ

綺麗に磨かれたペラは美しいです。磨く精度は1/100ミリメートル単位とか。意外にもペラは精密部品なんですね。




■今週のゴーヘー

○8月25日(日)  <警戒船>
5時30分、沖の瀬に到着。早速網を入れる。すでにFH丸が網を揚げている。無線での話を聞いていると皆すでに2クラ終わって3クラ目をやっているらしい。いったい何時からやってるんだ?(苦笑)

ここ沖の瀬では空港島ができたことにより漁場が極端に狭くなった。進入禁止区域もあり黄タンポ(航路標識)がその区域を示しているが、工事関係船舶以外の船がその中に進入しないように、また互いの安全のため「警戒船」と呼ばれる船が付近で監視している。警戒船には雇われている漁船と専門の業者さんの船があるが、うるさいのは業者さんの船だ。黄タンポの内側をちょっとでも航行するとすぐに走り寄ってきて拡声器で注意される。以前ゴーヘー達も注意された。
しかし、最近は黄タンポの内側に網を入れてもうるさく注意してこない。今日のFH丸は網を半分以上入れていたけど何もいわれなかったみたい。中で釣りをしている小舟もいる。さすがに中を横切って航行すると注意されるみたいだけど、船足の速いモーターボートなどは警戒船を振り切っていた。結構いい加減になってきたなぁ。


○8月26日(月)  <起床が遅い>
4時ちょっと過ぎに起床。随分とのんびりだ。港に行くとすでに皆いない(苦笑)。こんなに遅くてどこに行くんだろう?と思っていたら、ゴーヘー父は船を西浦に向けた。おお、珍しい。
そのまま常滑まで行くかと思いきや高峯山前で船を止めた。このまま常滑方面まで行ってもすでにやりあとばかりだし、最近誰もやっていないここで漁をするのもいいよね。そう思って浅いところに網を入れて漁を始めると、カラがなくて毎回コチが数匹ずつ網にかかる。なかなか順調だと思っていると5クラ目と7クラ目がカラだった。
ここもそろそろ見切りをつける頃合いかと思っていた8クラ目。突然コチが11匹、ヒラメ、シンマキ(シタビラメ)、ハゴ、カレイ2枚の大漁だった。特に最近では珍しい大ゴチが上がってきてビックリした。急遽2つ目のカンコのヒ(栓)を抜く。
その後内海前まで網をやりながら上がっていくと、毎回2・3本ずつのコチがかかり一クラおきぐらいに大ゴチが1本ずつ上がってきた。順調すぎて怖いくらい。3つ目のカンコを抜いた方がいいと思えるほどコチが溜まったが、小さいコチをカゴに入れてしのぐ。最後に山海前まで下ってきて一クラやり小コチを2本捕まえてお終いにした。丁度12時半、弁当を食べながら帰ってきた。
港について水槽に魚を揚げているとそこへ漁から帰ってきたア○エイ丸が寄ってきてうちのコチを見て「どこにでも魚がおるなぁ」と感想を漏らしていた。初めは嫌みかと思ったんだけど、よく考えてみれば最近のゴーヘー達は東に行っても、今日のように西浦に行ってもそこそこの量の魚を捕まえてくるので素直な感想なんだろなぁと思う。
一つの水槽には入りきらないので、AH丸が魚を生かした水槽にも入れさせてもらった。それでもカゴが2つ入りきらないので、バカ網(ボラ漁)の使う水槽に入れておいた。大漁だぁ〜!(^_^)。
ちなみに今日の相場はあまりよくなかったけど、大ゴチ4本を一せいろにして売ったものは値が飛んで2万円の値が付いた。トータルでは5万ちょっと。


○8月28日(水)  <目の前に>
「やい、行くぞ」の声に飛び起きた。6時ちょうど、外は東風が少し強く吹いていた。この東風は台風の影響で昨日から吹いている。昨夜未明も今朝もコンビニの旗は海からの風を受けて強烈にバタバタとはためいている。ホントに行くの?
港に行くとすでにカレ網の船は皆いなくなっていた。みんな波の低い西浦に行ったんだろう。こんな時間からでも今日は西浦に行くしかないよなぁと思ってたら、浦前(大井漁港前)からイワテ(北)を向いてゆっくりと走り出した。船は東からの横波を受けてドンブラコ、ドンブラコと揺れていた。
ホウベではAW丸が網を揚げていた。無線で西浦組の声も聞こえる。すでに二クラ目をやっている様子。6時25分海田で一クラ目をやって小コチ1本をゲット。河和の旧都築紡績前まで行くとST丸が網を揚げていた。傍に寄っていきゴーヘー父が様子を聞くと丁度クロダイが1枚揚がってきた。付近は既にST丸のやりあとばかりだったので、更にイワテに向かい7時15分布土でクロダイを狙って二クラ目をやる。波に揺られて船が上下に1mくらい動く中で網を揚げる。かなり大変な作業となるが、捕れた魚はハゴ4枚。
今日はダメだ、と思っているとゴーヘー父が船を下りに向けた。もう帰るのか?と思いきや河和の加藤化学の前で網をやった。ここでもハゴ2・3枚。船を再び下りに向けてゆっくりと走り出しので、今度こそ帰るのだろうと思った。きっと風速は10mくらいあるだろう。
波に激しく揺られながらタアカ(岸側)にいるST丸をぼんやり見ていたら、目の前がなにやらキラキラと光って焦点があわない。よく目をこらすと虹が見えた。船がかき分ける波の波しぶきが船全体を包んでおり、そこに朝日が反射してすぐ目の前に虹が現れていた。小さくて可愛い虹だ。ああ、これなら手でつかめそうだと思ったけど、ブリッジを持つ手を放したら甲板の上で転がってしまいそのまま海に転落しそう。やっぱり虹は掴めないや(苦笑)。
9時ちょっと前にようやく港に戻った。
夕方の札場ではいい相場だった。


○8月29日(木)  <バイト>
今日から9月10日まで平日のみ9日間、情報処理試験受験者向けの講習会で講師のバイトをする。ハローワークを通じての申込者らしく、今日実際に受講者の皆さんに会ってみて、IT講習会受講者とはちょっと違った意気込みを感じた。
講習は最終フェーズらしく皆さんかなり勉強している様子が伺えた。コンピュータ業界の出身者は皆無にも関わらず、コンピュータの操作はみな慣れたものなので、講習のペースが妙に速い(^^;)。PowerPointというプレゼンテーション用ソフトの実習もテキストをどんどん進めた。こりゃ、後半になるとやることがなくなりそう(^^;)。
ちなみにプレゼンのやり方などを厚かましくも説明してきた、、(苦笑)。


○9月3日(火)  <なんとなく低調>
講習の方は順調で始まってわずか4日目で、もうテキストはすべて終わった(^_^;)。残りは5日間は、問題演習とその解答・解説、プレゼンの実習を繰り返し行うことにした。
ああ、そうそう、今日はGパンをはいて行った。ズボンとかシャツとかあまり持っていないので苦し紛れだったのだけど、夜担当者から苦情のメールをもらった。むべなるかな。
明日から注意したいが、はいていくズボンがないのも事実である。困った。


○9月4日(水)  <とりあえず同じズボン>
プレゼンの実習で自己PRを作ってもらった。今日の午後たった3時間しか時間がないが、プレゼン時間も5分しかないから相応だろう。ただ、皆さん自己PRなんて初めての方が多かったようで、プレゼンツールのPowerPointの使い方よりむしろ、プレゼンの内容を考え・作ることの方がはるかに難しかったみたい。
テーマとして「自分のスキルを生かして、今後やりたい仕事・業務」を与えたので、この「今後やりたい仕事・業務」が自分ではっきりしてしなくて、何をどうしていいかわからず固まってしまっている人がちらほら。助け船を出してどうにかまた漕ぎ出したり。発表は明日の午後、どんな発表になることやら。


○9月5日(木)  <自己PR発表>
午後、自己PRの発表を行ってもらった。プレゼン経験者は3名いたけど、残り10名は初体験。しかも自己PRということで昨日の制作も今日の発表もかなりの苦戦。それでも半数の6名はなんとかまとめてきちんと自己PRが出来ていた。学生とは違って社会人の経験の賜物というべきか。
50代後半の男性1名、プレゼンのスライドもプレゼン自体もその体をなしていない、つまり完全に失敗した方がいた。自分のやってきた仕事を箇条書きにまとめることはさほど難しいことではないと思うのだが、何度か話してまとめ方を説明したにも関わらず結局出来なかった。本人の能力うんぬんではなく、どうもプレゼン自体を拒否している様子。スライド作成もプレゼンもやりたくないというわけだ。その理由は彼の話す様子から考えて「自分には必要ないから」だと思われる。講習会でそこまでネガティブにならなくてもいいと思うのだが、、、
その後のグループ課題ではすっかりやる気なしモードで、グループの他のメンバーが対応に苦慮していた。たった一人のために全体のスケジュールを変更するわけにもいかんし、、、、困った。


■エピローグ

今やってるバイトは来週の10日(火)までです。日頃の漁師とはかけ離れた業務で、読んでる皆さんの方が面食らっていることでしょう(ニヤニヤ)。

あくまでも本業は「漁師」ですが、年間を通して漁師だけでは生活ができないのもこの村のカレ網の漁師の現実。冬は陸に上がる人も多いです。

そこでゴーヘーはUターン前のスキルを生かして冬のナマコ漁を補おうと考えており、今回のバイトはその実績作りのため。これぞUターン漁師ならではの発想と行動、並びに生活と言えますよね?(ニヤニヤ)


■次回予告

Vol.24 「昔話:伊勢湾台風」 2002年9月21日(土)発行予定

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Copyright (C) 2001-2002 Gohe.

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