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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.73 水上バイク
                                    2004年8月7日発行
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■水上バイク

早い年は5月のゴールデンウィーク頃から水上バイクが海上に現れます。まだ水が冷たいはずだけど陽射しはすでに強いので、ウェットスーツにライフジャケットを着てると体も冷えないのかもしれないです。

7月になって夏も盛りとなれば休日以外でも水上バイクを見かけるようになります。小さな船体?に100馬力前後の強力なエンジンを搭載しているものが多いので、三河湾・伊勢湾を走る一番速い漁船よりはるかに速いスピードを出しています。海の上では制限速度もなく、陸上と違って走るコースが「道」に制限されないのでまさに縦横無尽に走り回ります。後ろから走ってきてこちらの船の前を横切ることなど朝飯前。二人乗りでも余裕でこちらをぶち抜いていきます。逆に前方から疾走してきた水上バイクがすれ違った後内側へ進路を変更して、こちらの引き波を使ってジャンプしたり着水から潜水したりして遊んでいます。

こういう漁船をからかうような走りをする水上バイクは実は少数派かもしれません。多くの水上バイクは漁船など眼中にないかのように海上を疾走しています。漁船だけでなく海水浴客も釣り船もボート釣りも彼らの目には入っていないかもしれません。彼らはただひたすら海上を全速で走り回っています。その光景は残念ながら「海上暴走族」そのものです。

海上暴走族は西浦(特に内海〜野間)に多いのですが、こちら三河湾では海上を「ツーリング」する水上バイクを時々見かけます。東の方から梶島へ来て更に佐久島方面へ走り去ったり、河和(こうわ)方面から南下して来て渥美半島へ向けて走り去る数台?の水上バイクを見かけたり、逆に渥美方面から走ってくるものを見かけたり。海上にガソリンスタンドはないのでちょっと心配になりますが、こちらの心配はどこ吹く風で海の上に彼らを制するものは誰もおらず好きなように走っています。

私自身は10数年前に一度だけ水上バイクに乗ったことがあります。排気量は250CCの小型・一人乗用でしたがアクセルを開けると面白いようにスピードがでました。当日あいにくやや風があって海面が多少波立っていました。波に向かって走ると上下に振られて走りにくかった思い出があります。そして意外だったのがスピードを出しても海上は見通しが良いのでスピード感に欠けたことです。更に海上ではカーブを曲がるコーナーリングの妙なども乏しく、オカの上のバイクに比べると面白味が少ないと感じました。

このスピード感に欠ける感覚が、今海上を疾走している水上バイク族をして全速で走らせる理由のように思います。どんなにスピードを出しても比べるもののない海上ではあまり速いと感じないのです。

しかし水上バイクが速いのは紛れもない事実です。速いスピードに加え船体が小さいので小回りも利くため、他の海上船舶より圧倒的な機動力を持っています。

そして、この機動力は海難救助の際威力を発揮するはずです。

先日も和歌山県で歌手の近藤真彦さんが海水浴場沖を漂流中の子供を助けたニュースがありました。たまたまレジャーボートで遊びに来ていた彼と彼の仲間が子供の助けを呼ぶ声を聞きつけ、近藤さんが水上バイクで助けに向かい無事救助したとのことです。海岸から遠く離れていては人力での救助は時間がかかりますし、船外機をつけた船などでは海中から助け上げる際に船が大きく傾いて危険ですし、船外機のプロペラが海中の人を傷つける恐れもあります。ジェット水流で走行し沈みにくい構造の水上バイクはそういう点でも安心感があります。救助は常に一刻を争うものなので機動力のある水上バイクはまさにうってつけだと感じました。

水上バイクを聞くと海水浴客の迷惑や事故や遭難のニュースばかり耳にすることが多いですが、実際の海水浴場でライフガードが救助に利用している所もあるようです。時はまさに海水浴シーズンで水の事故のニュースが流れない日がないほどです。全国の海水浴場でライフガードの強い味方として水上バイクが標準装備されることを切に願う次第です。





■今週のゴーヘー

○7月25日(日)  <クロダイ大漁>

いや、大漁だったのはうちじゃない。クロダイが大漁だったのは西浦へ行ったST丸、HA丸、FH丸の3バイでした。うちは例によって梶島へ直行。

朝前方をTA丸が走っていた。彼が梶島へ来るのは珍しく後で聞いた話によるとOA丸も梶島へ来る予定だったらしいが、SK丸とYS丸が後をついてくると漁場が狭い梶島に船5ハイになっちゃうんで、OA丸は西浦へ向かったらしい。こうして無事?2ハイだけで漁ができたわけだが、漁の方は今一歩。TA丸は8時頃ガマンが切れて伊良湖へ向かった。うちは10時までがんばって、大ゴチ3本、中ゴチ5本、小コチ8本、カレイ10枚程度、ハゴ10枚程度を掴まえて三河へ戻った。一色前で一クラやって小タコ1パイのみだったので帰ってきた。

船で網をきよって(繕って)いると後から戻ってくる船が水揚げしている様子を見ることができる。船を停めている時間でおおよその漁具合がわかるのだが、冒頭の3バイはどれも30分以上かかっていた。クロダイが大漁だったのだ。カンコの魚をタマ(タモ網)ですくって水揚げするのだけど、ST丸はそのタマをカンコに入れる時なかなか入らなかった。つまりそれほど多くのクロダイをカンコに活かして(詰めて?)きたわけだ。そんな過密状態でよくぞ生きているものだと感心する。

夕方の札場でHA丸はカゴに一杯の死んだクロダイを売っていたので、やはり詰めすぎは死ぬようだ(当たり前)。身動きが出来ないからクロダイのひれや体が擦れることはないんだろうけど。うちはそんな活かし方はしないし、そもそもそんなにたくさんクロダイを獲ることができないしな〜(狙わないからだけど)。


○7月26日(月)  <漁はイマイチ>

朝東へ直行。今日は釣り人がいなくて自由に網がやれた。4クラやって大ガレイが10枚と小カレイが7〜8枚ほど。ハゴも数枚かかった。まずまずだがいつもなら1クラでそれくらいはかかるから漁としてはイマイチ。一クラ目と二クラ目で中小の本ガニもたくさんかかったけど、一クラ目ではゴーヘー父がガニのツメを全部折ってしまったのでもったいなかった。この後渥美方面へ行って一クラやり、すぐに梶島へ戻ってきた。長瀬と島西で中ゴチ以下のサイズがそれぞれ4本ずつかかっただけ。11時半にマゼが強くなってきて帰ってきた。

夕方の札場は休み前相場で値が良く、うちの中ゴチ4本が1万円もしてびっくりした。普段なら良くて8千円だろね。仲買からもため息が出ていた程。大ガレイも10枚で12,000円もした。こちらは普段の2割り増しだ。漁はイマイチで売った魚の量は少なかったけど相場の良さに助けられた恰好。


○7月28日(水)  <走る・走る&熱風>

今朝も東行き。ただし昨日のようなカレイは獲れずわずかに4枚のみ。ガニもかからず、二クラやっただけで梶島へ戻ってきた。梶島では4クラやってコチ4本、カレイ5枚だったのでこのままやってればもう少し獲れたかもしれないが、ゴーヘー父はなぜか三河へ走った。その三河では3クラやって小カレイが2枚のみ。やっぱり梶島にいるべきだったと思ったけど、ゴーヘー父は再び船を走らせ古布(こう)のツキ磯に来た。ここでコチ2本とハゴ4枚がかかったので続けてやるかと思いきや知多マリーナ前に移動してしまった。今日のゴーヘー父の行動はよくわからん。

マリーナ前では死にかけのコチ1本と本ガニ・青ガニが多数かかった。全部はずすのに40分ぐらいかかってしまったため、コチも死にかけになってしまったのかもしれない。このコチは結局死んでしまった。マリーナ前を終わるとまた船を走らせた。今度は布土(ふっと)だ。もう12時近いし北西の風が吹いてきた上に水温が高いのでコチが死なないかと心配だった。あまり欲を出してはいけないと心配しつつ布土で網をやり、それを上げたらコチが4本もかかっていた。欲も出してみるもんだ(苦笑)。

北西の風は次第に強く、熱風となって吹いてきた。西にある高気圧の勢力が強い上に南東から台風が近づいているためらしい。今日の最高気温は36.1度となった。

夕方の札場ではSK丸がすごかった。今日は朝から無線の声がしなくて静かなので変だと思っていたが、どうやら一人で尾張でやっていたらしい。ゴーヘー達が帰港した時はすでに船が岸壁に着いていたので変だと思っていたんだ。相場が良かったせいもあるが安いケタ(トロ箱)で一ケタ13,000円、高い時は18,000円もしていた。人の勘定を計算しててもしかたがないが、合計7万円以上あったようだ。明日はみんな尾張だろう。


○7月29日(木)  <みんな尾張>

朝船着き場へ行くとみんなまだ船が着いていて岸壁に座っていた。それを横目にうちはさっさと船を出し暗い中を布土目指して走った。みんなが行く前に行くんだ〜(笑)。

布土へ着く頃SK丸が追いついてきた。早速一クラ目をやったけどコチが1本だけだったので、ちょっと下って布土の川口でやったら小さめだがコチが6本もかかった。2本死んでいたのが惜しい。続けてやると今度は8本。更にイワテ(北側)に上った二クラ目でコチが6本かかり、また1本死んでいた。7時40分とまだ時間は早かったけどこれ以上カンコにコチを貯めても死ぬばかりなので、市場の水槽に魚を活かしに戻る。戻る途中でまた1本ダメになった。

魚を活かした後また船を出した。浦前のクマセで網をやるとコチが3本とクロダイが1枚かかった。魚を活かし終えたHA丸がクマセにやってきたけど、うちが魚を揚げている所を見なかったのと、釣り船がいて網がやりづらかったのとで、またイワテに向けて走っていった。この後うちはマガナで一クラやってコチ2本とタコ3バイを掴まえたけど、ゴーヘー父が通院の用事があったため帰ってきた。

夕方の札場は相場が昨日より安かったが、これが通常の相場だろう。昨日が高すぎたのだ。うちはコチの本数が昨日より多かったので合計は昨日より多くなった。台風10号はまだ来ない。本州の南海上で時速9キロで西北西へ漸進中。


○8月3日(火)  <休み明け>

西に向かった台風のおかげで日曜月曜もお休みで計4連休だった。これだけ休みが続いたので海も休んだと期待したいところだけど、朝から妙に冷えてあまりよろしくない。案の定梶島も三河も尾張もどこでやっても一クラにコチが1本いれば良い方。お昼までやってやっと7本を掴まえただけ。13クラやって5クラもカラだった。あ〜。


○8月6日(金)  <オーバーヒート>

4日紀伊半島沖に進んできた熱低が突然台風に変わったおかげでまた二日間のお休みだった。加えて明日は土曜休みなので今日の札場は相場が過熱しそう。おそらくみんなも同じ事を考えて沖に出ているはずだ。

うちは久しぶりに西浦へ行った。まだ下波(うねり)のえらい中、小野浦のジョウヤマで5クラやった。小コチが1本ずつかかる。4クラ目あたりからなんだか頭痛がして酔ったような感じ。久々のえらい下波で酔ったかもしれない。

7時半に上野間(かみのま)まで上ると下波はだいぶおさまっていて酔いも解消。一クラやってから坂井へ上り3クラやったけどカラばかりで更に大谷まで上る。YS丸とMH丸がすでにやっていてそのそばで始め、お昼までにクロダイとハゴを40枚ばかりつかまえた。コチも中ゴチ1本を含めて4本あってどうにか水揚げの見通しが立った。

お昼12時からの最後の一クラを上げている時異常に汗が出てきた。今日は曇りがちでマゼが吹いていたので天幕を張らなくてもさほど暑くなかったのだけど、いつの間にか晴れて暑くなっており完全に油断してた。水分はちゃんと補給してたけど天幕がなかったのは想像以上に堪えたようで、お弁当はちゃんと食べられたけど次第に具合が悪くなった。うちに帰って休んでいたら治ったので軽い日射病だったかもしれない。

札場の相場は予想以上に値が飛んでいた。中ゴチで1本3千円前後、大ゴチなんて1本5千円もしていた。うちにそれらがなかったことが残念。


■エピローグ

8月に入って台風続きで休みばかりです。今日までにまだ二日しか沖(漁)に出ていません。休み続きなので札場の相場が良く、ちょっと良いコチがあればすぐに2万3万の水揚げになります。わずか二日で8万以上の水揚げがあった人もあれば、うちのように4万に届くかどうかという人も、それ以下の人もあります。これからお盆までは例年魚の値段が良いのですが今年は例年以上に良くなりそうな予感がします。

できれば一日も休み無くかつ毎日大漁でありたいですが、うちは例年この時期なぜかあまり魚が獲れないのです。今年は例年以上に厳しそうな予感。


■次回予告

Vol.74 「お盆」 2004年8月21日(土)発行予定


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