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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.88 セントレア
                                     2005年3月5日発行
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■セントレア

2月上旬のとあるよく晴れた日。開港を目前に控えた中部国際空港、別名セントレアの見学に両親と一緒に行ってきました。知多半島にはその中央を南北に縦断する有料道路があり、我が家からもあまり時間をかけずに有料道路の入り口まで行けます。有料道路はセントレアにも直通で繋がっており、車で走ることわずか30分程度で空港へと続く道の最後の料金所を通過しました。その先は空港へと渡る橋です。

これまで幾度と無く眺めその下を通過した橋の上を、今走ろうとしています。橋からわずか20m下は海で、今まではそこからこの橋を見上げていたのです。

橋を通過する際は丁度前後に車がいなかったので、スピードを落としてゆっくり走りました。左には広い埋め立て地(空港とは事業体が別?)が広がっています。前島と呼ばれる常滑側の浅い海だった場所です。カレ網ではシーズン中毎日のように網をやっていた場所です。それが今ではすべて陸になってしまいました。

これまでも時々ゴーヘー父が「俺が網をやっとった場所(三河湾東奥)はみんな陸(オカ)になった」と言ってぼやいていましたが、それはしかたがないことだと思ってきました。でも今日その気持ちが心の底からわかりました。

ここは飛行機を使って商品輸送を目論む会社にとっては恰好の立地かもしれませんが、今はまだ名鉄電車の駅以外何もありません。建物を建設するにはある程度時間を要するので当分の間乗降客は見込めないでしょう。用地交渉には時間がかかるとはいえ、開港直前にまっさらな更地状態ではなんのための埋め立てだったのかと考えてしまいました。

私は車のスピードを上げました。


正面に見えた管制塔が次第に右に移動し橋は下っていきます。これまでずっと海からしか見たことがなかったこの空港島へいよいよ上陸です。

空港の駐車場はターミナルビル正面に巨大立体駐車場(3階建て+屋上)、その両端に広大な平地の駐車場が用意されていました。正面玄関近くの立体駐車場へ上がり車を止め、エレベーターで屋上へ上がると正面玄関へと通じる歩道がありました。

正面玄関を入るとそこはアクセスプラザと名がついたホールになっており、右に名鉄電車の駅、左にコンビニや郵便局がありホテル(セントレアホテル)への入り口にもなっていました。正面奥がスロープを上ると旅客ターミナル(出発ロビー)なのですが、開港前ということもありロビーへは入れませんでした。代わりにスロープの途中までは開放されておりそこまで入って、準備に追われる内装工事関係者や各航空会社関係者の方達を眺めてきました。

アクセスプラザは航空会社の地上スタッフ、旅行会社の関係者や空港関連の会社の皆さんの他に、物見遊山の個人や団体旅行の旅客でごった返していました。まわりの壁を見上げるとそこには大きな広告がこちらを見下ろしており、これだけでも相当な金額が動いているんだろうなぁと余計な詮索をしたり(^^ゞ。

何よりこれだけたくさんの人がここに集まり出入りすることによる経済効果は1日でも随分大きなものでしょう。開港すれば一週間で小さな自治体の1年分の予算に匹敵するほどの経済効果があるかもしれません。空港島を作る以前のこの場所での操業から揚がる水揚げ高とその経済効果を考えたら、比べること自体空港とそれを計画した人達に失礼なほどでしょう。


たくさんの人の波という普段と違う波にもまれて疲れ(開港前で店も開いてないし)、正面玄関を抜けて外へ出ました。寒が明けたばかりでまだ冷えて寒いですが陽射しには力強さを感じます。

正面玄関からまっすぐ東へ伸びる通路の先を地上へ降りると高速艇の発着場がありました。伊勢湾を横断して三重県からここへ高速艇が運行するようです。この発着場の北側も南側もまだ何もない広い空き地(やはり空港とは別事業体?)でした。

ここもきっとこれから何かが建設されるのでしょう。

空港島の概要

セントレア




■今週のゴーヘー

○2月23日(水)  <暖かい>

久しぶりに沖に出る。浦口では4ハイのテンマがまだナマコ引きをしていた。例年ならみんなカレ網に出ているのだけど、今年はカレイもいないからまだナマコの方がいいんだろう。しかし4ハイで引きまくっていてはナマコを獲り尽くしてしまう。てか、獲り尽くすまで獲らないと気がすまないのかもしれない。

10時頃からずいぶん暖かくなってきた。網揚げで汗をかきそうなくらい。春一番が吹くか?


○2月28日(月)  <4,500円>

久しぶりに風が凪いで沖(漁)に出た。8時過ぎに梶島へ着き2クラやる。カレイの影も形もない。吉田港前でやったらクラゲが結構多めにかかってきた他は何もなし。このクラを揚げてる途中で風が強くなってきて慌てて帰ってきた。やれやれ、何をしに行ったんだか。

結局今月はカレイを10枚程掴まえただけだ。しめて4,500円也。
はははぁぁぁ〜。


■エピローグ

空港島のあった場所は昔からコチやカレイやクロダイがたくさん獲れた場所で、カレ網にとって大変重要な場所でした。しかしゴーヘーが漁師となった時にはすでにその一帯は前島も含めて進入禁止になっており、そこでの漁は一度も経験していません。漁業補償に関してもすでに決着した後に漁師になっているので直接その嵐を体験してもいません。

そんなゴーヘーが空港島の件をどう扱ったらいいか?。これまで3年半の間、ずっと考えてきました。空港見学にも行きいよいよ開港が迫り、「南セントレア」問題勃発の勢いでつい取り上げてしまったわけですが、漁業補償も絡んだこの話題は「書きたいことが多すぎて」実に「書きづらい」ものでした。

原稿を書き始めてもまだ悩んでいましたが、開港前のセントレアを見学した時の様子をお伝えする中でできあがった空港に関する漁師としての素直な気持ちと感想を書くことができればそれでいいじゃないか、と思い始めました。ですから「裏舞台」的なことを期待されていた読者の方には肩すかしを食らわせてしまったかもしれません。もしそんな感想を抱いた方がいらっしゃれば申し訳ありません。


セントレアと言えばテレビの全国ネットニュースでも報道されて図らずも有名になってしまった「南セントレア市」。住民投票の結果合併そのものが否決されてしまい梯子をはずされた恰好となりました。ただし、投票の際の住民アンケートでは別な名前が圧倒的多数で1位となり住民の良識をかいま見た気がします。


■次回予告

Vol.89 「アオサ」 2005年3月19日(土)発行予定

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