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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.49 秋の大潮
                                    2003年9月6日発行
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■秋の大潮

毎年8月下旬から10月上旬にかけての大潮の日、テレビニュースなどで決まってどこかの漁港で潮位が高くなりすぎて陸に海水が浸水している映像が流れます。ニュースの見出しは「異常潮位」となっていて殊更「普段と違う」・「何かの前兆」らしきトーンでニュースキャスターが原稿を読み上げていたりします。

春の大潮時でも満潮時随分潮位が高くなりますが、秋の大潮時の方が数cm〜十数cmほど高くなるようでこれにより「異常潮位」として注目を集めることとなるようです。

冒頭でも書いたようにこの潮の高さは毎年のことであり、自然現象のひとつにすぎません。私が子供の頃でも岸壁上でヒザをついて手を下に出すと海面に触れたり、岸壁の排水口から海水が逆流してきて道路の側溝に流れ込んだりしていました。潮位が高くなって排水口から海水が逆流してきたり、漁港の岸壁が海水で覆われるようなことが起こるので、不気味に感じたり困ったことが発生したりニュースになったりするわけです。

とは言っても、陸に海の水が流れてくると水に浮くような物は引き潮時に水と一緒に流れていってしまうし、海水に濡れた金属(特に鉄)は錆びやすいうえに満潮は一日2回あるので、漁港関係者や漁民、近隣の住民にとってはゆゆしき問題でしょう。岸壁をもう少し高くするための予算が付くことを祈りたいです。

この「秋の大潮」時世界に目を転じれば、日本の異常潮位が霞むほどのびっくり現象が発生します。中国は上海市の南に隣接する浙江省の中心都市杭州市を流れる銭塘江では旧暦の8月18日(大潮の最終日)頃「大逆流」現象が発生するそうです。逆流自体は大潮時にいつも発生しているようですが、この時期の逆流は特に高さがあるようで、数年前には見物人が波にさらわれて死者もでたそうです。杭州市では毎年「観潮節」なるお祭りも行われるみたいです。

またアマゾン川では「ポロロッカ」と呼ばれる逆流現象が発生します。河口から数百kmも津波のような波が遡っていくそうです。ただしこちらは秋に発生するケースは少なく春の大潮時のポロロッカの方が確実で波の大きいそうです。

どちらの川も河口が東に向けて大きく開いているので、満潮時に向けての潮の流れに地球の自転が加わり速い潮を集めた結果、逆流現象が発生するのでしょうね。どちらも一度は見てみたい自然現象ですが先立つもの(お金)がないので、当面は身近で見られる「異常潮位」でガマンするとしましょう。


杭州市旅游委員会公式サイト

ブラジル・パラー州政府観光局




■今週のゴーヘー

○8月23日(日)  <軍手がない>

船底にカーペンを塗るために朝7時片名(かたな)の船台へ行く。船に上がりブリッジを開けると何かが足りない・・・昨日まであった新品の軍手がなくなっている!。まだ1ダース近くあったものが無くなっていた。もちろん自然に消えるわけないので昨夜のうちに盗まれた模様。軍手以外は特に無くなったものはなく、海苔佃煮の空ビンに入れていた小銭も無事だった。きっとおもしろ半分でブリッジを開け金目のものが何もないんで、腹いせに新品の軍手を盗っていったんだろう。やれやれ。


○8月24日(月)  <1クラで1日分>

今日も梶島の長瀬へ直行。5時に到着しすぐに網をやる。網を揚げ始めるとすぐにコチが次々にかかってきた。最初の1反で5・6本はあった。3反目あたりから今度はカレイがかかり始めアイナメやハゴ、セイゴなどの他にゴウナ(ヤドカリ)やモガニもたくさんかかってきた。揚げ終わるまで1時間近くかかったが、1クラでコチ14本、カレイ20枚、アイナメ2本、ハゴ、セイゴが1つずつと普段の1日分だ。コチは中ゴチ以下ばかりだったけどカレイは半分が大ガレイだった。これだけかかれば多少ゴウナがかかってもクラゲがかかっても網が破れてもかまわない(ホント?)。

2クラ目もカレイ10枚、コチ2本。3クラ目もカレイ10枚、コチ5本がかかりこの時点で2つ目のカンコのヒを抜いて水を入れ、中ゴチをそちらに移した。今日は海水が温かいからコチがよく死ぬかもしれないと心配をする。この後島西、桟橋前、長瀬と移動して普段並の漁だった。さすがにそう大漁は続かない。三河組が無線でよい話をしていたんでそちらへ向かう。

9時半に生田鼻沖へ着きIY丸のそばで網をやり始めた。ゴウナやガニの他にクラゲが多くて網揚げにかなり手間取る。コチやカレイは毎回2つ3つというレベルで多くもなく少なくもなし。カンコのコチはポツリポツリと死に始めアイナメも1本死んだ。死んだコチが3本になった時漁を切り上げて帰ってきた。11時50分だった。

札場は1番売りだったんで全員の注目を浴びてしまった。明日は梶島にHA丸が来るかもしれない。


○8月25日(火)  <やっぱり>

朝梶島へ行くと予想通りHA丸が来ていた。水被りのちょっと西に網をやってガランガランを引っ張っていた。我々はいつも通り長瀬で網をやった。昨日とはうってかわって魚気がない。半分くらい揚げた頃HA丸が網を揚げ終わりこちらに向かって走ってきたがこちらの様子を伺うことなく通り過ぎ江比間目指して走り去った。あの人が長瀬に網をやったこちらの様子を見に来ないのはおかしいから、ひょっとしたら朝一番で長瀬で網をやったのかもしれない。

長瀬を揚げ終わるとすぐに西へ向かい、最後の1反にたくさんかかったゴウナ(ヤドカリ)やガゼ・ガニを取りながら走った。三河に来たらマノの河口の沖で皆網をやっていた。彼らの一番東側で漁を始めたが、無線で聞いていたとおりあまり魚のかかりがよくない。しかし、ここでの6クラ目でカレイ14枚、コチ5本、その次がカレイ7枚、コチ1本、更にその次がカレイ9枚、コチ4本と3回連続でよい漁だった。この時点(11時10分)で中ゴチの中で色が悪くなったヤツが1本あったんで漁を止めて帰ってきた。

札場の水槽に魚を揚げると、その足でまた船を出した。まだ終わるにはちょっと早いんで海田あたりへでもいくつもりらしい。イワテ(北側)へ向けて走っていくとHA丸が網を揚げているのが見えた。海田はすでにやり尽くされているだろうからと、珍しく山田前で網をやった。するとコチが2本獲れたけど1本は元気がなかった。これで気が済んだのか、ゴーヘー父は船を下りに向けお昼の弁当を食べながら帰ってきた。

今日の札場は最後の3番売りだった。前の人が皆あまり魚がなく明日が沖休みということでもあり、値段は割りに良かった。そして昨日と違いあまり目立たないのも良かった。


○8月27日(水)  <本ガニ・青ガニ>

朝から北西の風が吹いていた。もうちょっと強いと沖(漁)は休みになるほどの風と波だったけど、みんな先を争うように三河へ向かった。風の強さに船を出すのを躊躇していたAH丸が無線で「やんでく風だけどなぁ」と言っているのを聞いて、この風がホントにやんでいくのか?、と甚だ疑問に思った。その後風は次第に弱まり、70歳代後半の老漁師の天候を読む能力に改めて感銘した。

漁の方は毎回大量のクラゲとゴウナに悩まされた。他のみんなも同様みたいで無線で「どこへ行ってもクラゲだらけだが」とか「海中クラゲだらけだが」とか言って愚痴ってた。

うちは4クラ目にコチとカレイが大漁だったけどいっしょに本ガニと青ガニも大漁で、この網に絡まったガニをはずすのにとても時間がかかった。このため後半の3反ぐらいをたぐり込みにしてとにかく魚だけでも網からはずしたんだけど、ここにかかっていたコチはすべて死んでいた。くしゃくしゃの網から本ガニと青ガニのツメを折りながらこれをはずして網を揃え、揃え終わったらすでに9時近かった。朝から4時間半以上も網をやっていてまだ4クラしか終わってないなんて、普段の2倍以上時間がかかってる計算だ。

この後もクラゲとゴウナはよく網にかかってきたんで、クラゲは網を振って振り飛ばし、ゴウナは一つ一つ丁寧に網からはずした。ゴーヘー父は振り飛ばしで腕が疲れ、ゴーヘーはゴウナはずしでしゃがんだり立ったりを繰り返して疲れてしまった。1クラで50回以上ヒンズースクワットをしてるようなもんで、1日当たりだと300〜500回もやる計算だ。疲れないはずがない。11時には止めて帰ってきた。

札場では本ガニ・青ガニとも良い値段だった。去年の今頃の相場だとカゴ1パイで2,000円くらいだった。それが今日は本ガニが大小混じりの15・6パイで1,900円。青ガニが同じく30パイくらいで2,800円ほどとガニだけで4,700円もあった。ST丸が「ガニなんか、船沈めるほど掴めてきても1万にならんでなぁ」と言ってたけど、いやいや今年は高いよ。


○8月29日(金)  <靄>

朝少し靄っていた。海に出たら日間賀島の灯りがぼんやり見える程度。梶島へ向かったけど少し走れば大井の灯りも見えなくなって暗い中では上下しかわからない。慣れてるとはいえよく迷わずに梶島へ向かえるものだ。

三河組の中にはかなり迷った人もあったみたい。生田鼻沖や一色沖は漁をする場所が陸から離れた場所だから今日はたぶん陸は見えなかったはず。みんな赤タンポ(赤い航路標識)を目印に走り、後はデンタン(魚群探知機)で水深を確認しながら走ったらしい。

長瀬で一クラやったらコチ4本と小カレイ3枚、ハゴ4枚だった。コチは大ゴチが1本あったけどクラゲ、ゴウナ、ガゼ、ガニがたくさん網にかかり時間ばかり食う割には大した漁じゃないんで、すぐに三河へ向かった。6時10分頃一色沖に着いたけどかすかに陸(一色)が見えるだけでヤマテなんてまったくわからない。みんなデンタンで海底の段を捜しながらの漁のようだ。ここで3クラやったけど小カレイが数枚しか獲れない。少し陸が見えるようになってきたけどここに見切りをつけて再び梶島へ戻った。

島西での2クラ目、コチ7本、カレイ13枚、ハゴ3枚の大漁だった。3クラ目もコチ7本、アイナメ2本とまずまずの漁だった。そこへFH丸やってきてうちがまだやってないちょっとイワテの場所に網をやった。うちも網を揚げ終わるとすぐにそのそばにいって網をやった。FH丸の様子をしばらく見ていたら3本のコチを揚げた。どうやら「当たり」だったらしい。うちの方はコチ1本、カレイ1枚。次のクラはコチ3本、カレイ2枚だったけど、カンコを覗いたらコチが5本も死にかけていた。すでに1本死んでるし、これ以上やってせっかくの大ゴチが死んでは元も子もないんでさっさと帰ってきた。

港に戻って水槽に魚を揚げる時、この5本のコチはまだ息をしていたけどどう見ても元気になりそうになく諦めて氷にした。夕方の札場の時に更にもう1本虫の息。結局7本もダメだった。売ってみたら600円ちょっとだった。


○8月31日(日)  <寝坊>

今朝は寝坊してゴーヘー父に起こされた。昨夜東風が強く吹いたんで今日は休みだと思ったんだけど今朝は凪いでいた。やはり朝起きてみないと休みかどうかわからない。

梶島・長瀬へ直行し漁を始める。いつの間にか東風が強くなっていて波もずいぶんあった。たぶん満ち上がり(満潮時)まで吹いてそれから凪いでくるんだろう。三河組は帰ってしまったようだが、こちらは帰らずにそのまま漁を続けた。案の定満ち上がりを過ぎた8時半頃から風が凪いできた。漁の方は前日までの大漁はなく一クラでカレイ3・4枚やコチが2・3本という状態だった。陽が上がって暑くなるに連れ魚のかかりが悪くなり、12時ちょっと前にやった網でとうとうカラになったんで止めて帰ってきた。

港について水槽に魚を揚げる時カレイが1枚死にかかっていた。コチは幸いすべて生きていたから良かったけど、カレイが死ぬなんてホントに珍しい。このカレイはすぐに捌いて持って帰り夕食に食べたけど、身がシャクシャクしてうまくなかった。やはり死んだ魚はうまくないなぁ。


○9月1日(月)  <水揚げも秋模様>

朝長瀬でカレイ3枚、コチ4本がかかったのが一番良い漁だった。後はカレイの3枚もかかれば良いほう。8時半に梶島を諦めてオクゴオリに向かった。8時45分には黒部に着きここで3クラやってから東へ行き1クラだけやってまた帰ってきた。江比間で1クラやったら12時を回っていて今日は諦めて帰ってきた。

他の人も漁が少なかったようで夕方の札場ではクロダイ以外皆あまり魚がなかった。このため今日は後売りほど魚の値段がよかった。おかげで2万を超える水揚げとなり満足。


○9月2日(火)  <PC故障>

昨日の夕方ネットサーフィン中突然フリーズした。「珍しいなぁ」と思いつつリセットボタンを押して再起動を待ったけどいつまで待っても画面に何も表示されない。暑くて大汗をかいていたが内心も大汗になってきた。再度リセットボタンを押してみても結果は同じ。たぶんマザーボードがクラッシュしたんだろうと当たりをつけ、他の古いWin98パソコンを用意したけどこちらも起動せず。もう一台あるLinuxパソコンを起動してネット上をいろいろ回って部品の値段などを調べた。

今日になってもう一度故障原因を追及すべくマザーボードメーカーのサイトでFAQなどを調べた。その結果マザーボードかCPUが故障した時の現象と酷似していることが判明したけど、これ以上の確認のためには同じマザーボードかCPUが必要とのこと。当然うちにはなくこれ以上なにもできない。マザーボードを交換するとするとかなり手間となるため、懐が痛いけどいっそ両方とも最新に交換した方が早くて確実との結論を出し、町のパソコン量販店まで買い出しに出た。ネットショップより合計で2,000円ほど高いけど今日中に作業できるのは嬉しいので購入して帰り早速交換。1時間ちょっとでどうにか使える状態に戻った。良かった♪。


○9月3日(水)  <暑い〜>

うちを出たのが5時近くて西浦組の中にはそろそろ1クラ目を始める人もいる頃だ。梶島へ行き今日は水被りから網を入れたらコチ2本、カレイ2枚のスタート。2クラ目を島西でやったらコチ10本、すかさず東→南→西→西と続けて網をやった。この4クラでコチ15本、カレイ8枚、本ガニ5コ、ハゴ2枚が獲れた。この時点で9時。なかなか良い前半だった。

朝から吹いていた北西の風は満ち上がりに向けて弱まっていったけど、下げ潮から今度は西の風が吹いてきて急速に強まってきた。丁度長瀬に網をやった時でコチ9本、カレイ8枚と大漁だったんでまだ続けたかったけど、風が更に強まる気配があり早々に退散してきた。

でも退散してきて正解だった。本来西風が吹くと涼しくなるはずが今日は暑くなってきた。魚を水槽に揚げてから船でお昼まで網をきよっていたんだけど、すぐに暑さに参ってしまいうちに戻ってお昼を食べた。うちでは台所の寒暖計が35.5度になっていてビックリ。うちに戻って正解だった。午後1時半までうちにいてそれから船に戻り網きよいを続けた。

夕方の札場はまたコチの値段が良かった。先週の5割り増しくらいだろうか、小コチが1本500円以上していた。このため魚の量はさほどでなかったけど金額では大漁だった。8月下旬からの好調が持続中(嬉)。


○9月4日(木)  <体調悪し>

昨日のお昼前から体調不良で下痢気味。船にはもちろんトイレなんてないから、船縁からお尻を海に突き出して用を足す。昨日は港の中でもよおしたんでかなり恥ずかしかったが、暑い最中できっと誰も見ちゃいないだろう(笑)。今日は生田鼻沖で用を足したんで一番近い船でも200mくらい離れてた。だだっ広い海の上は開放感抜群だけどお腹が痛かったんで楽しめるはずもない。

夕方の札場ではOA丸とSK丸が大漁だった。ST丸は大きなクロダイを10数枚も掴まえてきてハゴ(小さいクロダイ)もたくさん売っていた。もちろん大漁。うちもカレイの値が昨日より良くて3万円を超える水揚げだった。


○9月5日(金)  <三河不漁>

朝5時まだ薄暗い中、生田鼻沖で漁を始めた。少し肌寒いのは昨日の西風のせいで、海水温もヒヤッとするほどだった。このため昨日の一クラ目とは打って変わって大ガレイ1枚だけだった。2・3クラ目はカラで4クラ目にようやくコチ2本。7クラやった時点でカレイ5枚、コチ4本、名前の解らないタイ(たぶんコショウダイ)1枚と先月来の好調も風前の灯火となり、三河を諦めて梶島へ向かった。

長瀬で大グロ(クロダイ)やハゴ、カレイ、桟橋前で大ゴチを掴まえたりしたけど、どこも数が獲れないんで、11時15分頃ゴーヘー父は船を西へ向けた。

三河を通過して尾張の旧都築紡績前まで来て1クラやった。網を揚げている時ST丸が走ってきて様子を聞いていった。西浦も魚がいないみたいだ。昼飯を食べている最中にマゼが吹いてきて次第に強くなってきたけど、更に2クラやってから帰ってきた。どうにも魚のいない1日だったけど、水揚げはなんとか2万の大台をキープできた。


■エピローグ

今週は最高気温が35度を越える日があったかと思えば、夜肌寒いくらいの日もあって2日ほど体調不良でした。もうよくなりましたが、さすがに気温の急上昇・急降下は体に堪えます。

漁の方は次第に秋模様になってきて8月の好調は風と共にどこかへ行ってしまいそうです。できれば9月いっぱいまで好調が持続してほしいものです。


■次回予告

Vol.50 「速い潮」 2003年9月20日(土)発行予定


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