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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.38 梶島の春
                         2003年4月5日発行
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■梶島の春

全国各地から桜の便りが聞かれ、日本列島の春がまさに始まったようです。ここ知多半島でも花曇りの中ソメイヨシノが満開を迎えています。気温も急速に上がり実に春らしくなって参りました。

さて梶島ですが、この島は三河湾北部、赤穂浪士で有名な吉良上野介ゆかりの吉良吉田にある吉田温泉と宮崎漁港の沖合約500mの海上に浮かぶ、周囲1km足らずの小さな無人島です。

島の北東側の海岸は絶好の潮干狩り場となっており、春のこの時期宮崎漁港から渡し船が出て潮干狩り客をたくさん運んでいます。島の周囲は岩礁・磯によって取り囲まれており、特に島の北側には海上に頭を出す岩礁があり、その周りの海底は浅く良質の砂地が広がっています。

ここでは一年を通して地元漁師が伝馬船の上から腰マンガを使ってアサリをかいています。この時期吉田温泉側から彼らを眺めると、春霞に霞んだ逆光を受けて海に浮かぶ彼らの様子が影絵のように見えることがあります。濃淡の墨一色だけで描かれた山水画の風景が目前に広がり、振り返ると吉田温泉の山腹の緑とそこに咲くソメイヨシノの桜色が鮮やかなコントラストを見せています。自然が演出する贅沢な瞬間と言えます。

梶島の春として忘れてはならないものがもう一つあります。それはやはり桜です。

梶島の桜は主にヤマザクラで島の北側、つまり吉田温泉側に多くあります。吉田温泉のソメイヨシノが散る頃、梶島のヤマザクラは自身の若葉を交えて白い花を満開にします。すると常緑樹の緑に被われた島が突如ヤマザクラの白い帽子を被ったようになります。この様子を吉田温泉から見ても上から見下ろすことになるので白いまだら模様に見えることでしょう。わずかに2・3日の出来事ですが、この様子はやはり海の上から見てこそ実感できるものだと思います。

この時期梶島で漁をする場所は主に島の北側です。梶島へ行くと影絵か白い帽子のどちらかを眺めながらの漁となります。これらは船の上に生涯を浮かべる私たちのささやかな楽しみと言えます。





■今週のゴーヘー

○3月22日(土)  <値が下がる>

昼前から雨が降り出した。カレ網なら出かけないけどアサリかきは別(笑)。

昨日手に入れたマンガを早速使ってみた。場所は昨日までと違う北側のシマ(岩)の間の砂だまり。大きいマンガではかきづらい狭い場所だけど、去年そこで大きなアサリが出た。やり始めるとやはり小さいマンガはこの場所にあっていた。特にシマのそばの砂の中にいるアサリをうまく掘り出すことができた。ただ、一かきでアサリ3・4コしか採れないため、なんだか効率が悪い。う〜ん、アサリは大きいけどいまいちだな。

3時間ほどやって大中あわせて11キロしか採れなかった。仲買に持っていくと大がキロ600円、中がキロ300円に下がっていた。原因は昨日から日間賀島のアサリが解禁になってアサリがたくさん水揚げされたため。市場原理だから値が下がるのは仕方ないが、中のキロ300円には参った。かなり労力を使っても少ない量しか採れずしかも値が安いときてはやる気がでない。かといって労力がかかるから高い値で買ってくれるというものではない。これがまさに市場原理。大井のシマの中のアサリは競争力に欠けるということだ。

もちろん安くても採れば現金に換えることはできる。しかしその分の労力を他の漁に使った方がずっと儲かるんじゃないかと、普通の人は思うよね。

というわけで、明日からはカレ網だ(苦笑)。


○3月23日(日)  <カレイはどこ〜?>

朝オクゴオリで網を汚した。上げ始めの一把にアオサがびっしり、それ以外の網にもたくさんアオサがついた。この上げ初めにカレイが1枚かかっていたんだけど、アオサの中に何か白いモノがあって初めはカレイと気がつかなかった。それほどアオサが多かった。

3クリやってオクゴオリを諦めてOA丸といっしょに一色前まで走った。同じカレイが獲れないなら、網が汚れない方がずっといいからね(苦笑)。

一色前では沖の方でSK丸がやっていたのでそのそばに網を入れた。するとここで大ガレイが2枚かかった。その後は昼までにカレイが3枚かかっただけだったので、この大ガレイは実にラッキーだった。これがなければ今日は仲買に行かなかったろね。売り物のカレイは6枚で、3.1kgだった。


○3月24日(月)  <ちょっといた>

今日は大谷沖で漁をした。10時頃まではポツポツとカレイがかかり13枚ほど溜まったけど、それからお昼を挟んで5回連続何もかからなかった。去年記録した6回連続カラに並ぶかと思ったその6回目、上野間でようやく1枚かかった。やれやれだ。

結局カレイ11枚、セイゴ2本で1万円だった。せめてカレイが20枚つかまるといいのになぁ。


○3月27日(木)  <三河だ!>

4時に起床して4時40分頃出港。カレ網の中では一番最初だったが、明神様を回る時に後から来たST丸に追い越された。向こうは船が軽い分船足が速いからなぁ。

小鈴谷沖でまたボラがかかった。網をやり始めた時に付近いったいにボラがいることがわかり、ガランガランで魚を追う時間をいつもの1/3くらいに短縮してすぐに網を上げたんだけど、10本ほどかかっていた。その後は10時頃まで1枚ずつカレイがかかり、セイゴも合計4本かかったけど、それからまた5回連続カラだった。OA丸もTA丸もいい話をしないけど、三河組が誰も無線で話さないので非常に気になった。

片名の仲買に魚を持っていくと、「TE丸が9kgも獲ってきたぞ」と社長が教えてくれた。カレイを見せてもらったら大ガレイは少なかったけど皆よく肥えていた。三河(一色前)のカレイっぽい。港に戻ると戻ってきていたOA丸やTA丸から、三河で大漁だったという話しを聞いた。三河組はそれぞれ10〜20kgくらいのカレイをつかまえてきたらしい。道理で朝から無線で誰もしゃべらないはずだ。急に暖かくなったからカレイが上がってきたのかなぁ。してやられた感あり。残念だけどこればかりはどうにもならん。

明日はまた北西風が吹いて冷えそうだから、またかからなくなるかもしれない。でも明後日は三河行きだな。


○3月30日(日)  <いまいち>

昨日は風で出られなかったんで、今朝こそはと出かけた。ちょっと冷えて寒いのとまだ風が残っていたのとで、船着き場で迷っていたけど思い切って船を出した。

沖に出ても思ったほど風も波もなく、一色沖のSK丸が船を止めた付近で網をやった。他の船が集まって来た頃網を上げるとカレイが2枚かかっていた。先日の連続カラに比べればはるかにいいが、三河組が大漁だった場所はここじゃないのかも。

すぐさまOA丸が行った矢作川河口前へ全速で急行。着くとすぐ海苔ソダの間で網をやった。するとカレイが6枚かかったので、この付近で続けて5クリやった。全部で18枚のカレイが獲れたけど、皆サイズが小さめなのであまり重量がなさそう。この後河口の沖に出て2クリ、吉田港前で1クリ、梶島で2クリやったけどカレイを4枚追加しただけだった。どうも調子が出ない。

ゴーヘー父が仲買に魚を持って行ったら、TE丸が7kgあったと教えてくれたそうだ。こちらは6.2kg。負けてる(苦笑)。朝我々が網をやった場所付近でTE丸は漁をしていたので、そこから動かない方がが良かったようだ。

珍しくマス(たぶんニジマスだと思うが・・)が網にかかった。今夜はお刺身だ。


○3月31日(月)  <大漁>

今日は西浦に行った人が多かった中、ゴーヘー達は昨日と同じく三河に繰り出した。

マノの河口のちょっと沖で漁を始めると昨日までとは様子が違った。2クリ目でカレイ5枚、3クリ目で7枚(大ガレイ3)+セイゴ、4クリ目でカレイ3枚+セイゴと絶好調だった。毎回これくらいカレイがかかれば毎日が楽しいのにとさえ思った。

5クリ目をちょっとタアカ(岸側)でやったらアオサと海苔が網にびっしり付いてきて、また沖側へ出た。ついたアオサと海苔は半分くらいが海中で自然に取れていくので、残りを適宜取りながら網を揚げた。8クリ目でカラだったのを契機にもっと沖の生田鼻沖(いくたのはなおき)に出て帰るまで6クリやった。一度もカラはなかったけど、最後は小さいカレイが2枚かかっただけで、のカレイは海に逃がした。もっと大きくなってから網にかかってくれ〜(願)。

仲買へ行くと社長がすぐに「今日は良かった?」と聞いてきた。きっとゴーヘーが嬉しそうな顔をしてたんだろね。カレイ36枚で約11kgだった。


○4月1日(火)  <アサリは少ない>

今年2度目のアサリかきの潮が始まりさっそくアサリかきに出た。しかし今回の潮はあまり干らない潮なので思ったようにかくことができなかった。大小合わせて4kgくらいかな〜。大きいアサリは水槽に活かしておき明日の分と合わせて売ることにし、小さいアサリはうちで食べることにして、海水に活かして砂を吐かせ中。

カレ網に出たゴーヘー父は今日も大漁だった。アサリかきよりカレ網に出た方がいいのか!?(苦笑)


○4月2日(水)  <アサリは少ない>

今日も4kgくらいしかかけなかった。おまけに仲買に行ったらお休みで誰もいなかったんで、また戻ってきて水槽に活かしておいた。


○4月3日(木)  <石がゴロゴロ>

今日は思い切って浅瀬の石がゴロゴロしている場所でアサリをかいた。大きな石をどかして(移動させて)掘る場所を作りながらのアサリかきで、とっても疲れた(はぁ〜)。でも、この場所は潮がよく干った時でも水没している場所なので、ほとんど誰も掘ったことがないらしく、大きなアサリが何度も出てきた。後半には石がほとんどない場所に巡り会い、1度で20コくらいアサリが採れた時もあった。それでどうにか合計7kgになった。あ〜、しんど。


○4月4日(金)  <有料アサリ場>

鳶ヶ崎へ行くと丁度ヤタ○兄弟が有料のアサリ場へテンマで来ていた。今日はゴーヘーもこの有料のアサリ場でアサリをかこうと思っていたので、すぐに支度をして浜へ降りた。

係員に3,000円払って早速海に入った。始めての場所でどこが良いか悪いかわからないけど、YT兄弟からは少し距離をおいた場所を選んだ。かいてみるとアサリは確かに出るのだけど、いまいち数が少ない。少ない、少ないと文句を言いながらだんだんと沖の方へかき進んだ。時々「当たり」があってどうにかカゴ半分程度かくことができた。

軽トラに戻って帰り支度をしていたらどこかのおばさんに声をかけられた。近所の民宿の女将さんでアサリが手に入らないから売ってもらえないかとのことだった。どうやら今年もアサリが少なくて、高くて手が出せないようだ。ゴーヘーとしては仲買に売るのも民宿に売るのも同じなのでOKした。民宿まで行き重さを計ると全部で16kgあった。大小取り混ぜてキロ600円で買ってくれた。ラッキー♪。


■エピローグ

桜が満開だというのにあいにくの雨。しかも春雨ではなく春の嵐の様相。今年もまたお花見する前に散ってしまいそうです。

今回の潮はほんとに潮の引きが悪く、これで本当に大潮なの?と疑ってしまいそうです。それでもあと2日間はアサリがかけそうなので続けて有料の場所でかくつもりです。雨が降っても風が吹いてもかく予定(断言)。


■次回予告

Vol.39 「香水の香り」 2003年4月19日(土)発行予定


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