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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.35 カレイのいる場所
                                    2003年2月22日発行
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■カレイのいる場所

皆さんよくご存じのように、カレイは海底に住んでいます。マグロやカツオのように海中を泳ぎながらエサを追っかけて食べるのではなく、海底で砂や泥に隠れてジッと獲物が来るのを待っていたり、砂や泥を体で煽って小さな貝やゴカイを掘り出して食べたりしています。

海底は水深さえ気にしなければ、見渡す限り広がった海のどこにでもあります(当たり前)。ならば、カレイはその海底のどこにでもいるのか?、といえば実際はそうではありません。近年はカレイが少なくなったのですが、カレイが多かった昔でもナマコのようにどこの海底でもいたわけではありません。もしどこの海底にでもいれば40パイ以上いた大井のカレ網が10パイちょっとの数に減ることもなかったでしょう。カレイのいる場所は海底の砂地の中で「ある条件」が整った場所だけなのです。

「ある条件」は2つあります。1つはもちろん「エサがある場所」です(^^)。
エサの無い場所はカレイに限らずどんな魚も生き物もいません。当たり前ですね。カレイはこの「エサがある場所」にずっといるわけではなく、どこからか移動してきます。きっとエサを求めて彷徨っているのでしょう。

2つめの条件は「段差のある場所」です。実はこれがとても大切な条件でして、どうやら「段差がある場所」に「エサがある」ようなのです。

テレビのニュースやドキュメンタリー番組などで海底の映像をご覧になったことがあるでしょうか。大抵デコボコした起伏に富んでいてカニや貝、小魚などが泳いでいたりします。この海底のデコボコは潮の流れや生物の活動の結果できたものでしょうが、そこに生き物がたくさんいることの証でもあります。当然カレイもこのような場所に隠れています。

海底のデコボコは海底のあちこちにありますが、海底一面が一様にデコボコしているわけではなく、海の上からはデコボコ具合がわかりません。このため昔は海底が砂地ならたぶんデコボコしてるだろうと「あたり」をつけて網を入れていました。

海底の「段差のある場所」はデコボコ以外に、海底の地形そのものに「段差」がある場所があります。この段差がはっきりとわかる場所は知多半島の西側の海底です。海岸から数百m沖合に海岸とほぼ平行して10〜50cmくらいの段差があり、場所によっては更に沖合に平行に段差があります。このような「段差がある場所」には不思議とカレイが集まってきます。我々はこの段差に網を入れるので、段差に沿ってカレ網の船が並んで漁をしていることが多いです。

海底にこのような「段差」があるのは実に不思議です。ゴーヘー父から段差のことを聞いた時から「どうしてできたんだろう?」と考えていました。潮の流れや生物の仕業では海岸と平行に何キロにも渡って作ることが困難だからです。

そんなある日、「この段差はひょっとしたら氷河期の頃、海岸線が後退した時のその時の海岸線(高潮線)なのでは!」と気づきました。氷河期の頃の海岸線だとすれば半島に沿って形成されているのも、複数あるのも説明がつきます。

そう思ったら「もし氷河期がなかったらここで漁ができない」とか「地球の歴史の上で漁をしている」ような気がしてきて妙に感激してしまいました(笑)。この感激を誰かに伝えたい、と思ったのがメルマガ発行に至ったそもそもの始まりでもあります。

ところで、漁の最中に氷河期のことを考えているのはやっぱり変ですよね(笑)。




■今週のゴーヘー

○2月15日(土)  <初漁>

今日は今年初めてのカレ網漁。去年より1日早い出漁だけど、他の人はすでに何度か出漁してる。しかしそんなに早く出漁してもカレイなんて獲れない。去年だってはじめて3日間はカレイが2・3枚ずつ獲れただけで、2月中に9日間出たけど2万円ちょっとの水揚げしかなかった。3月に入って最初の出漁日に2万円の水揚げがあったので2月分を1日で稼いだことになる。実にレベルの低い話しだが(苦笑)。

2月は儲からないとわかってても出漁するのは、「もしかしたらたくさんつかまるかもしれない」という気持ちと「他の人がでるから負けてられない」という気持ちがあるため。一昨年の2月は8万円近い水揚げがあったから、去年が少なすぎたとも言える。まぁ、やっぱり漁をしてみないことには何もわからない。

で、その初日の漁だけど、三河の吉田港近辺を中心に梶島や大瀬付近で網をやった。7時半から12時半までの間でカレイがかかったのは4回だけ。合計10枚のカレイがかかっただけだった。最後にはアオサが大量に網についてしまい、なんだか網を汚すために漁に出たような気がする。去年も2度目の出漁日にアオサが大量に網についてしまったが(Vol.9参照)、今年は初日からアオサに見舞われた。去年のようにカゴに入れて放って置いてもアオサは取れないので、戻ってから夕方まで丹念にアオサ取りをした。

今年も散々な初漁だった。


○2月17日(月)  <風邪>

一昨日(15日)の夕方、急に寒気がしてきて具合が悪くなった。夜には熱が37度8分まで上がりお腹は下った。どうやら風邪を引いたらしい。ゴーヘー父母は「(今年)初めて海に行ったで(寒かったため)だわ」と言ってたけど、15日の朝は寒かったけどすぐに暖かくなって気持ちの良い1日だったから、今年初めて漁に出たせいではないと思う。

風邪のウィルスの潜伏期間は1〜3日程度らしいので、先週の水〜金あたりに風邪の原因があると思う。怪しいのは金曜日に届いた封書。

南極観測隊の人たちが普段は風邪を引かないけど、たまに家族から手紙をもらうと風邪を引くという話しを聞いたことがある。都会から届いたあの封書にも風邪のウィルスが混じっていたかも・・・・って、ここは南極並みの僻地?

まぁ、子供の頃から世間でどんなにインフルエンザが流行しても、ゴーヘー達は学級閉鎖って経験したことないし、今の生活では人混みに出歩くことが少ないからウィルスをもらってくることも少ないと思う。

うん、封書が怪しい(笑)。


○2月20日(木)  <途中から強風>

午前中は自宅待機(苦笑)。というか、起きたらすでにゴーヘー父は出かけた
後でした^^;;;

午前9時頃北西の風が急に強く吹いてきた。昨夜の天気予報で日本の南にある低気圧に風が吹き込むと言っていたのでまさにその通りになった。10時頃部屋の窓から海を見たら白波の中を三河から戻ってくる船を一艘発見。うちの船でした。

午後獲れたカレイ10枚を仲買に持っていった後、今日網に付いたアオサを取った。一クリ目でアオサが付いて一緒にカレイも10枚付いてきたらしい(苦笑)。

相変わらずの強風だけど先月までのような冷たさはあまり感じない。それでも風に当たり続けると冷えるので風を防ぐために船縁(ふなべり)の縦穴に竹を差して支柱にしブルーシート(うちのは緑色)を横断幕風に張った。このブルーシートが風に吹かれてがさがさと実にうるさい。船も風に流されて岸壁にドシンと舳先を当てたりする。真冬でもこれほど強い風が吹くことは少ないと思うほど強い風になった。

そのうち支柱代わりにしてた竹が風圧で折れてしまった。更に1時間後くらいには煙突に縛り付けていたブルーシートの端がカシメ金具ごとちぎれてしまった。まだそんなに傷んでいないはずのブルーシートだったのでビックリ。ブルーシートがもっと丈夫だったら煙突が折れていたかも? 破損したのがブルーシートで良かった。


■エピローグ

ようやく漁が始まりました。カレイはぽつりぽつりと獲れます。アオサもたくさんかかります。きっと重さはカレイの合計より重いです(苦笑)。

カレイのいる場所はわかっているのですが、今日そこにいるかどうかは網を入れてみないとわかりません。10kg以上獲れると張り合いとやる気が出てくるので、是非そういう場所にあたりたいものです。

ちなみに、今日はゴーヘー母の7?歳の誕生日です。パチパチ。


■次回予告

Vol.36 「春一番」 2003年3月8日(土)発行予定


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