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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.85 防波柵
                           2005年1月22日発行
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■防波柵

「防波柵」というと牧場の柵のようなものを連想しそうですが、柵の棒の間に
横木はないし棒自体コンクリート製で直径30cmくらいの太さで丈夫な柱で
す。長さは場所によって違うようですが概ね5〜7mくらいでしょうか。この
コンクリート製の柱が1mくらいの間隔で一列にずらっと並んでいるのが防波
柵です。

防波柵がある場所は伊勢湾(の東側)では常滑の苅谷から大谷の間、美浜の奥
田から野間の間、三河湾では渥美半島のオクゴオリです。どちらも冬北西の風
による波が荒い場所なのでその波を防ぐ目的で作られたのでしょう。私が子供
の頃にはすでにあったので作られてからすでに30年以上が経過している模様。

しかし防波柵には疑問があります。そもそも1m間隔で並んだ柱で波を防げる
のか?、ということです。柱の太さに比べ柱と柱の間が広いから波は簡単に間
をすり抜けてしまうんじゃないか?。実際に防波柵に当たる船の引き波を見て
いても簡単にすり抜けて行ってしまいます。これじゃ意味無いじゃん!?。いっ
たいなんのために作ったの?、と頭の中は?マークでいっぱいでした。

ある時オクゴオリで防波柵をその並びの切れ間から横切ったことがありました。
この時防波柵を眺めてたら柵を境にさざ波が消えているのが目に留まりました。
「あ〜、さざ波程度なら防げるんだ」と皮肉混じりに思ったのですが、後でよ
く考えたら防波柵の柱の間隔に秘密があるんじゃないかと思えてきたのです。

1m前後の波は冬季よく発生しますが、1.5mや2mという波は発生する回
数がぐっと少なくなります。防波柵の柱の間隔を1mに設定しておけば多くの
波の波長と近いためもっとも効果的に波を弱めることができるんじゃないか?
物理の波動理論を応用してかも(大袈裟)。

一定間隔で並んだ柱はただの「でくの坊」じゃないかもしれないです。


さて、現在の防波柵は設置後30年以上を経過してかなり傷んでいます。どこ
も列の途中の何本かが折れたり倒れたりしているし、オクゴオリでは東西に並
んでいた2列の防波柵が全部根元から折れ海中の没しています。船が当たると
危険なので両端にウケを浮けて旧防波柵の場所を示しています。

防波柵の海中部分や海中にある旧防波柵には適度にムール貝や牡蛎・海藻が付
着してクロダイやアイナメ・カワハギなどのエサ場・住処になっています。も
ちろんカレ網にとっては絶好の漁場ですが、旧防波柵付近は注意しないとペラ
を曲げてしまう危険な場所でもあります。

去年は網をやる途中で2度も旧防波柵の上を横切ってしまいました。丁度大潮
の満潮時だったのでペラは無事でしたが、網を揚げる際にもう一度、いや2度
横切らなくてはならずかなり怖かったです(^_^;)。


現在は防波柵より防波効果がはるかに高く設置も簡単な消波ブロック(テトラ
ポット)が普及しています。でも私としては力で波を押さえつけるテトラより
防波に物理の香りが漂ってくる防波柵の方に魅力を感じてしまいます。


■今週のゴーヘー

○1月10日(月)  <超珍しい>

今年初めての出漁。朝7時半頃からナマコを引き始める。
11時頃貝殻や石が入ってずっしりと重くなったナマコケタを揚げたらなにや
ら白く太い腹が見えた。袋網の中身を全部出したら白腹はなんと大ゴチだった。
それも昨夏の相場なら1本5千円近くしそうな大きなコチ。体のどこにもキズ
はなくそっと掴まえてカンコに活かす。ゴーヘー父も長い漁師生活の中のナマ
コ引きでこんな大ゴチを掴まえたのは初めてだそうだ。こんな良い大ゴチを弱
らせたり死なせたりするわけにはいかないから、すぐにナマコ引きを止めて帰っ
てきてナマコを活かした後すぐに大ゴチを仲買に持って行った。

仲買の社長に「珍しいもん、持ってきたよ」と言ってスチロール箱の蓋を開け
てみせたところ、「ええ(良い)、コチだなぁ」と言ってくれた。「タテコミ
でもやったの?」のと聞くのでナマコ引きで入ったことを話す。目方を量った
ら1.7キロで値段は3,500円だった。コノワタが高いと言っても手間を
考えたらやはりコチにはかなわないなぁ。


○1月13日(木)  <寒い〜>

この冬一番の寒気が入ってきて今朝の冷え込みは一段と厳しかった。軽トラの
フロントガラスには霜がびっしりと張り付いていた。

昨日の猛烈な風はさすがに無くなっていたが北西の風はまだ吹いていて冷たかっ
た。浦の中へ吹き下ろしてくる風で凍えそう。特に陽の光が雲に遮られると一
段と凍える。今から節分まで冷えるんだろなぁ。


○1月14日(金)  <弱ってる>

ナマコの獲れる量が急激に減ってきた。もうドウマン1つ分獲るのがやっとの
状態。ムールが少し採れたんで油銭は確保できた模様。

少し早い昼飯を食べてからコノワタ取りをやった。ナマコを入れておいたドウ
マンが浮いて傾いていたんでナマコが少し弱っていた。体の表面が少しぬめっ
ていてコノワタも切れやすい。今回はナマコが空気を吸っているようなことは
なかったんで、たぶん水の浮力でドウマンが浮いてしまってるんだろう。これ
を防がないと今後もナマコは弱るばかりだ。

コノワタを取ってる最中にタライに活かした元気なはずのナマコが弱ってきた。
陽射しのせいで思いの外タライの水温が上がったせいみたい。急きょタライの
水を換える。1月の寒のうちにタライの水温上昇でナマコが弱るなんて異例だ。


○1月19日(水)  <暖かい凪>

凪いで気持ちの良い朝。久しぶりにナマコを引きに出たらクマセにテンマが2
ハイいるのが見えた。近づくとバカ網(ボラ漁)の二人だった。ナマコよりも
ムールに重点をおいて引いているみたい。どうやら先日のうちがムールを採っ
ていたのを見て仲買にムールを買ってくれるよう話をつけたらしい。今月はムー
ルを引こうと思っていたのでバカ網の二人がムール採りを始めたのは誤算だっ
た。が、これもしかたない。11時半まで引いてナマコはドウマン1つ分程度
でムールはネット4つ分くらい採れた。揃えるのが大変なので彼らより一足早
く切り上げてきた。

15時半頃ようやく揃え終わって小さいムールを鳶ヶ崎へ放流してきて、帰り
がけまだムールを揃えていたバカ網の二人の所へ様子伺いに行った。まだ半分
も揃え終わっていなくて今日中には終わらない模様。残ったのはネットに入れ
て活かしておけばいいとアドバイスする。揃える手間にかなり参っている様子
だった。うん、ムールはこれが大変なんだよねぇ。


○1月20日(木)  <波が入る>

昨日の天気予報では今日は西風が朝から吹きつけているはずだったけど、実際
にはさほど吹いておらず慌てて海へ出る。昨日と同じくすでにテンマ2ハイが
クマセで引いていた。30分も引くとムール貝がガラ(貝殻)も含めてカゴ2
ハイ分くらいになった。

丁度その頃から西風が目立ち始めじきに吹き下ろしてきた。波立ってきてテン
マが揺すられるためよろけて危なっかしい。ガラでいっぱいになったナマコケ
タとその袋網をテンマに引き上げる際、テンマが大きく傾くため波がテンマの
中に入ってきた。もうこれ以上は無理そうなので帰ってきてムールを揃えた。


○1月21日(金)  <早上がり>

今日もさほど風は強くなく朝は予定通り出た。またクマセに行ってムール引き
だ。もう一昨日のように一度にたくさんは採れなくなってきたけど今日は回数
でそれを補う。ナマコも時々大きいヤツが入るので昨日よりも嵩(量)がある
ようだ。

10時頃キ○エイ丸から「そろそろ帰る?」と声が掛かった。風は朝より強く
なっており帰ってからムールを揃える時間も欲しいからちょっと早いけどやめ
ようということだろう。バカ網の連中はカレ網の連中より「みんなのルール」
を重視するから、始める時もやめる時も揃って行動する傾向があるんだなぁ。

で、帰ってきてムールを揃えてたんだけど今日はいくらにも(どうしようもな
く)寒くて凍えた。大寒を過ぎて寒の内だからなぁ。


■エピローグ

12月中は冬とは思えない程温暖でしたが、年が明けてからずっと寒く北日本
や日本海側では連日大雪のようです。21日はこちらでも雪が降りそうな雲行
きとなり寒さの底にいる感じがしました。

16日にパソコンの電源が入らなくなりマザーボードが壊れたと思いすぐに代
わりの品を買ってきたのですが、交換しても電源が入らず、ここでようやく電
源スイッチが故障していることに気づきました(遅)。調べるとスイッチを固
定してるケース側のツメが折れており、これを接着剤で固定したらちゃんと電
源が入るようになりました。

マザーボードは元に戻し新品即中古品となった買ったばかりのマザーボードは
現在オークションに出品中です。あ〜、新年早々なにやってんだか(T^T)。


■次回予告

Vol.86 「消波ブロック」 2005年2月5日(土)発行予定

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