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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.29 カレイ
                                   2002年11月30日発行
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■カレイ

今週月曜日「笑っていいとも!」を見ていた時のことです。「博士に聞いてみよう」というコーナーで「なぜ『かれい』と呼ぶのか」という問題が出題されました。以前どこかで聞いたような気がするのですがニワトリ頭なゴーヘーはまったく覚えていなくて、興味津々でさかなくんの解説を聞きました。

その昔カレイを見た漁師は、背中(上)側はちゃんと魚らしい皮膚なのに腹(下)側は白くておよそ皮膚らしくない。体も普通の魚に比べてとても薄く目も背中側に寄っている。これはきっと魚が縦に半分に割れてしまっていて2枚で1匹の魚になるんだと考えた。そこでこの「半分」だけの状態を「片割れ」と呼んでいてそれがいつしかなまって「カレイ」になった、ということでした。

和歌山の方ではカレイもヒラメも区別無く「カレイ」と呼ぶそうです。さかなくんの解説を聞いてこの話を思いだし、「おお!」と思わず膝を叩いてしまいました(^_^)。

昔の漁師が勘違いしたようにカレイは魚の中では体が薄くて平べったいです。便宜上『背中』と呼んでいる面は海底の砂地と同じような色・模様(保護色)をしています。海底で『背中』を上にしてエサが来るのをじっと待っています。『腹』は常に海底側のため色は白です。海から揚がってくる時のカレイの『腹』の白さは際だって輝いて見え美しいです。

こうして漁師は『背中』、『腹』と呼んでいますが、実はこれらは背中や腹ではなくどちらも体の『側面』なのです。カレイは海底で腹這いになっているのではなく左側を下にして横になっているのです。泳ぐ時に体を『上下』に煽って泳いでいるように見えるのは実は『左右』に振っていたのです。胸びれもエラのすぐ後ろに『左右』ともあります。口が縦に割れているように見えるのもカレイを縦にしてみると、ちゃんと『左右』に開いていますし、内臓も排泄口もちゃんと体の『下側』に来ます。『左右』で体表面の色が違うことと目が体の右側面に寄っていることを除けば、体の仕組みは普通の魚と同じなんですね。

カレイは海底での生活に特化した体の構造をしているわけですが、エサが来るのをジッと待っているだけではありません。彼らのエサはもっぱらミジと呼ぶ小さな貝、ゴカイ類、小さなカニ、時にはコウナゴなどですが、海底の砂地や泥の上で体を上下に小刻みに煽ることによって砂や泥の中にいる貝やゴカイを掘り起こして食べています。ヒラメと違ってカレイには歯がないので小魚などを襲うことは滅多になく、コウナゴを食べるのは春先だけです。

カレイにはマガレイ、マコガレイ、イシガレイ、ホシカワガレイ、マツカワガレイ、メイタガレイなど結構種類が多いです。ゴーヘー達がカレ網(タタキ又はドボチンとも呼ぶ)で獲っているカレイはイシガレイです。タテコミをやるとモガレイ(たぶん、マコガレイ)とコウソガレイ(頭に小さなツノがあるカレイ)が獲れます。イシガレイはウロコがないカレイで独特の磯の香がありますが、春から夏にかけては身がしっかりしていて煮付けでも刺身でもおいしいです。一方大きなモガレイはヒラメのように値段が高く、刺身最高! コウソガレイは皮が厚いのでちょっと敬遠され気味です。

カレイは日本全国どこでも獲れますが、漁獲高全体の40%は北海道で獲れているそうです。こちらにも北海道産のカレイが入ってきて価格競争に晒される時もありますが、ゴーヘー達カレ網の漁師は「生きているカレイを売る」ことにこだわってキズやスレのないカレイを獲ることに日夜?励んでいます(^_^)。




■今週のゴーヘー

○11月16日(土)  <本ガニがいない>
西よりの風がかなり強く吹いている中、船を出した。濡れた軍手が風で一層冷える。
山田前にやってあったタテコミを揚げると小カレイ(主にモガレイ)が30枚ほどかかっており、そのほかにアイナメ、クロダイ、タコなどが獲れた。クロダイは後ろの背びれから体に網糸が食い込んで3cmほど切れていた。かなり暴れたんだろうなぁ。ガニの方は3カゴ分揚げて青ガニが50コに対して本ガニは1つしかいなかった。


○11月17日(日)  <手が痺れる〜>
今日は朝から風も弱く絶好の漁日和。当然朝の冷え込みは厳しく手足が少し痺れた。去年は既にゴム手袋をはめて防寒してたけど、今年はガニ網をやっていてガニを扱っているのでゴム手袋では穴が空いてしまいすぐにダメになるためはめていない。冷えて痺れるのはそのせいだけど少し体を動かすと案外平気になる。風さえ吹いてなければの話だけどね^^;。
そのガニは青ガニが20コほど獲れただけだった。1コ100円でも全部で2,000円にしかならない。とりあえず場所を変えてもう一度網をやっておいてから梶島へ向かった。安くてもカレイを取ってこないことにはお金にならない。
しかし今日の梶島はカレイの気がない。一クラ目で小カレイが2枚いた他は続く二クラでカラ。空も曇ってしまい身も心も寒いんで、さっさと諦めて海田に戻ってきた。
11時頃海田に着く頃には空が晴れてきた。一クラ目で大きなモガレイ(長さ40cmくらい)が網の大目にエラを引っかけて揚がってきた!体は網から出ていて慌ててタマ(タモ)ですくって船に揚げた。コチだったらとうに逃げていただろね。昼飯を食べた後にも大ガレイが1枚揚がってきた。結局海田で5クラやってカレイを大小合わせて9枚つかまえた。値は安いけど油代くらいにはなりそうだ。


○11月18日(月)  <網がない>
朝から凪いで良い天気だった。手足が痺れるような冷えも無く快適だったけど、ガニはさっぱり獲れなかった。
まず、タテコミを一カゴ入れた後矢梨沖と河和沖のガニ網を揚げた。矢梨沖で本ガニ2、青ガニ1、河和沖で本ガニ2のみだった。河和沖の網は最後の1把か2把がボンデンもろとも無くなっていた。網の繋ぎ部分でブチッと切れていたので、走り船がボンデンを引っかけて無理矢理ひっぱったんだろうと予想。破れてた網とはいえ元手が無くなるのは嬉しくない。
このあとタテコミを2カゴ分揚げると小さなモガレイが40枚くらい、中ガレイが10枚ほどかかっていた。次に山田沖でもう一つのガニ網を揚げると、海苔枠からちぎれて流れてきた海苔が網にびっしりとついていた。海苔網を揚げているような気分になるほど海苔が着いていて網の重さが倍くらいになった。とって集めれば随分乾海苔が出来そうに思えたんだけど、海底の泥が混じっているのか、したたり落ちる水が濁っていた。海苔を指で触ると妙にざらつくので乾海苔案はボツ。残念だなぁ。
この海苔なんだけど、ゴーヘーが子供の頃の海苔に比べて、香りがちょっと違った。色も微妙に違う気がする。生海苔だから香りが少ないのかなぁ。
10時頃北西の風が吹き始めてじきに強くなった。午後には8〜9mくらいの風速だったようで、海が波頭で真っ白になってみえた。


○11月19日(火)  <また海苔>
ガニはもういないのかもしれない(シクシク)。
ガニの代わりに海苔がまた大量に網についた。網についた海苔もとって洗えば食べられるとゴーヘー父が言うので、「本当かな?」と訝りつつも、とって集めた。見かけは綺麗だけど桶に入れて洗ったら1度目は水が少し濁った。やはり泥が付いていたようだ。2度目に洗うと残り水は濁りもなく綺麗だったので海苔の水を切って持って帰ってきた。重さを計ると2kg秤りでは計れなかったのでちょっとびっくり。これで海苔の佃煮ができそう。


○11月20日(水)  <タコが喰う>
海田でタテコミを揚げるとよくカレイが喰われている。網にかかった魚を食べるのはタコ以外にいない。小さいカレイだと頭と骨と皮を残して綺麗に食べてある。ちょっと大きいと内臓だけ食べて放ってある。今日も3・4枚のカレイが喰われていて中には中ガレイのいいヤツが内臓だけ喰われてあって実に残念。
その代わりタコも網に良くかかっていて(笑)、今日は5つもつかまえた。ただし一番大きいタコは夕方売る時に死んでいた。タコが死ぬなんてとっても珍しいんだけど、なぜ?
7時からタテコミを揚げて9時に3カゴめを揚げ終わるとそのまま生田鼻沖に向かった。河和(こうわ)にやってあるガニ網はほったらかし。生田鼻沖は風が少しあって寒かった。2クラやったんだけど、小カレイが6枚獲れただけで止めて帰ってきた。今日はやけに諦めがよい(笑)。
午後もう一度船を出してタテコミを3カゴ分やってきたが、メジロドウマン(アナゴ漁)の船3隻がドウマンを海に放り込んでいる最中でやりたい場所に網がやれなかった。戻ってきてからまた網の海苔を採っていた。今日は4.5kg程採れたがもうこれでやめにしたい。


○11月21日(木)  <また網が切られてる>
矢梨前にやっておいたタテコミを揚げると最後の1反がちょうど半分の位置で縦に切られていた。おそらくメジロドウマンの上に網が乗っていて、ドウマンを揚げる際に切っていったのだろう。とりあえずタガ縄(アバがついている紐)を結んで繋げた。う〜む、そんなものか?
昨日4カゴ分のタテコミをやっておいたけど新子(1年生)モガレイが30枚、クロダイ3枚、中ガレイが2・3枚獲れただけだった。タコに内臓だけ食われている大きなアイナメ(40cmくらい)があって実にもったいなかった。
タテコミを揚げた後はガニ網を揚げたんだけど今日の海苔の着き具合は半端じゃなかった。まさに海苔網と見紛うほどびっしりと海苔がついていた。海苔のため網がカゴに入りきらず水を切るように上から押さえていたら「入いやへなれ(入るわけがない)!」という忌々しそうなゴーヘー父の罵声が飛んだ。腹が立ってるからってゴーヘーに当たることないじゃん。2カゴ分のガニ網に海苔がびっしりと付き当然ガニは一つもいない。続けての漁はできないので帰ることにしたんだけど、船を走らせながらゴーヘー父は網と網を繋いでいるタガ縄をほどき網を1反ずつ括り始めた。ゴーヘーもやっていると船が波を切る音に混じって「バシャー」と音がする。顔を上げるとゴーヘー父がくくったガニ網を海に放り込んでいた(-_-;)。よっぽど忌々しかったとみえて網に八つ当たりして捨てていたわけ。2反捨てたところで気が済んだのか止めて船の速度を上げた。ゴーヘーの気の短さはまさにこの父譲りだと改めて理解する^^;。
ガニ網は燃やすつもりらしいが海苔が濡れてて燃えないでの乾かすことになった。防波堤に掛けてしばらく放っておくことにした。


○11月22日(金)  <・・・・>
昨日の午後強風の中タテコミを4カゴ分やっておいた。今朝はそれを順番に揚げていったのだが、小さなモガレイが5・6枚ずつかかるだけで3カゴ分揚げてもカンコの中はカレイがまばらにいるだけ。4つ目のタテコミでようやく10数枚のカレイや青ガニがかかった。カレ網に行ってもかかるカレイはこれより少ないし、もう完全に冬状態。
仲買に魚をもってったらナマコが小さなかごに入って水槽に浮いていた。赤ナマコのいいやつばかり20コくらいあったから、たぶん今日のゴーヘー達の水揚げよりもいいだろう。もうすぐナマコの解禁だ・・・あれ?あの赤ナマコ、誰が持ってきたんだ?


■エピローグ

26日にちょっとした事件が発生しました。いつもは1日10件前後しか回らないうちのサイトのカウンターが、夕方からくるくると回り始めたのです。アクセス解析で50件を越えるアクセス数を見た時は素直に「カウンターが壊れた」と思いました(笑)。

アクセスアップの原因はネットのお友達で相互リンクもしている和歌山の漁師まさみさんのサイト「はまかぜ通信」からの訪問者が急増したためでした。この日の夕方、関西ABC放送「NEWSゆう」にてまさみさんとそのサイトが、インターネットで魚の通販をやっている「インターネット漁師」として紹介され、放送を見た関西地区の視聴者の方が「はまかぜ通信」を検索してアクセスしたらしいのです。その数ざっと4,000件。その後もアクセスはまだ継続しているようです。注文のメールも大変な数があったらしく、メールを読むだけでも随分時間がかかった模様。

マスメディアとしてのテレビの力を改めて思い知った次第です。

関西ABC放送:ニュースゆう
http://webnews.asahi.co.jp/you/


■次回予告

Vol.30 「タタキとタテコミ」 2002年12月14日(土)発行予定

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