前一覧
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.91 連合会
                           2005年4月16日発行
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


■連合会

ヤフーで「連合会」を検索すると農業協同組合連合会や生活協同組合連合会、
国民健康保険団体連合会、日本弁護士連合会、行政書士会連合会、全国商工会
連合会、日本経済団体連合会など、どれも一定の組織の更に上の枠組みとなっ
ています。農協や生協は身近でもその連合会となると我々一般の人にとっては
馴染みのある組織ではないと思います。上記の例で新聞やテレビニュースでよ
く耳にする連合会は日本経済団体連合会、いわゆる経団連ですが、これも私達
からは極めて遠い存在です。

我々漁師は各地元の漁協すなわち漁業協同組合に所属しています。漁協は県単
位で連合会を組織しており、それとは別に各漁協が直接ぶら下がる全国漁業共
同組合連合会という組織もあります。漁協を束ねる組織が2つもあるのは解せ
ませんが、たぶん過去に政治的なしがらみなどがあってこうなったのでしょう。
どちらの連合会も私たち一般漁師にとって遠い存在であることは同じです。

漁師は地元漁協に所属していますが、それとは別にショウバイ(漁)別に組合
の枠を超えて組織を作っている場合があります。目的は主に資源管理と市場価
格の維持、漁のルール維持です。

私たちの地元ではコウナゴ漁、シロメ(しらす)漁、フグ漁の3つが漁協の枠
を超えた大きな組織をなしていて、この組織を「連合会」と呼んでいます。そ
してこの連合会は所属している漁師達にとっては極めて身近で影響力ある組織
です。

コウナゴ漁を例にとってみましょう。

春も近い2月、コウナゴの連合会はお隣三重県の連合会と協議してコウナゴ漁
の開始時期を決定します。これは漁場である伊勢湾が三重県との共同漁業権の
場だからです。勝手な操業は過当競争を生みそれが市場価格の低迷、ひいては
コウナゴ資源の減少を招き廃業の可能性が高まることとなります。操業が開始
されても毎日網入れ開始時刻、終了時刻はきちんと守らなくてはならず、休み
も一斉にとらなくてはいけません。前日相場が軟調だった場合翌日操業を見合
わせたり、朝起きて風で波が高かった場合突然休みになったりします。近年は
コウナゴ資源の減少が目立つせいでしょうか休みが多く、操業日数は1ヶ月で
10日程度となっています。

さてこうした連合会による休みは個々の漁師にとってすべて歓迎されるわけで
はありません。伊勢湾は波が高いけど三河湾はそれほどでもない場合、三河湾
で操業したいのが地元漁師の気持ちです。でも三河湾の漁業権がない三重側に
とっては是非とも休みにしてほしいところです。この場合連合会で協議の結果
たいていお休みとなります。お休みの連絡は迅速に各グループの責任者へ行わ
れ、その際「連合会で休み」と伝えられます。三河湾で操業したい漁師達にとっ
ては実に残念なお休みですが、連合会で決まったことでは従わなくてはなりま
せん。

「連合会で休み」というフレーズはよく聞くので、おそらく連合会で協議され
る事柄で一番多いのはこのお休みについてでしょう。いつしかお休みのことを
「連合会」というようになりました。若干揶揄と強制のニュアンスも入ってい
るようです。

カレ網には残念ながら連合会はありません。ありませんが、みんなが休んだり
途中で引き返した場合などやっぱり「連合会」と称したりします。この場合も
もちろん若干の揶揄と強制のニュアンスが入っていて、それは本家「連合会」
と同様です。


■今週のゴーヘー

○4月2日(土)  <大漁&大量>

オクゴオリの海苔枠が上がって(片づけられて)いるだろうとふんでオクゴオ
リへ行く。土曜日は貝屋さ(あさり漁)もお休みなので空いた場所で自由に網
がやれると期待。そして予想通り枠は上がっていた。

今まで海苔枠があった沈んだ防波柵の周りを重点的にやった。黒部側から福江
側まで万遍なくやって、どのクラでもカレイが1〜3枚ずつかかった。特に大
ガレイが多くてやり甲斐がある。昼過ぎまでやって大ガレイ13枚、中小カレ
イが15枚。この春一番の大漁だ。ようやく「キターッ」という気分。

帰る途中スナメリを見た。今年はよく見るんだけど今日はいつになく大量のス
ナメリを見た。最初の群れが5〜10頭、次の群れが5・6頭、その次が4・
5頭。全部合わせれば20頭くらいになりそう。3つの群れは3方向から1カ
所へ集まるような感じで泳いでいた。スナメリも春が来て恋の季節なんだろう
か。


○4月3日(日)  <暑っ!>

雨との予報だったが朝からまったくその気配なし。降ってくれば帰ってくれば
いいから、と出かけたけど、降るどころか晴れてさえきて暑い!。11時頃に
は膚シャツにシャツ1枚で網を揚げる。まるで5月だ。その後北西の風が吹い
てきて冷えたのでヤッケを着る。気圧の谷が通過したのかもしれない。

魚の方は昨日に引き続き好調で今日も大ガレイが11キロになった。枚数は昨
日より少ないから今日のカレイの方がよく肥えている。単価もキロ2千円と申
し分なし。

帰港するとショ○トク丸がやってきた。建網部所属の組合員の親が亡くなった
とのこと。花環を出して明日のお通夜には役員が代表して焼香に出向かなくて
いけないそうだ。役員もなかなか大変である。


○4月5日(火)  <エイがいっぱい>

昨日のお通夜の後、中華そば屋で遅くまで臨時の役員会(笑)。今朝風が吹い
ていればお休みだと言っていたけど、夜明け後に船着き場へ行けばいつもの人
達はすでに出た後だ(苦笑)。ま、焦って早く行っても魚が掴まるわけじゃな
し。

一色前へ行くとオ○エイ丸が網を揚げていた。その少しタカで網をやる。ここ
で続けて3クラやって小カレイ4枚、中ガレイ1枚。これではダメなんで少し
イワテ(北)に移動して前回カレイがいた場所で網をやったら大ガレイが4枚
もかかった。2枚は分厚いモガレイだ。良い値が付くかもしれない。

その隣で網をやった時たまたまアサリマンガの船が次々と帰港してきて網のそ
ばや上を通過していったので、ガランガランを引く時間がいつもより長くなっ
てしまった。そのせいかどうか、網を揚げたらA3用紙ぐらいの大きさのエイ
がたくさんかかっていた。その数ざっと50。どれも網に絡まってなかなかは
ずせず、その間に風で船が流されて危うく海苔の竹にぶつかりそうになった。
参った。

その後はカラが多かったりアオサが網にたくさん付いたりした。昼過ぎに吉田
港前でやったら大ガレイが1枚かかり、続けて2クラやってそれぞれ大ガレイ
が1枚ずつかかった。この場所でカレイがかかるなんて久しぶりだ。


○4月6日(水)  <札場始まる>

今日から沖に出る人が増えて、ようやく札場(市場)が始まった。最初でご祝
儀相場があるかと思いきや、相対での売りより断然安い。なんだかなぁ。全体
の魚の量も少なくて気を吐いていたのはヒ○エイ丸ただ一人。クロダイが大漁
だったようでなかなかはずせなくて危うく札場の開始時間に遅れそうな程だっ
たらしい。

今年はホントに苦しいなぁ。


○4月8日(金)  <あさりかき再び>

今日から今年2度目のあさりかきが始まった。今日は風が強いけど前回のよう
な寒さはない。

今日は観光客向けの場所でかいた。マンガでかいても良いと聞いたので開始と
同時に目当ての場所でかき始めた。予想に反して石が多くマンガの歯が立たず
苦労する。歯が立ちそうな場所を求めてあちこち彷徨う。下り(南)側は大き
なアサリが多いけどなんだかカラカラと音がして軽そう。身が少ないのか?。
少しイワテに移動すると粒は小さいけどカラカラ音はなくなって身が入ってそ
う。後半はずっとそちらでかき、どうにかカゴに半分くらいかけたから良かっ
た。


○4月9日(土)  <一人でかく>

今日は鵜の鳥島の東でかいた。あとから一人やってきたけど終始少し離れてか
く。

今年は去年にも増してアサリが少なくて、まだ二潮目だというのにもうあさり
かきに出る人が激減。鵜の鳥島の東も今日は二人だけとなり、途中で自分一人
だけになった。一人になった頃ソコリ(干潮)が近くなったんで去年もかいた
もう少し沖の場所へ移動。狙い通り大きめのアサリがよく出た。これでようや
くカゴのアサリの増え方が良くなった。

潮が満ち始めてきた頃コ○エイ丸が造成地を諦めてここへやってきた。10キ
ロもかけなかったようで随分ぼやいていた。すぐにかき始めたけど思うように
とれないんで止めて帰っていった。

今日は昨日より長い時間かいたけどアサリの量はやや少なめだった。計ってな
いが15キロ前後だろうか。明日かいた分と合わせて明日札場で売ろう。


○4月10日(日)  <鳶ヶ崎でかく>

今日は鳶ヶ崎へいってかいた。例年岩と岩の間の砂溜まりで大きなアサリが採
れるのだけど今年は砂の代わりにムール貝の貝殻が砕けて細かくなって溜まっ
ていてアサリがさっぱりいない。あちこち歩き回ってソコリ過ぎにようやく去
年大きなアサリがたくさん出た場所でまとまって採れようやく6〜7キロになっ
た。それがなかったら今日は悲惨な結果だ。

昼飯を食べてる時コ○エイ丸がやってきて「こんだけだがや」とカゴを見せて
くれたけど、ゴーヘーより多い(-"-)。

夕方札場で昨日分といっしょにしてアサリを売った。大10キロで7,800
円、中が9キロで4,700円だった。去年より大でキロ100円、中でキロ
250円ほど安い。今年もアサリが少ないといわれてるのにここでは安いなぁ。
この程度の値段は誰も札場で売ろうなんて思わないよな。


○4月11日(月)  <再び鵜の鳥島>

11時ちょっと過ぎに船着き場へ行った。すでにシンコ○丸のテンマがない。
昨日造成地で25キロかいたそうだから今日も張り切ってでかけたんだね。ゴー
ヘーはいつもの鵜の鳥島東へ行く。今日は潮が良く干る日だからここの深場を
かいてみるつもりだった。

今日も一人でかけるかと思ってたけど残念ながら後から後から人がやってくる。
昨日のシンコ○丸の25キロの話しをしてあげたら3人は造成地へ走っていっ
た。その後にやってきた3人は居ついてしまった。うまくいかないなぁ。人の
中でかくのは苦手だから結局今日は期待した程かけなかった。全部で10キロ
程度。はぁ〜。


○4月12日(火)  <雨の造成地>

今日は朝から雨模様。午前中一時止んでおりあさりかきの間だけでもそのまま
止んでいてくれないかと願ったけど、支度をして家を出たらまた雨が降ってき
て以後そのまま降り続いた。毎年一度は雨の中であさりかきをやるけど毎年あ
まり良い気分ではない。

今日は無料の場所を諦めて有料の造成地へ行った。もうあまりでないとのこと
だったけどかく人数が少ない今日のような日なら場も広く使えるからどうにか
なるだろうと考えた。造成地の中央付近はたくさんの人がかいた後なので石が
多くてみんなが敬遠していたイワテでかくことにした。

イワテは例年より砂が少ないせいで石が目立つみたい。きっと去年何度もあっ
た台風や台風並みの低気圧による波で砂が流れていってしまったんだろう。砂
は少ないがアサリはどうにか見つかり時々大きいのがかたまっていたため、な
んとか12・3キロかくことができた。昨日の分と合わせればまた20キロく
らいになるだろう。


○4月14日(木)  <朝冷えた>

「朝は冬 8時に春で 昼は初夏」な一日。

冷えた朝はまだ昨日の風も残っていたが風向きが北っぽだったので出て行った。
船着き場の船はまだ全部着いていた。じきにヒ○エイ丸がやってきて船を出し、
それに続くようにみんな船を出した。寒い。

北っぽでまだ波があることが予想できたが4ハイの船がオクゴオリを目指した。
みんな、ここ以外で魚がいる場所がわからない状態。今年は例年以上に魚がい
ない。

オクゴオリではいつもの黒部の黄タンポ付近で網をやった。船が多いからあま
り場所が選べない。あちこち走り回らずに昼までずっとこの近辺で網をやり続
けた。カラは3回、残りは毎回カレイが1〜4枚程度かかった。全長50cm
くらいの特大カレイも1枚かかって驚いた。全部で大ガレイ10枚、中小カレ
イ10枚、ハゴ数枚だった。

夕方の札場では先日かいたアサリを売った。大が約12キロで8,800円、
中が約7キロで6,300円。大はキロ733円と前回より安かった。大きな
良いアサリだったから買った仲買はお得だった。中は逆にキロ900円とバカ
高かった。このおかげで両方合わせた平均ではキロ794円と前回より200
円近く高くなった。ラッキー♪


○4月15日(金)  <カレイ大漁>

今朝も冷えた。風はさほどなくて良かったけど冷え込みは体にしみた。

今日はみんなの後を追うように西浦へ走った。そしてみんなが網をやった小野
浦でうちも網をやった。やりたい場所にはショ○トク丸が先に網をやっていた
のでしかたなくそのイワテに網を入れる。網を揚げたショ○トク丸はすぐにイ
ワテに走っていったのでカラだったようだ。うちは大ガレイ1枚(^_^)。8時半
まで小野浦でやってカレイ12枚を掴まえる。大ガレイが4枚もあった。

この後内海沖で一クラやってカレイ4枚、更に少し下って高峯前までの間で1
3時半までやる。ここでカレイを16枚、コチを4本掴まえた。大ガレイが多
くて良かった。

帰ってきて水槽に魚を揚げて大きさを揃えて数を数えたら、大カレイが10枚、
やや小さい大ガレイが11枚、中小カレイが12枚だった。4月のこの時期と
してはとても珍しい大漁だ。夕方の札場では大カレイ10枚に14,000円
の値が付いた。昨日の大ガレイ10枚よりプラス千円高かった♪。


■エピローグ

例年3月に掴まるはずのカレイが今年は4月になってよくかかる。やっぱり少
し遅れていただけかもしれません。コチもボチボチかかり始めたのでこれから
先が楽しみです。

逆にアサリは芳しくないです。島で採れるアサリが「島アサリ」と呼ばれてこ
ちらではブランドになっているのですが、その島アサリが今年は採れる量が少
なくて仲買達は四苦八苦しているようです。それなのにこの村で採れたアサリ
の値段はちっともよく上がりません。ブランド物が少ない時くらい引き合いが
強くても良いと思うのですが、そうならないのはきっと何か問題があるのでしょ
う。私のかくアサリの量は少ないですが、札場で売ることで少しでもその問題
に迫りたいです。


■次回予告

Vol.92 「漁船の値段」 2005年4月30日(土)発行予定

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright (C) 2001-2005 Gohe.


前一覧