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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.86 消波ブロック
                           2005年2月5日発行
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■消波ブロック

消波ブロックはその名の通り海岸や防波堤・岸壁に打ち寄せる波を消すための
ものです。波消しブロックと言ったりします。岸壁のすぐそばや防波堤の外側
とか海岸から少し離れた場所に海岸と平行に積まれています。消波ブロックと
いうより「テトラポッド」略して「テトラ」と言う方が(特に釣り人には)馴
染みがあるかもしれません。

各種ある波消しブロックの中でもこの「テトラポッド」はおそらく一番よく目
にするタイプだと思います。どこの港の岸壁のそばにも積まれていて、特に外
海に面した海岸などでは沖合から打ち寄せる波を遮るように海岸と平行に積ま
れています。4本の太い円錐を正三角錐の形に収まるように作った形状は、重
心が低く安定していて4本の腕が他のテトラポッドとうまく絡んで外れにくく、
他のどの波消しブロックよりも安定した組上がりとなります。

正方形の各面にそれぞれ同じ正方形を貼ったような波消しブロックがあります。
四角く短い腕が他のブロックとよく絡みそうなのですが、ブロックの隙間が狭
くなり過ぎて水はけが悪いのと、四角いので波の浸食をより早く受けるようで
す。浸食されれば積んだブロックが崩れやすくなり、崩れればまた積まなくて
はならないので余計に経費がかかります。そういう点でもテトラポッドは波消
しブロックとして秀逸です。

この「テトラポッド」、実はフランスの会社が製法特許を持っているモノです。
日本ではその名もずばり「テトラ株式会社」(以前は日本テトラポッド株式会
社、大株主がゼネコンではなく新日鐵なのがおもしろい)という会社が製造と
型枠賃貸(型枠はもちろん鉄製、ここに大株主の理由があるのかも)を行って
います。大小様々なテトラポッドを扱っていて大きなヤツは80トン(高さが
木造住宅の2階屋根くらいある)もあるそうです。大きくなっても「あの形の
まま」なのが興味深いです。

テトラポッドに代表される波消しブロックは護岸のためには実に好都合なもの
で、ブロックの隙間は流れも穏やかでメバルやアイナメに代表される根魚の住
処ともなります。一見自然にも好都合のように思われますがどっこい自然は一
筋縄ではいかない奥深さがあります。

というのも波消しブロックの隙間は波穏やかゆえクラゲ(特に水クラゲ)のポ
リプの住処となりやすいと説があります。

クラゲのポリプは海底の岩や岩礁の隙間に根付いてクラゲをたくさん発生させ
るクラゲの元となるものですが、潮流や波がゆるい場所を好むようなのです。
ポプリが好む自然の海にはあまり存在しない水はけの良いそんな岩の隙間が、
波消しブロックの中には大量にあるわけです。ポプリがついていない方がおか
しいと思うのです。

三河湾と伊勢湾と比較すると水深の浅い三河湾の方が波消しブロックによる護
岸が圧倒的に多いです。そして水クラゲも三河湾の方が圧倒的に多いのです。
あくまでも定性的なもので定量的なものではありませんが、カレ網に絡みつく
水クラゲの量は間違いなく三河湾が多く、その数・量も年々増加する傾向にあ
ります。

伊勢湾では常滑沖に空港島ができて護岸にテトラポッドが大量に積まれていま
す。数年後空港島周辺ないしは近辺の伊勢湾内で水クラゲが大量発生するよう
になるかもしれないと考えています(やだな)。


■今週のゴーヘー


○1月22日(土)  <4ハイ>

朝は風が強めだったが凪いでくる予報だったのでそれを期待して海に出た。例
によってテンマ3バイでムールを引き始めたらそこへコ○エイ丸がやってきた。
今日は彼もムールを引くつもりのようだ。とうとうテンマ4ハイで引くはめに
なった。う〜む。

風は止むどころか次第に強くなり9時を回ったら波も出てきてテンマが左右に
大きく揺れ出した。風上に向かうと波しぶきを頭から被るようになりガマンも
限界に達し、とっとと帰ってきた。バカ網の二人もすぐに後に続いた。例によっ
てコ○エイ丸だけ残ったが、5分もしたらさすがの彼も帰ってくるのが見えた。

帰ってきてから昼までコノワタ取り。午後はムールを揃えた。ムールはネット
1つ半分だったので14時半には終了。風は依然強く吹いたままで寒い。


○1月23日(日)  <くもり>

朝曇っていて寒かった。ただし風がないのでテンマの上でケタを揚げると体は
暖かくなった。

クマセでのムール引きも今日で5日目。さすがに採れる量が減ってきた。午前
中いっぱいやってもネットに2つがやっとだ。これでは油銭(燃料代)を引く
と勘定(採算)が合わなくなってくる。去年のように油をほとんど使わないの
ならネット2つでもいいけど、ムールを引いてる間ずっと船外機を動かしっぱ
なしだからなぁ。

バカ網(ボラ漁)の二人は葬式があるそうで少し早く帰っていった。うちもあ
まり採れないから10時半にあがる。それからムールを揃えて12時半には終
了。ムール引きも天気同様くもりだ。


○1月24日(月)  <2ハイになった>

ムール引きはコ○エイ丸とうちの2ハイだけになった。バカ網の二人は本業の
バカ網に出て行ったからだ。もうムールの採れる量が少ないからボラの方がい
いよね。

2ハイだけになってコ○エイ丸はしきりにうちの採るムールの量を気にしだし
た。うちに比べて彼は半分も採れないとぼやくのだ。確かに引いた後ガラ(貝
殻やゴミ)からムール(とナマコ)を選り分けるのに時間がかかる。うちは二
人でやってるからゴーヘーが選別する間、ゴーヘー父がすぐにケタを引き始め
るのでロスタイムが少ない。勢いムールのたまるスピードが速くなる。

でもそれは二人だから当然だし、一人なら儲けはまさに独り占めだけどうちは
二人分稼がなくちゃいけないんだから一人の人の倍なくちゃだめなんだけど、
あくまでも「1対1」で考えるらしい。う〜む。


○1月25日(火)  <ナマコ&ムール終了>

ナマコもムールもやめることにして、今日は最後のコノワタ取りをした。3日
やってタライに1杯分もない。しかも大半が小さいナマコばかり。ワタを取る
手間も大変だし、もうナマコ引きをやめてもいい。ムールも急速に採れなくなっ
てきたからこちらもお終い。

2月半ば過ぎにカレ網に出るまで長期お休みだぁ。


■エピローグ

「波消しブロックの中にクラゲのポプリ説」は以前、沖縄大学の海洋自然科学
科のMYMY先生にご指摘を頂戴きました。以来私の中では確信・定説になってお
り今回使わせて頂きました。この場を借りてお礼を申し上げます。

さて、現在私達は無職です。というのは大袈裟ですが、無収入なのは、間違い
ない(長井秀和風)。まだナマコを引いている人もいますが採れる量はわずか
だと思うのです。油銭(燃料代)を考えるとこの寒の内にわざわざやるような
漁でもないし、採りすぎてしまうのも心配です。テンマ一パイでも少なければ
それだけ生き残るナマコも多くなるというもの。

カレイもまだ体が薄くてペラペラ状態。旧正月がすぎて2月も後半になってこ
ないと身が付いてこないです。それまでは「失業状態」を楽しみたいと思いま
す。

映画でも観にいくべぇ〜!(お金ないから割引日限定だけど(笑))


■次回予告

Vol.87 「漁具の名前」 2005年2月19日(土)発行予定

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