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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.42 エイに刺された
                                    2003年5月31日発行
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■エイに刺された

一昨年の5月下旬のことです。今年の梶島と違ってカレイがよく獲れていて、毎日のように梶島に通っていました。

その日も朝から梶島で網をやっていました。しかしちょっとカレイのかかりが悪くて、代わりにガゼ(ウニ)やコノカサ(ヒトデ)がたくさんかかってきました。ガゼはひたすら踏みつぶし、コノカサはとにかく網からはずしていました。黄色いコノカサは表面がざらざらしているので網によく絡まっていて実に取りづらいです。コノカサを掴んでいる軍手の指先も次第にすり切れてきて穴が開きました。時折かかってくる魚といえば赤エイくらい。多い時は一クリで10匹くらいの赤エイがかかってくるのです。

赤エイはしっぽの途中に鋭いトゲがあります。薄く鋭い剣のようなそのトゲには、両脇に鋸の刃のようなギザギザした「返し」がついていて、刺さった後引き抜くと傷口がひどく切れるようになっています。さらに毒もあり刺された部分を中心にかなり痺れます。実に始末に負えないトゲで、エイが網にかかると慎重にこのトゲを取ってからエイを網からはずします。

11時近くのことでした。いつにもましてエイがよくかかり、トゲをとってはエイを網からはずして海に放り投げていました。途中座布団よりちょっと小さい大きさのエイがかかり、大きく長いトゲをラジオペンチで挟んでシッポから引きちぎり、網からはずしたエイを海に放り投げました。

それから2・3分後、さっき放り投げたエイがまた網にかかってきました。「まったくもう〜」と忌々しく思いつつ、エイを網からはずそうと手を伸ばしたところ、そのエイはさっきのエイトは別なエイでシッポのトゲが目に入りました。

「やばい!」と思った次の瞬間、左手薬指の第一関節の部分を刺されていまし
た(T_T)。

私:痛てっ!。刺された!
父:バカやろ!

慌てて軍手を取ってみると指の背側に幅5mm、深さ7mmくらいのキズがありました。骨があったのでキズは深くならなかったようですが、じわりと血が溢れてきました。まず毒を吸い出そうと口で血を吸ってははき出しました。少し舌が痺れる感じがしましたが、これを5〜6回繰り返してから、消毒してキズ用の抗生物質軟膏を塗り救急判を張りました。その間、ゴーヘー父が急いで網を揚げ、揚げ終わると全速で帰ってきました。

薬指の傷は初めどくどくと脈を打っているようでしたが、次第に痺れてきました。痺れは薬指から左手全体、その後次第に腕を遡ってきました。刺されてから30分後くらいが痺れのピークで、左腕全体が痺れて動かしづらくなりましたが、それ以後は徐々に痺れが取れていきました。

うちに戻って行きつけの医者に電話しましたが、丁度受付時刻を過ぎていたせいか、あるいはエイに刺された際の処置方法がわからないためか、あっけなく断られ救急指定の総合病院へ行くように言われました。すぐにそちらに向かい受付に行くとこれまた受付時間を過ぎているとのこと(-"-)。それでも皮膚科の先生に連絡してくれて受診の段取りとつけてくれました。

皮膚科に行くと女性の先生が妙に苛ついていて、指に巻かれた救急判を見て「それ、取って」と『私に』指示しました(-_-;)。痺れも随分収まっていて、傷口はすでにくっつきかかっているようだったんで、消毒&抗生物質軟膏を塗ってお終い。なんだ、自分の処置といっしょじゃん(苦笑)。

結局家に帰る頃には痺れもなくなり、大きなエイに刺された割には思ったより軽い症状で済みました。傷が浅かったのと毒を早く吸い出したのが良かったようです。

磯遊びや釣りやダイビングで赤エイに接する機会のある方は、ぜひご用心くださいね。

座布団よりちょっと小さい大きさのエイのトゲ:



2009/8/24 追記:
エイに刺された場合はぬるま湯で患部を温めると痛みが軽減します。
これは確か一昨年親指の指先を大きなエイに刺されてあまりの痛みに針先が中で折れてしまったのかと思って救急車で病院に運ばれた際に、救急の先生が処置してくれた方法です。患部を冷やすのは逆効果で、より一層痛みが増します(;´Д`)。




■今週のゴーヘー

○5月18日(日)  <ロープ>

西浦(常滑方面)へ行くには少し遅かったけど、高峯前の状況が気になるので行ってみた。

5時に高峯前に到着して早速網を入れた。ガランガランを投下しても船を動かさないんで、どうしたんだ?、と思ったら、今入れたばかりのボンデンが見あたらないというのだ。確かに普段なら船の後方にあるボンデンがどこにもない。あ〜、またペラに巻いたか、朝から何焦ってるの!と腹が立ったけど、とにかくボンデンをペラから取らなくちゃいけない。

ゴーヘー父がトモ(後ろ)のペラを覗く蓋を開けると、薄暗くてよく見えないが、なにやらロープらしきものが絡まっている。変だ。とにかくロープを引き上げてペラから切り離すと、船のそばの海面にボンデンの先だけが見えた。どうやら海面に漂っていたロープをペラに巻いてしまい、ねじれたロープがボンデンの綱を巻いてしまったらしい。

網を反対側から揚げてみるとなんとお終いの1反半がロープに巻き付いてギチギチに絡まっていた。とにかく長いそのロープを途中で切り網を回収。このロープは近くのサシアゲ(定置網)の錨用ロープらしい。切れて浮かんでいたところをうちの船がペラでひっかけたようだ。でも簡単に切れるようなロープじゃないから、たぶんよその船が何かの原因でロープをペラに巻き、困って切って逃げたんだろう。参るなぁ。

漁の方は順調で小さめながらコチが30本ほど獲れた。中ゴチも1本あり。カレイは10枚程度だった。夕方の札場は仲買3人にもかかわらず値が良かった。


○5月19日(月)  <コチ大漁>

今朝は小雨が降っていた。とにかく船に行ってみんなの様子を見ようと弁当を持ってでかける。北の船着き場へ行くとまだカレ網の船が岸についていて人影が見えた。そばへ寄って少し話すと、雨はじきに止むだろうと話しが煮えて出ることになった。

網は内海(うつみ)前から始めた。3クリやって小さいけどコチが5本、カレイが2枚かかった。次に小野浦(おのうら)でコチを3本つかまえた後、高峯に下ってきて2クリやったけど小コチが3本かかっただけだったんで、また小野浦に戻った。今日の小野浦では時々中ゴチと呼べるくらいのサイズがかかるけど、カレイもコチも概ね小さいものばかりだ。

小雨は降ったり止んだりではっきりしなかったけど、10時頃にようやく止んだ。いつも持ってくるタオルを今日は軽トラックの中に置き忘れてしまい、手が濡れたままで気持ち悪い。カンコも小さいコチで賑やかだけどあまりお金にはならないんで、気分もよろしくない。

いつもならお昼にする時刻、まだ網をやっていた。いい加減お腹が空いたよ〜と思いつつ網を揚げ始めたら、コチが次々と上がってきた。合計8本。他のカレ網船が帰りしな沖からその様子を見ていく。次のクリは更に多く、カレイ6枚、コチ8本だった。この時はSK丸が網の上を通過していった。失礼な人だ。通過ついでにヤマテをちらっと確認して行くのが見えた。きっと明日の朝ここで網をやるんだろね〜。

結局コチは全部で40本、カレイが10枚程度。今月初めての3万円超となった(^_^)。


○5月20日(火)  <クラッチ故障>

まだみんなの船が岸についてた、朝3時55分船に乗り込む。ゴーヘー父がエンジンをかけていつものようにリモコンでクラッチをゴスタン(後進)に入れたんだけど、反応がにぶい。変だと感じたゴーヘー父はすぐにクラッチを切ったんだけどゴスタンが入ったままで船はバックするばかり。慌ててブリッジ内にあるハンドル(機械式)でクラッチを操作してニュートラルにした。どうやらリモコンのクラッチが故障したみたい。しかたなくハンドルクラッチでゴヘとゴスタンを繰り返して、港内で立ち往生した船をまた岸に戻した。

船をロープで止めてからもう一度リモコンのクラッチを操作したんだけど、やはり故障しているみたい。5月4日にも網揚げ中にゴスタンしたままのトラブルがあり、工場(こうば:機械業者)に点検を頼んでおいたけどほったらかしにされてたみたい。これでは今日は漁に行けないんで、ほったらかしにされてた腹立たしさもあって、工場の社長の携帯にその場で電話した。朝4時15分だ。残念ながら電話は通じなかった(苦笑)。

うちに戻って8時頃ゴーヘー父が工場へ電話すると、30分で行きます、との回答だったが、実際には今日の午前中は来なかった。なんなんだ、まったく!

午後になって工場の社長が来たらしいがリモコンはこの時は正常に動作したようだ。リモコンのあちこちをテスターで点検して、念のためクラッチレバーの中の部品だけ交換していったらしい。故障原因がはっきりしないのは参るなぁ。


○5月21日(水)  <今日は風>

昨日一日冷えた上に雨が降ったり止んだりしていたんで、今日は風になってしまった。昨日休んでいる我々としては是が非でも出たいところ。船着き場でちょっと話した後一番に船を出した。

沖の方は北西の風も波もえらいんで、とりあえずクマセで一クリ。その間にみんなも船を出してきて、イワテ(北側)へ走っていった。我々はクマセの後、みんなを追って海田・矢梨と網をやった。しかしどこも魚がいない。それで8時頃皆帰っていった。我々も海田に戻って網をやっていたけど終わりにして帰るんだと思っていた。が、何を思ったか、ゴーヘー父は突然船を梶島へ向けた。

沖へ出ても波は思ったほどなくこれなら風かげになる梶島なら網ができそうだ。8時半頃に梶島に着き、波の比較的穏やかな東側で網をやり始めた。すると珍しくカラがない。小さいながらもコチがかかるし、カレイも時々かかる。ただ風は次第に西の風に変わって強くなってきた。波が弱まる磯の東側にいても時折50cm以上の波が来る。魚がかかるから帰るにはもったいなく、結局お昼までやってきた(苦笑)。途中大ゴチも1本かかったから、昨日の分は少し取り返したかも(笑)。


○5月22日(木)  <大ゴチ、安!>

今日は大ゴチを3本もつかまえた。もっと取る人もいるが、うちにしては上出来だ。中ゴチも1本あり4本セットで売ることにしてセイロ(トロ箱)に入れておいた。1本しっぽが擦れているがまぁ、しかたない。

で、札場の時間になって魚を活かした水槽の蓋を開けたら、大ゴチのうち1匹の顔色が左半分変色していた。元気に息はしてたけどちょうど痣のような感じ。4本で1万円+αを期待してたんだけど、4本のうち2本の品質が悪くては(擦れと顔変色)値段があがらず・・・8,500円だった。1本2千円ちょっとの計算(シクシク)。ST丸は大ゴチ3本で12,000円もしたのにねぇ・・・。


○5月23日(金)  <アオリイカ登場>

小野浦で一クリやった後内海(うつみ)へ下り、そのまま一クリずつ下っていった。昨日のような大ゴチはかからなかったけど代わりにアオリイカがかかった。週初めにアオリイカの卵が網にかかっていたから、本格的にアオリイカの獲れる時期になったようだ。大中小と3つのアオリイカがかかった。値段に期待したい。

この後はまた小野浦へ戻り11時ちょっと過ぎまでやっていた。今日は町主催の健康診断の日なのでこれでお終い。


○5月24日(土)  <またリモコン故障>

朝またクラッチが変だった。ちゃんと動く時もあるけど挙動不審な時もある。昨日より強い東風が吹いているので行くとすれば西浦になるが、行ってクラッチ故障で戻ってくるのもしゃくに障る。みんなボチボチと船を出してきたので、「無線でみんなに『今日はやめるぞ〜』と言ってみれば」とゴーヘー父に言ってみた。早速無線でそのように話すゴーヘー父。湾口で船を止めるOA丸他3バイ(笑)。結局2ハイは出て行き2ハイは戻ってきた。よしよし、休みはうちだけじゃないぞっと(笑)。

リモコンの故障は電源の電圧不足が原因かもしれないと、コウバの社長。とりあえず電源スイッチの配線を見直して様子を見ることになった。


○5月28日(水)  <原因判明!>

今朝もリモコンの具合は悪かった。クラッチに加えアクセルまでも挙動不審(苦笑)。それでも4日ぶりの漁なのであえて出た。目指すは高峯前。

4時50分に高峯前に着き早速網をやった。発進してからずっとクラッチはゴヘ(前進)に入れたままだったんで特に問題も無し。ところが網を揚げようとしたらリモコンのクラッチがまったく利かずゴスタンしかしなくなっていた。完全に壊れてしまった。しかたなくゴーヘー父がトモ(後ろ)で船を操作しゴーヘーが網を揚げた。網に魚やコノカサ(ヒトデ)などがかかってくるとそれをはずさなくちゃいけないんで網揚げが中断する。その間ゴーヘー父は暇なんでオモテにやってきて網を揚げ、ゴーヘーの手が空くか網が上がらなくなるとまたゴーヘー父がトモへ行き船を操作&ゴーヘーが網揚げを続ける、という変則シフトでどうにか揚げた。揚げ終わるとすぐに帰ってきた、幸いリモコンの舵だけは生きていたから。

帰る途中でコウバの社長に電話して船着き場に呼び出した。船をつけてちょっとするとやってきて早速現状把握。前回までと違ってクラッチ&アクセルがまったく利かないので、社長もいよいよ困った様子。社長はふと思い立ったようにリモコンのケーブルをいじりだした。これまでも疑ってはいたらしいけど念のためもう一度チェックしようと思ったらしい。手でケーブルを曲げながら順に調べていくと途中でコンピュータにエラー反応が出る箇所があった。ケーブルの断線が限りなく黒。

そこで、ケーブルを開いて確かめるとはたしてケーブルの焼けこげ&サビの箇所があった。そこで内部の導線が3本切れていて、切れ端でケーブルの被膜に穴が開き海水が染み込んで錆びていた。ビンゴ〜!

原因がわかればあとはその箇所を修理するだけ。切れた導線を切り取り新たな導線をハンダ付けしてケーブルをビニールテープでぐるぐる巻きにして補修完了。まだ時間も十分あるので三河目指して再び船を出した。その後はリモコンのトラブルもなく一日漁ができた。これでようやくリモコンが元に戻った。よかった〜。


○5月29日(木)  <復帰>

昨日からFH丸がカレ網に復帰している。先週試しで1日だけ出ているが昨日からいよいよ本格的に漁に出た。3月上旬にコウナゴ漁で右手を痛めて以来2ヶ月半ぶりだ。

サラリーマンのように有休も労災もない漁師は、まさに体が資本そのもの。体を痛めてしまうことはイコール生活そのものを痛めてしまうことにほかならない。復帰してもすぐに以前のように体が動く訳じゃないし、仕事勘も鈍っている。体を仕事にならすのにまだ1週間くらいかかるだろなぁ。

ソコリ(干潮時)になった11時頃からマゼが強く吹き出してきたので帰ってきた。コチを2ケタとクロダイ数枚しか獲れなかったけど、コチの1ケタが大ゴチ3本8,500円で売れたんでどうにか1万円の水揚げを確保。YT兄弟は二人合わせると8万円くらいあったようだが、比べてどうなるものでもなし。1万円有ったことをむしろ喜ぶべきだろね〜。


■エピローグ

丁度今台風4号が日本列島に近づいています。上陸はほぼ確実で観測史上3番目に早い上陸となりそうです。台風の規模自体は大きなモノでなく勢力も小さいですが、最大風速は25m/sですので侮ることはできません。この台風で梅雨前線が刺激されて大雨も降ることでしょう。西日本各地の土砂災害が心配です。台風が近づく地方の方々はくれぐれもご注意ください。

さて、リモコンは不調の原因が判明し、無事使えるようになりました。1・2日程度損してますが、まぁ、こういうこともあります。リモコンをそっくり交換する事態とならなくて良かったです。

明日からは6月です。1年でもっとも儲かる3ヶ月の始まりです。今年は天候の様子が例年と違うのでちょっと心配ですが、とにかく毎日精一杯漁をしたいです。


■次回予告

Vol.43 「丸い歯、とがった歯」 2003年6月14日(土)発行予定


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