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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.30 タタキとタテコミ
                                   2002年12月14日発行
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■タタキとタテコミ

Vol.27「カレ網漁」でも少し触れましたが、ゴーヘー達カレ網の漁師が通常やっているカレ網漁は「タタキ」とか「ドボチン」と呼んでいます。理由は昔錘などを海に放り込んで海底にいるカレイを驚かして網に追い込んでいたためのようです。

一方のタテコミはカレ網を数時間から一晩程度カレイの移動しそうなところに張っておきつかまえる漁です。全国的に「刺し網漁」と呼ばれていてカレイ以外の多くの魚で同じ漁法が行われています。魚以外では伊勢エビも刺し網で獲るようです。

タタキは魚を追う積極的な漁法であるのに比べ、タテコミは魚が移動してくるのを待つという受け身な漁法ですが、獲れる魚は同じようなものが獲れます。コチやクロダイ、セイゴ・マタカ(スズキ)、ギマ(カワハギ)、イカ、ガニ、エイなどの他にタコなども獲れます。同じ網で使い方が違うだけなので考えてみれば当たり前のことです。

しかし唯一カレイだけは違っています。

タタキで獲れるカレイは主に「イシガレイ」ですが、タテコミでは「モガレイ(たぶんマコガレイ)」が網にかかります。逆の場合はあまりありません。食べているものも棲んでいる場所も変わりがないだけに、これは未だに不思議でなりません。

想像ですが、イシガレイは音や振動に敏感で慌てて逃げて網にかかってしまうけど、普段は網があると敏感ゆえに網を障害物と認識して避けてしまうのではないか。一方モガレイの方は、イシガレイに比べて音や振動にちょっと鈍感でガランガランで追われても平気だけど、普段の移動中に網があっても鈍感ゆえそれを網とわからず無理矢理通り抜けようとして網目にかかってしまうのではないか。

イシガレイをカンコの中でタマ(タモ)ですくおうとしても横や上に逃げたり、後ろの下がったり(!)してすくうのに難儀します。彼らは海で泳いでいて網にぶつかると後ろの下がるのかもしれません。モガレイはひたすら前に突進するのでタマですくうのも結構簡単です。体はイシガレイに比べてやや細長いので直進するのに向いているかも(^_^)。

というわけで、タタキとタテコミでは網にかかるカレイが違います。したがって、今までもこれからも、ゴーヘー通信中では「カレイ」と言ったら、 タタキ(ドボチン)をやっていたら、「イシガレイ」 タテコミをやっていたら、「モガレイ」
を差すと思ってください。ついでですがカレ網(もしくはカレ網漁)、と言ったら、タタキ(ドボチン)を差すと思って差し支えないです。




■今週のゴーヘー

○11月29日(金)  <今冬一番の冷え込み>
いや〜、今朝は寒かった〜。良く晴れて風もなく霜が降りる一歩手前。1カゴ目のタテコミを手繰り始めたら直に手が痺れてきた程だ。思うように指が動かないよ〜。
網にかかっていたのは大きさが掌程度のモガレイやコウソガレイが多かった。大きなクロダイが1枚だけかかっていたが随分擦れていた。揚がってきた時はもう死んでるかと思ったほどぐったりしてたけど、カンコに入れたらちょっと元気が回復したみたい。
タテコミ4カゴ分を揚げ終わったら8時半で仲買に魚を持って行くには少し早かった。それで一旦船をつけてから発泡スチロールの箱に海水と魚を入れて軽トラックで運んでいった。仲買に着くまで5分ほどかかるんで魚が酸欠にならないかと心配なんだけど、気温が低いし小さいカレイが多いんで大丈夫みたい。


○11月30日(土)  <タテコミもお終い>
昨日の午後やっておいたタテコミを今朝も揚げに行った。例によって4カゴ分だ。かかっていた魚は昨日より少なめだったが、カレイはちょっとだけ大きくてアイナメも2本あったので重量は昨日より1kg程重い10kgあった。キロ単価が700円なんで大した水揚げ高にならないし、春のキロ2,000円なんて時から考えるとなんともやりきれないが、季節ものだからこれも仕方ない。他にタコが3匹、コチ1本などがありどうにか1万円の大台には乗った。今期のタテコミもこれにて終了。
午後明日から行うナマコ引きの準備をした。いよいよナマコ解禁でカレ網の漁師は今日の午後数名がその準備をしていた。ただ、明日は葬式があるんでうちはお休みだ。残念。


○12月2日(月)  <ナマコ漁開始>
うちにとっては今日が初漁。風が凪いで波もなく絶好のナマコ引き日和。いつもは浦口(大井漁港入り口)の灯台付近でナマコ引きを始めるんだけど、今朝はそこで誰も引いていないので昨日ナマコが獲れなかったんだと予想し、ホウベでナマコ引きを始める。しかし獲れるナマコの数が1回あたり5・6コしかなく、じきにイワテ(北側)のツカワ瀬付近に移動した。ここは水深が少し深いのでナマコ引きはちょっとやりづらい。
ここではナマコマンガを引き上げると袋(網)にガゼ(ウニ)がごっそり入ってきた。ガゼの中にナマコが入ってる状態で、ガゼの山からナマコを掘り起こすと10コくらいある。5〜10分ほどナマコマンガを引いてナマコを取りだしてまたナマコマンガを引いて、、、を延々繰り返す。11時近くまでやって黒ナマコを80コ程度、青ナマコを40コ程度獲ってきた。期待してた漁の半分以下、昨年同様今年も不漁のようだ。
午後、強い風が吹いてきた中止めたはずのタテコミをやりに出た。ナマコが不漁ではタテコミでもやって少しでもいいからカレイを獲らないことにはお金にならない。風が強く波は0.5〜1m程度あったんでかなり作業しづらかった。


○12月3日(火)  <タテコミ再び>
今朝はまずタテコミを揚げに出た。他の人達はすでにナマコを引いている。昨日のゴーヘー達はたいしてナマコが獲れなかったんだけど他の人達は充分に引けたんだろうか?
まぁ心配してても埒があかんのでとにかくタテコミを揚げて来て一旦魚を札場(市場)の水槽に入れ、ナマコのコノワタ取りの準備をした。ナマコが充分に海水を吸った頃合いを見計らって作業を始める。途中釣り客らしい人がコノワタ取りを見に来て「細かい作業だね〜」と感想を漏らしていった。大井の漁師の仕事の中ではたぶん一番細かくてチマチマした作業なのは間違いない(笑)。晴れてて暖かいからいいけど曇って風が吹いているような日にはやりたくない
作業だ、、、それでもやるけどね〜(-_-;)。


○12月4日(水)  <雨>
昨日の午後網をやりに出る時空一面に雲が出てきたのを見て「明日は雨だな」とゴーヘーが呟いたら、すかさずゴーヘー父から「明日はまんだ降らすか(まだ降らない)」と否定されてしまった。続けて「まぁじきに降るけどな」とも言う、、、どっちやねん!(苦笑)
で、今朝起きてみれば雨降りですよ、これがぁ。昨夜の天気予報は正しかったなぁ(笑)。
案外暖かくて手がかじかむようなことはないがとにかく雨に濡れるのが嫌いなゴーヘー。天気予報が当たってもちっとも嬉しくない。雨は一時小康状態だったけど帰ってくる9時頃には土砂降りだった。魚を札場の水槽に揚げたら「片名(の仲買)に持ってくかぁ」と独り言のようにゴーヘー父が呟く。今更雨の中魚を移し替えて車で持っていくより、船でそのまま行っていた方が良かったと思うゴーヘーは黙って聞いていた。すると今度は大井の仲買の水槽に魚の入ったカゴを移すようにゴーヘー父が言うのでカゴを持って移動。秋の天気のようにコロコロと言うことが変わるので、毎度のことながら大変。
獲れた魚は3セイロ分しかない。1セイロあたり良くて2,000円ぐらいだろうからあわせて6,000円程度だろなぁ。やっぱりナマコを獲らなくちゃだめか?!


○12月5日(木)  <網によくかかる>
昨日の午後のタテコミは浦の中に3カゴ分だけやっておいた。今日が風が強くなりそうな様子だったのと、たまには場所を変えたかったためらしい。今朝の風は確かに強かったが、魚の方はさっぱりでアテが外れた。代わりにナマコが20コくらい網にかかってきた。ナマコマンガではあまり獲れないのに網にはよくかかるのはなぜ?(笑)
札場の水槽に魚を移していたらオンヤ(本家)のおじさんがちょうど来て少し話しをした。ナマコの引っかけではナマコが小さいけど、去年よりちょっと漁がいいらしい。ゴーヘー達も引っかけをやりたいけどうちのテンマの船外機では排気ガスで気分が悪くなるんで気が乗らない。船外機は案外高く(25馬力で30〜40万円)、ナマコ漁のためだけに船外機を交換するわけにもいかない。


○12月6日(金)  <大きなワタリガニ>
今朝もタテコミを揚げに出た。4カゴ分のタテコミを揚げたのだが、獲れるカレイの量が少し減ってきた。だいたい、産卵期の今、卵でポンポンに膨れたお腹を持つカレイを獲ってしまって大丈夫なのか?毎年のことかもしれないがカレイが少なくなるのではないかと心配だ。かといってこれ以外収入を得るものがないのだから他に道がない・・・・いや、少ないけどナマコを獲る道があるなぁ。
カレイ以外ではタコやガニがかかった。どちらも大物がかかりちょっとびっくり。タコは足の付け根の太さが4cm近くある大物で重さが2kg近くあったかもしれない。ワタリガニも今年最大の大きさで片手で甲羅を縦に持つことができなかった。仲買に持っていった時に重さを計ったら640gもあった。この辺では普通500gもあれば大物なのでその大きさが飛び抜けている。写真を撮り忘れたことが残念でならない。


○12月7日(土)  <ナマコ引き>
タテコミではやはり埒があかないので今朝はナマコ引きをやった。タテコミで網にナマコがたくさんかかった中学校の前を重点的に引いてみた。ここは海底が泥になっているらしく普通より少し軽いナマコマンガでないとうまく引けないため、昨日の午後それを準備してテンマに積んでおいた。
初日に比べればナマコがよく獲れたと思う。多い時は1回で20コ以上、平均でも10コくらい獲れたんじゃないかな。しかもナマコがみな大きい。例年この付近は誰もナマコを引かないのでナマコが大きく育ったのかもしれない。コノワタ取りは大きなナマコでも小さなナマコでも手間はいっしょなので、大きいナマコは大歓迎。11時半まで引いてテンマのカンコ1つが一杯になった。ちょっと少ないけど昨日・一昨日と網にかかった分が40コくらいあるので明日のコノワタとりはちょっと時間がかかりそうだ。


○12月8日(日)  <コノワタ取り>
今冬2度目のコノワタ取りだ。朝から曇りで風も少しあり薄ら寒い。いつもの場所に底の浅い水槽を用意してナマコを活かしコンロに炭火を熾して準備をする。
9時頃からコノワタ取りを開始した。ナマコが大きいのでコノワタも取りやすいし重量もあって楽しみだ。10時過ぎにはゴーヘー母も応援に来てくれて3人がかりでとる。作業は順調なのだが、天気は依然曇りでなんだか朝よりも気温が下がったような気がして妙に寒い。寒気が下がってきてるようだ。12時頃に作業が終わり後かたづけをして片名の仲買に持ってった。水分を切ってみないとわからないが全部で1kgくらいありそうなので値段が楽しみだ。


○12月12日(木)  <寒い〜>
昨日の午後ゴーヘーの知らないうちにゴーヘー父がタテコミをやってきていて、今朝はそれを揚げに出た。3カゴ半分のタテコミはすべて浦の中にやってあった。中学校の前の網には例によって大きなナマコがたくさんかかってきた。中堤防のまわりでは小さなワガがたくさんかかってきた。売り物にはならんだろね〜。南堤防のそばでは掌に載るほどの伊勢エビがかかってきた。昔はよく獲れたらしいが、今ではとても珍しい。
タテコミを揚げ終わったらナマコ引きにでた。今回はマガナで引いたのだが中学校の前に比べてナマコが少ないしやや小さい。昼まで引いてたけどテンマのカンコ1つに7分目程度しか貯まらなかった。小さいのが多いからコノワタ取りもいっそう手間がかかるだろうなぁ。
午後は昼飯を食べて一休みしてからタテコミをやりに出た。最初の一カゴ目をやり終えボンデンを海に投げ込んだところ、ボンデンに紐が絡まってしまったので船を近づけて紐をはずし再び海に投げた。次の場所に移ろうとゴーヘー父が船をゴヘしたところ、今度はペラにボンデンの紐が絡まってしまった。ボンデンは船の左にあったので通常ならゴスタンか左旋回ゴヘしてボンデンをやり過ごすんだけど、この時は船の右側のイワテ側に行きたかったのでそのまま右旋回してしまったらしい。海の上ではちょっと横着なことをすると必ずしっぺ返しがある。
絡まった紐はなかなか取れずとにかく一旦紐を切って網には別な紐と錘を結び直してボンデンをつけた。ペラに絡まった紐はそのままにしてタテコミを続け、港に戻ってからトモのペラのすぐ上にある覗き口を開けて、絡まってくしゃくしゃになった紐を15分くらいかかってはずした。


○12月13日(金)  <今冬一番の寒さ再び>
ここ数日とても寒い。朝方布団の中があまり暖かくない、むしろ冷えるような感じさえする。
朝はまだ風がおだやかでタテコミを揚げるのもさほど苦にはならなかったが、ゴム手袋を手にはめているので魚を掴むとつるつる滑って扱いづらい。小さなイシモチが網にかかって死んでいてそれをはずしては海に放り投げるとすぐにカモメがやってきて拾って食べていた。今朝はいつもよりこのイシモチが多くかかっていて皆死んでいたのですべてカモメのエサになった。20羽くらいのカモメが船のそばにいて、どのカモメの体もネコより一回りくらい大きい。ちょっと茶色っぽくて皆目つきが悪い(笑)。労せずしてごちそうにありついた恰好だ(笑)。
タテコミを揚げ終わって帰ってきたらすぐにコノワタ取りの準備をして、コノワタ取りをやった。コノワタを採った残りのナマコのカラをほしいという人がいて全部あげた。なんでも茹でて干して中華料理で使う干しナマコを作ってみたいらしい。うまくいくといいね。


■エピローグ

今月初めからレンタルDVDに凝っていて借りてきてはパソコンで観ています。その中に「ハリーポッター」の1作目もありこれを観てから2作目を映画館で観てきました。すっかりハリーポッターにはまってしまい、1作目の本を買って来て読んだのですが値段が1,900円と高いので、2・3作目は安い原書(各1,200円)を買いました。

しかし英語は苦手だったことを読み始めてから思い出しました^^;。1ページ中にわからない単語が20コもあるような状態で、「読む」というより「調べている」ような感じです。確実に英語の辞書を読んでいる時間の方が長いです(;_;)。

「安物買いの銭失い」という言葉が頭の中をぐるぐる回っています(苦笑)。3作目の映画公開は再来年という噂もあるので、気長に読んでいきたいと思います。


■次回予告

Vol.31 「ナマコ」 2002年12月28日(土)発行予定

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