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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.40 スナメリ
                                    2003年5月3日発行
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■スナメリ

三河湾・伊勢湾にはスナメリという小型のイルカが棲息しています。その数は三河湾・伊勢湾共に約千頭と言われています。三河湾・伊勢湾以外でも瀬戸内海や東京湾・有明海・仙台湾に棲息しているそうですが、東京湾や瀬戸内海では目撃例が激減しているようです。棲息する湾内から出ることはほとんどないそうで、他の地域のスナメリと交わることはないようです。

スナメリは成体で体長160〜180cmで人間と同じくらいの大きさです。背びれがなく細くスッキリとした薄いグレーの体をしています。写真などで見るとホントに細くてちょっと心配になるほど「線が細い」体つきですが、初めてスナメリを見た時の印象は随分違います。

初めて見たスナメリは海面すれすれを泳いでいて、体を上下に波打たせて丸く太った背中を海面に出したり沈めたりして、なめらかに泳いでいました。背中の印象から体全体がずんぐりと丸く太っているような感じがして、ジュゴンのような体型を想像していました(笑)。

いずれにせよ、イルカのような「くちばし」もないため顔のメリハリもなく(苦笑)、スナメリは内湾に棲むおっとりとした性格の哺乳動物のようです。

食べ物は海底のシャコ・カニ・エビや小型魚類などで浅い内湾に豊富にいる生物を主な主食にしています。小さく鋭い歯でこれらの生物をしっかり捕らえ食べているわけですが、底性生物はともかく小型魚類などは小さいといえども泳ぐスピードも早くすばしっこいので、おっとりしたスナメリが捕らえることができるのかとにわかには信じられませんでした。

一昨年梶島で漁をしている最中、西の沖の方に鳥山が出来ているのを発見しました。底引き網漁船の後を追うようにカモメが集まり鳥山になっている光景はよく見かけますが、何もない海面上にたくさんのカモメが集まり飛び交う様子は湾内では滅多に見かけません。珍しさに注目してると、海面から激しく水しぶきが上がり時折黒い影が水面に盛り上がりました。

数にして2・3頭のスナメリが魚の群れを追っていたのです。いつも見かけるゆったりと泳ぐ姿からは想像も出来ないほど激しい動きでした。それはまさに「狩り」と呼ぶにふさわしい光景で、スナメリがこの湾の生態系の中で頂点にいることを実感させる光景でもありました。

冬を除けば三河湾・伊勢湾とも透明度はあまり高くありません。「汚れた」と言われて久しい両湾で、数が減ったと言われているスナメリですが、両湾合わせてまだ2千頭近いスナメリが棲息しています。この数が両湾にとって適当な数なのかどうかわかりませんが、海に棲む哺乳類が身近な海に棲んでいる事実・これほどの数棲んでいる事実は素晴らしいことだと思っています。このことをできるだけ多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。

同時にスナメリの数が減り続けている事実も知ってもらいたいです。




■今週のゴーヘー

○4月18日(金)  <潮が引いた!>

10時半頃いつもの浜へ行くと結構潮が引いていた。すぐに支度をしてアサリをかき始める。

始めは浅い場所で30分ほどかいた。前回よりハイペースでアサリが溜まっていき期待が膨らむ。その後少し深い場所へ移動しどんどんアサリをかく。快調、快調(^_^)。きっと今までほとんど誰もかいたことがない場所なんだろう。ソコリ(干潮時)30分前にアサリを入れたカゴが随分と沈んできたので、持ってきたネットに入れ換えた。たぶん13キロくらいあるはず。その後も調子よくアサリがとれ2時半頃までかき続けた。

軽トラに戻ってアサリを選っていたら干物屋のおじさんがやってきてアサリを譲ってくれという。OKしてそばにあるそのおじさん所有の作業小屋で重さを計った。大が11kg、中が11.5kgありそれぞれ@600円、@400円で買ってもらった。合計22.5kgはもちろん自己新(^_^)。

うちに帰ってきて一休みしてからすぐに昨日のアサリを送る手配をした。


○4月19日(土)  <一人増えた>

天気が崩れる予想。たぶん上り潮から雨だろうとのゴーヘー父の予想に、浜へ早めに行く。アサリをかく時間が長くても短くても料金は同じだからね(^_^;)。でも、番人がまだ来ていなくてしばらくじれて待つ(笑)。

番人のおばさんが来たらすぐに支度をしてお金を払って浜へ降りた。昨日と同じように岸に近い場所から遠い場所へ順にかき進んだ。移動ペースは昨日より少し速くしてなるべく沖側で長い時間かくように心がける。その甲斐あってか、今日もソコリ(干潮時)前に採ったアサリをネットに移した。

今日はゴーヘー以外にもう一人少しイワテ(北側)でアサリをかいている。有料の場所で毎日アサリをかくヤツ(=ゴーヘー)がいるから、ひょっとしたらアサリがたくさん取れるんじゃないかと気になったんだろね。彼は大きなマンガを持ってきてかいている。彼がかいている場所はYT兄弟が随分アサリをかいた場所のはずだけど、でるんだろうか?う〜ん、ゴーヘーも気になる(笑)。

3時頃雨が降ってきたんでやめて軽トラに戻った。その頃にはかなり大粒の雨になってきており、そばの物置小屋の屋根の下でアサリを選っていた。昨日のおじさんがまたやってきてアサリを譲ってくれと言ったけど、今日は断った。仲買の値段も気になるので今日はそちらに持っていくことに決めていたからだ。しかし仲買に行ったら責任者がいなくて値段はわからずじまい。


○4月20日(日)  <安っ!>

仲買に持っていったアサリの値段が気になったので、10時頃仲買に行って勘定をもらってきた。うちに帰って封筒の封を開けてビックリ。16日分は大が@600円だったけど、中は@300円。昨日の分は大が@500円、中が@300円と安かった。20kg前後のアサリをかいても1万円に満たない・・・・今日は例のおじさんに売ろう!(笑)

11時頃浜へ行くとまだ番人がいなかった。そこへ例の干物屋のおじさんが来て少し話してたけど、入場料金は番人が来てから払えばいいとのおじさんの助言もあり、待ちきれず海へ入った。すぐに岸に近い石が多い地点で重点的にアサリをかき始めた。石のため余分な労力を使ったけど、中サイズのアサリが昨日より更にハイペースでカゴに溜まっていった。

ゴーヘーの更に岸側ではアサリをかく人がまた一人増えた。おばさんなんだけど、マンガを使わず手堀ですぐ水際を掘っていた。ところがこのおばさん、恐ろしくアサリかきが上手で、アサリのたまるペースがマンガを使っているゴーヘーと同じくらい。少し小さめのアサリまで採っているためにペースがいいんだけど、とにかくビックリした。

一方ゴーヘーの方は後半スランプでなかなかアサリが採れなくなった。深い方を「試しがき」してずっとイワテ(北側)まで行き、とうとうアサリかき禁止区域の境界線まで達したけど、さっぱりダメだった。大マンガのおじさんは昨日までゴーヘーがかいていた下り(南)側の深い場所へ移動してかいていたけど、あまり取れなかったみたいでまたイワテに戻ってきた。

ゴーヘーは深い場所を断念して思い切って岸に近い浅い場所を重点的に掘ってみた。石があって掘りづらいんだけど、意外にたくさん出てくる。疲れて元気がなくなってきてた頃だったけど、一転元気が出てきて降り始めた雨もものともせずひたすらかきつづけた。大きいアサリは少ないけどあっという間に10kgぐらい採ることができたけど、さすがに疲れて続けられずオカ(陸)に上がった。あとは例のおじさんの作業小屋でアサリを選って全部買ってもらった。大が10kg@600円、中が13.5kg@400円也。疲れた〜。


○4月23日(水)  <霧雨>

起きた時は東風が吹いていて雨はまだ降っていなかった。西浦(常滑方面)に行くかと思いきや、いっしょに船を出したYT兄弟の後を追いかけるようにしてオクゴオリへ向かった。無線ではHA丸の声がした。崖下にいると言っているのでもう大谷にいることになる。彼はこっちを朝3時半頃出て行ったようだ。相変わらず早いね〜。

オクゴオリについた我々は、黒部の防波柵の間で3バイの船が一斉に網をやった。サヨリ引きの船が追い出されるように防波柵の間を出て行った。東風の波で船がゴロンゴロンと左右に揺れる。この先風は強くなるのか弱くなるのか?

SK丸とゴーヘー達は東へ移動しながら漁をやった。カレイやコチが毎回1つぐらいずつかかるが、どれも皆小さい。7時頃からは霧雨も降り出し時々雨粒が大きくなる。ヤマテ(漁の目印)は霞んで見づらいしどうも気合いが入らない。雨、風、波のうちどれか一つでいいから無くなってほしいところだ。

結局お昼までがまんして漁をやり帰ってきた。戻る途中、黒部・佐久島・篠島の中間点付近で、右から1万トンクラスの自動車運搬船、左から三河の底引き網船がやってきて、微妙な位置に接近した。ゴーヘー父は船足を落として底引き網船、自動車運搬船の順にかわしたんだけど、島も陸も霞んでまったく見えないんで距離感がいまいちわからない。うっかり走っているとぶつからないまでも、運搬船の引き波をくらってひっくり返るかもしれない。200mくらいまで近寄ってみた運搬船は、まるで山のように大きかったから。


○4月24日(木)  <ヤマテが見えない>

雨との予報だったが風がなかったんで出漁。4月も出られない日が多かったし、出ても大した水揚げではなかったんで、こんな日でも出て漁をしなくちゃね。

オクゴオリへ行くとTA丸とOA丸が網を揚げていた。TA丸は2クリ目だという。我々は起きたのが5時だったからなぁ(苦笑)。ゴーヘー父がTA丸に1クリ目の場所を聞いて、まだやってない場所で網をやった。オカ(陸)が霧で霞んでほとんどみえないけど、ゴーヘー父はちゃんとヤマテが見えるみたいだ。う〜ん、55年の実績。

しかし魚がいない。小雨が降ったり止んだりする中、9時45分頃までやって大ゴチ2本、小コチ1本、カレイ4枚、ゴイカ(コウイカ)3つだけ。しかたなく梶島へ行って3クリやったけどすべてカラ。丁度お昼時だったんで諦めて帰ってきた。

片名(かたな)の桟橋へ船をつけ、ゴーヘー父が仲買に魚を持っていっている間、雲が薄くなり明るくなった。ふと桟橋を見ると木の部分から水蒸気が立ち上っていた。その水蒸気がまるでこちらの体にまとわりついてくるように感じたんだけど、よく見たら自分が着てる合羽からも水蒸気が立ち上っていた。まとわりつく原因はこれだった(笑)。


○4月25日(金)  <北西に進路を取れ>

朝は比較的見通しがよかった。無線でまだ暗いうちから西浦(常滑方面)組の声がして、奥田や上野間(かみのま)あたりにいると言っていた。クラくて(モヤって)オカが見えないらしい。こちらはそれほどクラくないんで、そのままオクゴオリへ行く。

漁を始めてしばらくすると急に霧が濃くなって雨が降ってきた。降った雨は止んだりまた降り出したりを繰り返し、そのうち止んだ。魚も雨に合わせるようにパタッと獲れなくなった。霧は濃いままだった。9時頃東へ向けて走り江比間(えひま)まで行ってみた。すると2・3枚ずつカレイが獲れたんだけど、東風が吹いてきて濃い霧が更に濃くなり、海岸からわずか300mくらいなのに、オカが霞んで見えない。雨も降り始め10時半頃とうとう漁を切り上げ、OA丸・TA丸と連れだって帰ってきた。1パイだけで走るには霧が濃すぎて余りに心許ないからだ。

走り始めて数分で視界360度すべてが乳白色になった。空と海の境界線もわからない。頼りになるのは羅針盤だけ。羅針盤を見ながら船を走らせるゴーヘー父を初めて見た。北西を目指して3バイの船が三角形を成して走った。

前方にぼんやり島影が見え急速に大きくなった。篠島と日間賀島の間にある島だった。先日の自動車運搬船のようなタンカーじゃなくて良かった。この島と日間賀島の間を走るのだが、日間賀が霞んで見え篠島は見えない(-_-;)。前方にあるはずの知多半島はもちろん影も形も見えない。

日間賀島と師崎(もろざき)港を結ぶ連絡船がいつもと変わらない猛烈なスピードで師崎港へ向けて走っていった。船足が速い船は霧の中で突然目の前に現れるから、正直怖いね。濃い霧の中、無事戻ることが出来て良かった。


○4月28日(月)  <クロダイ、安!>

少し早く起きてオクゴオリへ行った。4時50分頃、日の出まではまだ少し時間があるがかなり明るい。黒部の防波柵の間ではSK丸が網を揚げていた。そのそばで今日の一クリ目をやった。

今日はカラがほとんどなく毎回カレイ2枚程度は網にかかった。2クリ目と12クリ目にそれぞれ1枚ずつ、1つ2キロ以上ある大きなクロダイもかかり、カンコの中が随分と賑やかになった。最後の13クリ目を上げたら午後1時になっていて、弁当を食べながら帰ってきた。

仲買に行ったら平日なのにお客さんが魚を買いに来ていて忙しそうだった。そうか、世間ではGWなんだなぁ。そのお客さんが引けてから魚を買ってもらったんだけど、クロダイがどうしようもなく安い。夏なら1枚3,000円以上するものが今日はわずかに600円。大グロ2枚とハゴ1枚を売って1,500円にしかならない。「麦わら鯛」で安いとはいえ、去年より明らかに安すぎる。もう売り物じゃないかも。


○4月29日(火)  <タコ瓶オヤジ>

相変わらず朝は冷える〜。日の出までのしばしのガマン。

オクゴオリの黒部で2クリ、江比間で11クリやった。小カレイやコチがが1つ2つずつかかるのは昨日と同じ。時々大ガレイが上がってくるのも昨日と同じ。ハゴが2枚、ゴイカ(コウイカ)が1つ。

昨日と違うことが一つ。船のオモテ(前)のマストの間に天幕を張るための横木を渡しているのだけど、いつも甲板に横たわっているリモコンのコードをゴーヘー父がなぜかこの横木に絡ませていた。巻き付けたコードの一部が垂れてその下をくぐるたびに頭や顔に当たって、実にうっとうしい。当たらないように頭を下げてくぐっていたら背中が痛くなってきた。

ゴーヘー父にどうして巻き付けてるのか理由を聞いたけど、特に理由はないみたいだったんで(笑)、くぐってると背中が痛いからと言ってコードの巻きつけはやめてもらった。

午後仲買に魚を持っていくといつもの船着き場に篠島(しのじま)のタコ瓶おやじがいた。別な仲買に獲ってきたタコを売りに来ていた。このオヤジ、昨年中国人女性とお見合いをして結婚したんだけど、それ以来島内や大井・片名(かたな)・師崎(もろざき)の独身男性に中国人女性を紹介(仲介?)しているみたいで、今日はある男性の話をしきりにこぼしていた。

その男性のお父さんから頼まれて話しを持っていったらしいんだけど、36回もお見合いをしたその男性自慢癖が強い人で、持ってるお金とか資格とかを自慢ばかりしてたらしい。あげく「中国人女性なんかいらない」と言ったらしいんで、タコ瓶オヤジは頭に来て「お前みたいなヤツには永久に嫁さんなんか来んわ!」と捨てぜりふを残して断ったらしい。タコ瓶オヤジ、顔を真っ赤にして怒ってた〜(苦笑)。


■エピローグ

雨と霧が多い2週間でした。おかげで休みも多い・・・
休みといえば今はゴールデンウィークのまっただ中。ただし今年は巡り合わせが悪く休みが前半と後半に分断された人も多いはず。26日にGWが始まってから今日までの1週間、28日、29日、2日と漁に出ただけで、後はお休みになってしまいました。世間より更に飛び飛びのゴールデンウィーク。ええ、普段と変わりないです(笑)。

3〜5日はちょっとしたイベントあり。次回ゴーヘー通信で報告します。


■お断り

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■次回予告

Vol.41 「昔話:舵が折れた」 2003年5月17日(土)発行予定


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