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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.71 初めての総会
                           2004年7月10日発行
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■初めての総会

総会とは「組合員総会」で略で会社で言えば株主総会にあたるものです。ただ出席者の立場や思惑は株主総会とは随分異なるようです。

ゴーヘーは今年3月に組合員になったばかりなので今回の総会は当然初めて出席するものでした。定刻の15分前に漁業組合に着くとすでに多くの組合員が集まってきており、なぜか既に帰る人までいます。訳のわからないまま会議室に向かうと入り口そばの受付でで出欠を取り机の上には「委任状」がたくさん置かれていました。帰る人はこの委任状を置いて帰った人達だと判明。上場企業の株主総会でも出席できない株主は議題に対する賛否を記した葉書を事前に送付する仕組みになっているので、この委任状も同様なものなのでしょう。ただ、事前に議事内容や業務報告書が配布されていたわけではないので、言ってみれば「白紙委任状」に近いものでしょう。

受付を進むと飲み物と胸当て着きカッパズボンと業務報告書を配っていました。帰る人はここで踵を返しています。会議室にはいると席は例によって後ろから埋まっています。この村ではどんな集まりも席は後ろから埋まる慣例です。ゴーヘー達は前方右側の席に陣取りました。前方左端の窓側には理事と監事が並んでいました。腕組みをして睨むような目つきの理事もいて彼らの前の席は最後まで埋まりませんでした(笑)。

定刻になり総会が始まりました。出席者は会議室のおよそ半分の50名あまり。組合員全体からみれば3分の1弱と少ないです。カレ網の出席率が高いのが特徴的。最初組合長が挨拶し昨年度の概況を話し始めましたが、会議室の後ろではみんなが大きな声でおしゃべりに夢中です。司会者や理事・監事の緊張した面持ちとは裏腹に、わいわいがやがやと組合長のマイクを通した声が聞きづらいほどですが、司会者がみんなのおしゃべりを制することもなく組合長の話は淡々と続きます。学級崩壊の授業ってこんな感じかと想像してみたり。

組合長の話の後に理事の中から議長が選出されました。議長は理事の輪番制だそうで、株主総会の議長は社長がやるようにこの総会の議長も組合長がやるもんだと思っていたので意外です。議長のしきりの元業務報告書についての説明が組合職員から行われたのですが、この説明が実にスピーディ。質問を挟む余地もなくどんどん先へ進んでいきます。昔「説明を聞いてもわからん」という組合員の発言があって以来、説明は年々短くなり業務報告書も簡素化されてきたらしいです。が、これでは何もわかならい(苦笑)。業務報告書とその報告は大事なことなので、もっとわかりやすくする努力をしてくれてもいいと思います。 

議事はその都度拍手でもって賛成多数とみなされて先へ進みます。最後に組合員からの発言の機会が設けられ、一人が手を挙げ発言しました。内容は「無料のアサリ場にも稚貝の放流をやってほしい」というものでしたが、組合長以下理事の皆さんは「それは無理」っていう表情で聞いていました。無料のアサリ場では組合員は無料でかき放題の上かいたアサリは組合に水揚げせず勝手に処分(売る)する習慣になっているので、いくら稚貝を放流しても組合にはメリットがありません。発言者は「組合は組合員の生活を助けるもの」と考えているようですが、理事さん達はケースバイケースで判断しつつも、アサリに関しては必ずしもそう考えていないようです。

初めて出席した総会、ゴーヘーも終始緊張しておりました。これでもゴーヘーは以前の仕事柄会議に場慣れしているのでたとえ発言しなくちゃいけないとしてもさほどあがったりもしないのですが(嫌な場慣れだ)、今回は逆に「発言しちゃいけない」と自分を押さえる方向で緊張していたのです(笑)。というのも、新参者のゴーヘーがある意味「アンタッチャブル」な業務報告に触れるのは村社会では御法度なわけでして、発言自体は会議時間が延びることにも繋がるので、早く終わって欲しい他の組合員からみれば「余計なことした」となりかねません。前者は理事・監事から後者は後ろでおしゃべりしている人達から睨まれることになって、都合がよろしくないので緊張していたわけです(苦笑)。

それでも組合が今後どうなるかは出資したお金がどうなるかに通じるので大変気になるところです。今年の総会は単に様子見だったので来年は積極的に質問してみようと思っています。





■今週のゴーヘー

○6月27日(日)  <休み明け>

日曜だけど土曜休みのカレ網は今日が休み明け。そして休み明けは相場が安い。

今日の漁は金曜日よりやや良かった。8時頃坂井のタアカでアオサをびっしり網に付けるまではスローペースだったけど、その後アオサを取るために沖に出たらそこで毎回2〜4本ずつコチがかかった。それも中ゴチのいいヤツが。だから休み前だったらものすごく期待して帰ってくるところだけど、休み明けの今日では期待もしぼんでいた。

札場が始まって最初のいくつかは良い値もあったけどすぐに尻下がり。2番売り以降は金曜日より15%以上安かった(T_T)。


○6月28日(月)  <ツメ>

ガニが網にかかるようになってきた。例年ツメを折らずに丁寧にはずしてゴムで結わえておくんだけど、今年はゴーヘー父がはずしているのですぐにツメを折ってしまう。昨日はたまたま折らずにおいたら1パイ300円ぐらいしてたのでハゴより良い値段だった。うちへ戻る車中でガニのツメの話になって、ツメを折らずにはずすのは大変だから「ツメのハサミ部分だけ片方折ればいいんだ」とゴーヘー父は力説していた。

ところが今日は網にかかった本ガニのツメをためらいなく折っている!。ハゴより良い値段なんだから大事にしてよね!


○6月29日(火)  <安い>

安すぎる。昨日1本だけ売った特大大ゴチに近い大きさの大ゴチが1本2千円。昨日より若干小さく3番売りで他の人も大ゴチを何本も売っていたにしても−1,700円はひどすぎないか。

なんだか去年より明らかに相場が悪い。一昨年のような安相場の日が多い気がする。また景気が悪くなるのかなぁ。


○6月30日(水)  <最後の追い込み>

4時40分には生田鼻沖に着いた。今月も今日で最後だからなんとか例年並みの水揚げを達成したいと意気込んでやった最初の一クラはいきなりカラ。出鼻を挫かれるとはまさにこのこと。生田を諦めマノの河口の沖へ移動して網をやると大中小それぞれ1本ずつコチがかかりカレイもかかった。三クラめはカレイやコチの他珍しく大きめのヒラメがかかり大ゴチ1本分と喜んだが、この後コチが大漁になりヒラメはカンコの中でコチに埋もれて死んでしまった。早くカゴに入れておけばよかった。

一方大漁だったコチも2本死んでしまいまだ早かったけど10時に帰ってきた。幸いこれ以上死ななかったので助かったが、ヒラメとコチ2本で3千円以上損した勘定で今月最後の追い込み中には痛い。

夕方の札場は昨日に引き続き安相場だったが、それをカバーする大漁で2ヶ月ぶりに5万の大台に乗った。しかし他の人も今日は大漁ばかりでうちが目立たないほどだった。相場が安くなるのも道理かもね。とにかく最後の追い込みが効いて6月の水揚げが例年をわずかに越えた。良かった〜♪。


○7月1日(木)  <三河が大にぎわい>

朝北西の風が吹いていたせいで、いつも西浦へ行っている人の半分が三河へ来た。西浦でもみんな大漁だったんだから少し北西の風が吹いたくらいで三河へ来なくてもいいと思うんだけど、やっぱり近場であんな大ゴチが獲れるのを見ると三河へ来たくなってしまうのが人情だね。

実際の漁はみんな昨日より少なかった。無線も終始誰かの声が聞こえる状態で途中で静かになったのはSK丸くらい。彼は魚がいないと誰かを呼んでうるさいけど漁があると静かだからわかりやすい(笑)。うちも昨日の半分以下のうえコチが4本も死んだ。参ったね〜。


○7月6日(火)  <三河×西浦○>

朝梶島へ直行して4クラやってカレイが2枚だった。しかたなく三河へ出てきて二クラ目でようやく大ゴチを1本掴まえた。3クラ目はコチが3本もかかっていたが1本は死に体で海に放す。たぶん死ぬなぁ。その後も10時頃までは1枚か1本ずつかかったが、お昼近くなっていよいよかからなくなりホウベへ走ってきた。

12時丁度に着き一クラやると大ゴチが2本かかる。まだやりたかったが尾張でやってる人が無線で「コチが死んだ」と話していたので、うちの少ないコチも心配になりすぐに港に入った。実際三河より尾張の方が水温が高かったからコチが死にやすいんだろね。

札場へ行くとSK丸が魚を揚げていた。三ガンコを抜いてきておりハゴが大漁だったようだ。道理で今日は無線の声がしないはずだ。もっとも今日はクロダイの相場が安くてケタ数売ったわりにはさほど水揚げは大きくなかったようだ。むしろコチの相場が先週より高くてうちなど助かったくちだ。


○7月7日(水)  <暑・少・意地悪>

朝のうち曇っていた空が8時頃から晴れてきて急に暑くなった。9時頃には全身汗びっしょりでカッパズボンを脱いで前掛けに替えた。あまりに急激に暑くなってきてちょっと気分も悪かったが前掛けに替えてからは次第に治っていった。

魚の方はさっぱりだ。11時からは3クラ連続カラ。この時そばにいた篠島の素潜り漁師がガランガランの音がうるさいといって怒鳴ってきたので調子も狂った。それまでは休憩してたくせにこちらが網をやってガランガランを引き始めたら海に入ってきたのだから意地が悪い。5分も経てばガランガランを引き終わるのは知ってるのだから尚更だ。


○7月8日(木)  <入れなあかん>

梶島で網を揚げている時網を引く強烈な手応えがあった。すぐにゴーヘー父にタマ(タモ網)を用意させそうっと網を引き上げるとすこぶる大きな大ゴチが静かに上がってきた。海面すれすれでゴーヘー父がタマを差しだし暴れるコチの体が頭から前3分の1をすくったところで一気に網を引き上げた。体を激しく振って踊ったコチはタマからはみ出しながらも船縁まで上がってきて、そこで海の中へ落ちていった。腹立たしくて手繰っていた網を投げつけるゴーヘー。

ゴーヘー父が「(タマに)入れなあかん」となじったが、普通網を手繰っている人間がどうこうできるもんじゃない。現に今まで同じ状況でコチに逃げられたらタマを操っていたゴーヘーが怒られたもんだ。そこでゴーヘーは静かに「(タマで)すくわんもんで」と言ったところゴーヘー父もちょっと反省したみたいだった。

今日は大ガレイを含むカレイが全部で25枚、コチが全部で15本で大漁だった。更にアイナメ1本、ハゴも10枚ほど獲れた。アイナメは別に2本あったがすぐに死んでしまい実に残念。札場の相場もよかった。


○7月9日(金)  <ガランガランが・・・>

昨日の大漁を受けて今日は梶島へ他の船もやってくるかもしれない。HA丸あたりはすでに暗いうちから網をやっているかもしれない。と心配しながら船を出した。梶島方面へ走る舟影はないがそれでも少し気をもみながら梶島へ着くと心配とは裏腹にまだ誰もいなかったが、すぐ後ろにST丸が追いついていた。うちは長瀬に陣取りST丸は島の西の自分の十八番に船を進めた。

網をやりガランガランを入れて引き始めた。普段ならガランガランの音がガラガラとするのだけど今日は妙に静かで不思議に思っていたが、ガランガランを引き上げて事の次第が判明。ガランガランの「腕」だけ残して箱の部分がそっくり無くなっていたのだ!。

まだ去年の後半に作ったばかりの新しいガランガランだったので、壊れるなんて合点がいかない。残った腕を調べると腕の先の溶接部分が不良で取れてしまったらしい。3万円の損。鍛冶屋のオヤジのやつ、半端仕事なんかしやがって!とにかく網を揚げて一旦帰り捨てずに残してあった古いガランガランを持ち出してまた梶島へ戻った。うちが一クラで帰っていってしまったのでものすごい大漁だったんじゃないかと、ST丸は気を揉んでいたそうだ(苦笑)。

それにしても昨日大漁で明けた今日ガランガランを落としてしまうなんて・・・・あまりにできすぎだ。誰かに仕組まれた気さえする(ミステリーの読み過ぎ?)。念のため残った腕の先を念入りに調べたけど、ミステリーにあるような「痕跡」はみつからず(当たり前)。う〜ん。


■エピローグ

イライラする事が多い毎日。体力ばかりでなく気力も萎えてしまうほど。暑すぎるせい?。みなさんはイライラする事ってないですか?


■次回予告

Vol.72 「午後はマゼ」 2004年7月24日(土)発行予定


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