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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.25 漂流物はどこへ?
                                    2002年10月5日発行
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■漂流物はどこへ?

ゴーヘー通信 Vol.23 ペラが曲がる」で海上に漂流している丸太に当たってペラが曲がることをご紹介しましたが、海上には案外多くの漂流物があります。特に集中豪雨や台風でたくさんの雨が降った日の2〜3日後、海上には至る所に漂流物があります。すべて川から流れ出てきたものです。

おもしろいことにこれらの漂流物は一列に並んで流れています。波もあるのでまっすぐではないですが、2・3mくらいの幅でず〜と長く続いています。主に木の枝、竹、草や人間の出したゴミなどです。時々木の幹や丸太が混じっています。

この列は潮の流れにのって動いていきます。大抵流れと直角方向に列をなしているので、こちら側に流れてくる様子は「通せんぼ」の列が静かに迫ってくるようです。なんだか攻められてるみたい^^;。

伊勢湾・三河湾のような内海(うちうみ)では、これらの漂流物は早い段階でどこかの岸に漂着します。潮の流れに流されたり船の引き波に揺られたりしてるだけではなかなか岸までたどり着きませんが、ちょっと風が吹くとあっという間に吹き寄せれていきます。2年前の東海豪雨の時には、三河湾の中に流れ出た大小の木や竹がその後の東風に吹き寄せられて、大井・片名(かたな)・師崎(もろざき)の各漁港内一面に溜まってしまいました。取り除くのに丸2日間を要し費用も随分かかったようです。風の力を改めて感じます。

ところで網を揚げていると海底のゴミがよくかかってきます。その中には釣り具(糸・竿・リール)や空き缶など明らかにレジャー客が落としていったものだけなく、木の枝、木の葉、草などの陸上にあるはずのモノがたくさんかかってきます。初めはとても不思議で「昔はここも陸地だったんだぁ」なんて思ったりもしたんですが、そんな大昔の木の葉や草が腐らず・埋もれずに海底にあるわけないですよね。

ある時上記のような漂流物を見てハッと気づきました。海上を漂流してる内に海水が内部に浸透して沈んでしまうモノがあるんじゃないかって。何日ぐらいで沈むのかわかりませんが、揚がってきた小枝や木の葉を見ると新しそうなものもあるので、あまり長い日数はかかってないようです。加えていろいろな場所でかかってくるので、漂流物のかなりの量が実は海底に沈んでいくんじゃないかと推論しています。

「漂流物は(何割かが)海底へ」がゴーヘーの推論結果です。
ホントのとこはどうなんでしょうね?(^_^)




■今週のゴーヘー

○9月24日(火)  <痛い>
朝まだ波・風共に強かった。4連休目かと思いきや5時頃ゴーヘー父が突然網をやりに行くと言いだし、伝馬船(テンマ)で出発した。
浦口(港入り口)を出ると北からの風で波が高く、テンマの前側が大きく上下した。ゴーヘーは前に座っていたので上下するたびに身体が浮き、次の瞬間お尻が甲板に打ち付けられて非常に痛かった。波も被りまくりで濡れ放題(苦笑)。こんな日は合羽を着てこなくちゃだめだねぇ。ガニ網とカレ網のタテコミを1つずつやって帰ってきたら6時だった。
10時頃だいぶ風も凪いできて網を揚げに出た。まずガニ網を揚げると大きな本ガニ(ワタリガニ)や青ガニが5・6匹かかっていたが、はっきり言って少ない。次にカレ網を揚げると掌くらいの小さなギマ(カワハギ)がたくさんかかってきた。ざっと50匹くらい。揚げた網はまた別な場所にそれぞれやっておいた。
午後3時ごろ再び網を揚げに出た。今度は大船(おおぶね)で出た。またガニ網からあげると今度も5・6匹かかっていた。次にカレ網を揚げると手ぐらいの大きさのモガレイが10数枚、ガニが4・5匹、ハゴ1枚、タコ2匹がかかっていた。数は少なかったがガニはどれも大きかったので案外値がいいかもしれない。捕れた魚やガニは仲買に持っていったが、値を付ける人がちょうどいなくてお金は後日になった。


○9月25日(水)  <タイワンガザミ>
今朝は随分冷えた。もう本格的に秋だ。
今日は西浦の上野間から苅谷までの間で漁をした。毎回カレイかコチが1つか2つかかるだけで、後は小さい青ガニばかり。
そうそう、この青ガニはタイワンガザミというらしい。6月か7月に放送されたNHK特集でヒートアイランドを扱った番組が放送され、その中で東京湾で漁をしている刺し網漁師の様子が放映された。その時こちらと同じ青ガニがたくさん網にかかっていて、ナレーションで「タイワンガザミ」と言っていた。なんでも台湾など暖かい地方の海に生息するカニらしい。
しかし伊勢湾・三河湾には昔からこの青ガニはいたそうだ。当時はワタリガニが多かったのでこの青ガニを取って食べる人は少なく、まして売れるものではなかったらしいが、おじいさん曰く「少し甘くておいしい」ので、時々食べていたらしい。
他の船も小さな青ガニがたくさん網にかかったそうだ。ゴーヘー達は2人なのでツメ付きで青ガニをはずしてもってきたが(それでも半分ほどツメを折ってはずしたんで、それは捨ててきた=逃がしてきた)、他の船は一人だから全部ツメを折ってきてるみたい。売り物にはならないので皆近所や知り合いに配ると言っていた。うちらはもちろん売りました。


○9月26日(木)  <気まぐれ>
階下で台所の電灯のスイッチが入る音がした。いつもより乱暴で大きな音だった。時計を見ると3時20分、「起きる時間には早すぎるぞ?」。階下に降りていくとゴーヘー父が歯磨きをしてる最中だった。やっぱり行くみたいだ。「こんな早くに起きてどこまで行く気だ?」と思ったが下手に聞くと怒ったような返事が返ってくるから何も聞かずすごすごと2階に戻り支度をして再び降りた。台所に行くとゴーヘー父がしきりになにか呟いている。「1時間早かった」、、、ふ〜ん、起きる時間を間違えたのね(-_-;)。でもそのまま弁当を用意して出かけた。
オクゴオリを目指して船を走らせていると、佐久島を通過したあたりから波が出てきた。オクゴオリに近づくにしたがってそれはひどくなり、東から高い波が次々とやってきて船が大きく傾く。天気予報の通りになった。これでは漁ができないから仕方なく方向転換して梶島を目指す。
まっすぐ向かえば梶島は30分の距離だが今日は大回りをしてきた。それでも梶島に到着したらまだ真っ暗だった。出たのが早かったからなぁ。しばらく島の西側をうろうろして薄明るくなってから網をやる。島影で風も波も弱めのはずなのに船はよく揺れた。網を揚げているうちにあたりも明るくなり、桟橋方面にHA丸がいるのも確認できた。この時期彼がここにいるのは珍しい。
風も波も強くなるばかり。三河組は早々に退却。この程度の風では帰らないHA丸が9時前に帰っていった。どうらや何か用事があるようだ。ゴーヘー達も風に煽られ9時過ぎには帰ってきた。しかし西浦は風も波も弱いらしく昼になっても誰も戻ってこなかった。せっかく1時間も早く起きたんだからゴーヘー達も西浦に行った方がよかったなぁ。


○9月29日(日)  <ギマ多し>
天気予報は雨だったがいつものように出かけた。5時半頃オクゴオリの黒部に着き、早速網を入れる。すると大ガレイ1枚、クロダイ3枚、ハゴ7枚、アイナメ3本、ギマ3枚、タコ1匹と大漁だった。その後5クラ目までハゴやギマを中心に時々アイナメやカレイがかかった。6クラ目からコチとカレイがかかりだし、昼までの間(計5クラ)にコチが12・3本、カレイが14・5枚捕れた。もちろんギマもたくさんかかった。しかも皆手ぐらいの大きさでいいギマだった。
夕方の札場でこの大きいギマは値がよかった。1枚100円以上の計算だ。ST丸の売っていた青ガニも値がよかった。いつもは折っているツメが今日は付いていたからだね。


○9月30日(月)  <クラッチ故障>
朝梶島の桟橋そばで一クラ目を上げている最中、突然ゴスタンが戻らなくなった。すぐにブリッジ内でいくつかの電源スイッチを切ってもゴスタンは戻らないので、言われるままにエンジンを止めた。ゴーヘー父が原因を調べる間風に流されながら網を手繰る。しかし原因はわからずとりあえず網を揚げて風に流されるまま桟橋に寄っていき、竹で海底に棹さし細いロープのついた小さな錨を桟橋に投げて積まれた石に引っかけどうにか桟橋にみやる(舫る=もやる=船を繋ぐ)。
エンジンをかけると相変わらずゴスタンが入ったままで後進してしまう。エンジンを止め、リモコンボックスを開いてクラッチとハンドル(アクセル)の動きをチェックしてるときに、ゴーヘー父がハンドルを上げたままエンジンをかけてしまったため、猛烈な勢いでゴスタンしてしまい、みやっていたロープがぶち切れた。即エンジンを切ったけど船は惰性で桟橋を離れていくので、慌てて船のオモテに走っていきさっき投げた錨をまた桟橋に放り、なんとか桟橋の角の石にひっかけた。細いロープを二人がかりで引くと今にもロープが切れそうだったが、どうにか船を引き留めることができた。今度はもやい綱を二重にしてみやった。
調べても判らないのでとりあえず朝飯を食べてから、うちに電話して、エンジンを入れた工場の社長の携帯電話の番号を聞き、すぐに電話した。故障の状況を詳しく話すと社長は「クラッチワイヤーが切れてる」と診断を下した。確認のためにエンジン側のワイヤ接続点を調べるように指示があり、状況を話すと確信したようだった。
原因がわかったので電話を切って帰る準備をした。えっ?クラッチワイヤーが切れてゴスタンのままで走れるのかって?
桟橋から離れる時や近づいて止まる時にはゴスタンが必要だけど、海上を走るだけならクラッチはゴヘ(前進)に入れたままでOK。今回もエンジン側のワイヤ接続点を手動でゴヘに入れれば走ることができるので無事帰ってこられた。もちろん港について船を止める時にはゴスタンを使うので、そのときは手動で中立に戻した。
工場の社長に電話するとすぐにエンジニアがワイヤーの交換に来てくれた。テキパキと作業してくれて9時には交換終了。もちろんその後また漁にでた。ギマとガニしか捕れなかったけど、ガニ網をやっておいたので大きな本ガニ(ワタリガニ)が10パイほど捕れた。夕方の札場では1パイ400円ほどだった。
ところでゴーヘーはこの大きな本ガニに左手親指を挟まれてケガをしてしまった。指先から第一関節までを縦に挟まれ第一関節側のキズがちょっと深くて未だにうずく。もっとも関節でツメが引っかからなければ親指の腹が縦に割けていただろうからラッキーだったともいえる。


○10月3日(木)  <ギマ多し>
オクゴオリの黒部で漁をしていた4クラ目。クロダイを狙って沈んだ防波柵のそばに網を入れていた時、突然ドーンという音と共に衝撃が船に走った。足元の海面を見ると、防波柵の石積みがすぐ船の下に見えた。東西に並んだ防波柵とその石積みを横切ったようで、丁度波の谷間で船底が当たったらしい(>_<)。
網も横切ってしまってるのでもう一度船で横切らないわけにはいかない。できるだけ深い場所を慎重に横切って網をあげた。ゴーヘー父は「ちょっとよそ見とったもんだいなぁ」と言い訳してたけど、こんな危ない場所でよそ見しないでほしい。ペラがまた曲がったみたい・・・(;_;)
ここでの漁は諦めて東の防波柵付近に移動し漁をした。そしたらギマ(カワハギ)がたくさんかかる・かかる。手ほどの大きさがあるいいギマが多いんだけど、背と腹の返しがある角(ツノ)に網が引っかかってはずすのに一苦労。カレイやコチが1・2匹ずつかかるので続けて漁をしたんだけど、どこをやってもギマがたくさんかかった。全部で大きいギマが50匹くらい、小さいギマが70匹くらいかなぁ。2人じゃなかったらクラ数(網をやる回数)が半分になってただろうねぇ。


■エピローグ

また、船を当てましたよ。クロダイを狙ったり、他の人がやらないような危ない場所をやるからしかたないけどさぁ・・・今年はちょっと多いぞ。特に今週はクラッチワイヤーも切れたしなぁ。

今日漁が終わってから船台(ドック)に船を揚げたら、3枚のペラのうち1枚の先が幅10cmくらいに渡って1cm近く「ペキッ」と折れ曲がっていました(後でサイトに写真をアップしますね)。工場へ連絡してエンジニアに来てもらったら、「ああ、これなら叩いて延ばせばOK」と言って、ハンマーでたたき出しました。あっという間に延ばして帰りました。ホントにOK?

さて、実はゴーヘーが漁師になってからこの10月で丸2年。正確には9月28日なんだけど面倒なんで10月1日にします(笑)。まだ2年しかたってないんですね〜。

で、カレ網をやっている訳なんですが、これまでカレ網について詳しく書いてきませんでした。次回から2回、「漁師になって2周年記念」と題してカレ網について詳しく書いてみます。


■次回予告

Vol.26 「カレ網」 2002年10月19日(土)発行予定

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