前一覧次
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.90 コアジサシ
                            2005年4月2日発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


■コアジサシ

4月頃になると西浦(半島西側)の主に空港島周辺でコアジサシを見かけるよ
うになります。初めて見た時は「アジサシ」だと思ったのですが、ツバメより
少し大きい程度の鳥だったのアジサシではなく「コアジサシ」だとわかりまし
た。

彼(彼女?)らは、高さ5〜6mの上空から海面めがけてダイブして海面近く
の小魚を獲っています。空中で盛んに羽ばたいてホバリングし狙いを定め、急
降下して海に飛び込むのです。着水する直前まで羽は完全には閉じずにやや開
いています。開いたまま海面にぶつかればおそらくダメージがあるでしょうか
ら、ギリギリまで閉じずに小魚めがけて体をコントロールしてるんだと思いま
す。

クチバシから海面に突っ込んでもほとんど潜ることなくすぐに羽ばたいて飛び
立ちます。コアジサシは海鳥ではあっても海に潜ったり浮いたりはしないよう
です。「ひょっとしたら潜ったり浮いたりできないのでは?」とか「魚が獲れ
なかったことを恥ずかしがって逃げるのか?」と思わずにはいられないほど、
海面に当たるとすぐに飛び立っていきます。(それにしても羽ばたく力の強い
こと!)

コアジサシは頻繁に海面に向かってダイブしますが、ダイブするたびに小魚が
獲れるわけではなく実はその多くは失敗します。成功は3回か4回に1回ぐら
いです。プロ野球の打率にしたら2割5分〜3割3分なのでコアジサシは皆一
流選手と言えそうですが、6割7分〜7割5分は失敗することを思うとプロで
はない一般コアジサシにとっては厳しい数字です。カレ網で漁の成功率が3割
3分以下では100%生活できないです。

でも中には魚獲りの上手なコアジサシがいて、2・3匹の小魚をくわえて飛ん
でいくものもあります。ヒナにエサを運ぶには1度に1匹より2匹3匹とくわ
えていく方がはるかに効率が良いので生き残りには絶対に有利ですね。

そのヒナがいる営巣地ですが、私はずっと空港島だと思っていました。海から
飛び立ったコアジサシの何羽かが空港島方面へ飛んでいくのを見たり、空港島
には広い未舗装の空き地があったりしたので、間違いないと考えていました。

ところがしばらく前に、名古屋港の埋め立て地の一部がコアジサシの営巣地に
なっているという放送を偶然テレビで見ました。考えてみれば工事用車両が轟
音を立てて動いている場所にヒナを育てる巣を作るはずがないですね。

その営巣地は何年も前に埋め立てが完了したけど未だに進出する企業もなく利
用方法が決まっていない空き地となっているそうです。埋め立て地のためネコ
などの天敵となる動物はおらず、コアジサシにとってはこの上ない好条件な営
巣地となっている模様です。

この埋め立て地は実はカレ網にとってはよい漁場でした。埋め立て前は本ガニ
(ワタリガニ)やクロダイを獲りによく行ったそうです。それが埋め立てられ
陸(オカ)となって今ではコアジサシの営巣地となっている・・・。なんだか
妙な気分です。貴重な動植物や自然の保護は両手をあげて賛成するのですが、
何百億という大金が投じられたコアジサシの営巣地というのも・・・。う〜む。

伊勢湾周辺のコアジサシの営巣地は開発でどんどん無くなってきています。今
の埋め立て地が彼(彼女)らにとっては伊勢湾に残された最後の楽園かもしれ
ません。


■今週のゴーヘー

○3月21日(月)  <役員>

午後漁協の建網部の総会があって初めて出席。役員選挙が行われ(組織票によ
り)見事役員選出。組合員になって一年程度、しかも部の総会初出席で部の内
部事情を知らない人間を役員に選ぶのもどうかと思う。組織票を組んだ側にも
それなりの考えもあったようだが・・・。まぁ〜、自治会の役員もそうだけど、
役員なんて一種の雑用係だから新人でもなんとかなるもんだ。みんなに顔と名
前を覚えてもらうのに丁度良い。で、会計を仰せつかった。

部の総会後は新旧役員の懇親会。みんな声が大きくて(漁師だからね〜)、よ
くしゃべるね〜。


○3月25日(金)  <あさり口開き>

いよいよ今年のあさりかきが始まった。今年はカレイが獲れないんでせめてあ
さりで小遣い稼ぎくらいしたいと勇んで出発。

あいにくと真冬並みの寒気団が来ており今朝は猛烈な北西の風。テンマで出か
けたら風でテンマが流される程。例年の場所へついて水深を測るとまだちょっ
と深め。できるだけ浅い場所へ行って錨を下ろして・・・・あ!、錨がない!。
うっかりしてた、錨をテンマから下ろしたままだったんだ。今から取りに行っ
て戻るのも時間がかかるし、第一今日は潮の引きが悪そうだ。オカから行って
岸に近い場所をかくことにした。

で、軽トラに乗り替えてアサリ場の入り口へ行き、さ〜行くぞ、と思ったら、
アサリを入れる浮きカゴを忘れたことに気づいた。あ〜、またしても準備不足。
浮きカゴがないと海に入ってマンガでかけないんで、しかたなく手堀に切り替
えた。手堀用のカギとカゴは持ってきてた(^^ゞ。

で、肝心のアサリがいない。雪交じりの風が吹きつける中あちこち移動して探
したけど3分で1コ見つかれば良い方。2時間近くやってほんの1キロ程度。
はぁ〜、参ったなぁ。マンガでかく水深が深い場所に期待するしかないなぁ。


○3月26日(土)  <出るところは出る>

今日は鳶ヶ崎へ行った。最初は防波堤の南側で石の間をかく。マンガではかな
りやりづらい場所だけどもうちょっと潮が引くまでここで待つ。入場料が要る
造成地にはテンマが10パイくらい集まっていたけど、あまり出ている様子は
ない。

潮が干ってきてから少し沖側へ移動。毎年やってる場所を探して歩いたけどヤ
マテを忘れててなかなか見つからず(苦笑)。どうにかそれらしき場所を見つ
けてかくもあまり数が採れない。一つ一つのアサリは大きいのでそれを励みに
付近一帯をかく。

浮きカゴの浮きが一つはずれて無くなっておりアサリの量が少ないのにカゴが
沈み気味でやりづらい。明日はちゃんと浮きを付けてこようと考えながら、途
中でネットに移し替えた。大した量じゃないのに意外に重量がありちょっと驚
く。後で計ったら11キロあった。

潮が満ち始めたら北東の風が強くなり始め、そろそろ腹も減ってきたのでやめ
て陸へ上がった。造成地の人達は中にはカゴ2ハイ近くかいている人もいた。
早めに帰った人もいたので場所によって随分違うようだ。観光客向けの場所で
は村のおばあさんがひとりで中サイズのアサリを30キロ以上かいている人も
あった。


○3月27日(日)  <500円かぁ>

今日は鵜の鳥島の東でかいた。みんなコウナゴ漁から戻ってきてないんで一人
だけ。このチャンスにたくさんかきたいのだけど今年もこの場所はあまり出な
い。はぁ〜、入場料を払ってでも造成地へ行くべきだったかと迷ったが、潮が
引けばもう少し出る場所もあるだろうとガマンする。

お昼近くにコウナゴ船団が続々と戻ってきてアサリかきに出てくる人も1人2
人とあったが、他の場所へ行った。鳶ヶ崎に行った人がいたのでかなり気にな
る。去年も最初にかいた人はたくさんかけたんだっけ。でも2年連続で出るこ
とはないから今年はどうかなぁ。

何も食べるものを持ってこなかったんで昼を過ぎてかなり腹が減ってきた。後
から来た人とつかず離れずでかいていたんだけど、あまり量が出ないし潮が満
ちてきてさすがに嫌になってきてやめてテンマに乗った。帰りしな鳶ヶ崎の方
を見ると例の場所で一人かいていた。浮きカゴが沈みかかっていたから案外た
くさん出たのかもしれない。

船着き場へ戻って昨日の分と合わせて大きさ別に選り分けてネット2つにして
仲買へ持って行った。でもせっかく選り分けたけど計量は一緒だった。全部合
わせて27キロだったが1キロ引かれて26キロ。昨日11キロだったから今
日は16キロかいたことになる。値段はキロ500円。島のアサリが解禁になっ
たから値段が安いんだろなぁ。あんなに大きくて身がいっぱいは入っていたの
になぁ。はぁ〜。


○3月31日(木)  <クロダイ拾った>

朝小野浦での3クラ目か4クラ目でガランガランを引き始めた時大きなクロダ
イが水面すれすれを泳いでいるのを発見した。タマですくおうとしたけどうま
くいかず。ガランガランを引き終わって網を揚げ始める前にまだ漂っているの
を発見してゴーヘー父がタマですくった。フラフラで死にかけかと思ったけど、
どうやら浮き袋が膨らみすぎて潜れず漂っていたみたい。おそらく底引きか何
かに驚いて急浮上したんで浮き袋が膨らんでしまったんだろう。

普段ならそのままほっといてもわりと大丈夫なんだけど、今日のヤツは腹が妙
に張っていたのでそのうち死んでしまった。夕方捌いてみたらお腹に大きな子
(卵巣)があったんで、膨らんだ浮き袋で内蔵と子が圧迫されて死んでしまっ
たんだろう。生きてりゃ1枚千円は下らなかっただろうから残念。晩のおかず
になってしまった。


■エピローグ

最近2週間って過ぎるのが早いなぁと思っています。つい数日前に原稿を書い
てメルマガを発行したばかりだと思っていたら、もう次の発行日がやってきま
した。前回発行日から今日まで10日間ぐらい飛び越してきた感覚です。歳を
取ると月日の経つのが早いといいますから・・・・あ゛っ。

さて、みなさんのところでは桜は開花したでしょうか?。うちの近所の桜は2・
3日前に開花し今は2分咲きといったところですが、他の多くの桜はまだ蕾状
態。開花は今日か明日で満開は来週末頃と予想しています。桜が見頃になった
らぜひお花見をしたいです。


■次回予告

Vol.91 「連合会」 2005年4月16日(土)発行予定

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright (C) 2001-2005 Gohe.


前一覧次