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【Uターン漁師のゴーヘー通信】Vol.99 観天望気
                           2005年8月6日発行
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■観天望気

小型船舶操縦士の講習を受けるとそのテキストの最初に「観天望気」という単
語が登場します。小型船船長の基本的な心得がテキストの最初に載っているわ
けですが、「観天望気」はその中でも最も知っていなくてはいけない事柄なの
です。

「観天望気」とは空模様・雲行きや風向き・強さなどの自然現象から天気を判
断することです。海上で最も怖いことは天候の急変です。何も遮る物のない海
上では逃げ場も隠れ場もなく、自然の力の前に人はなすすべもありません。い
ち早く危険を予見し対処するために、常に空を眺め風を読むことが重要となり
ます。これまでゴーヘー通信でも何度も風や雲の話しをしてきました。

さて話は変わりますが、地元東海地方のテレビ局のローカル番組でこの「観天
望気」を取り上げている番組があります。毎週土曜日の夕方、えなりかずき君
がキャスターになっての1時間番組です。毎週気象予報士がゲストとして登場
しお天気の解説をやったり、東海地方の各地でお天気に影響を受ける仕事をし
ている人を取材して(生放送で)その人に明日の天気を予想してもらったりし
ています。

私が面白いと思うのはこの「仕事はプロだが天気解説は素人」の人の天気予想
です。「天気解説は素人」と書きましたがこれは人に説明するのが不慣れなだ
けで、「天気予想はプロ」なのです。そしてその人達の「観天望気」が皆それ
ぞれ独特で個性豊かなのです。説明は拙いからえなり君に「どうしてそう思う
のですか?」なんて聞かれるとしどろもどろになったりするのですが、その人
流の「観天望気」を説明している時には自信に溢れています。

その人達の予想と自分達の予想はたいてい一致するわけですが、番組を見てい
て登場するそれらの人達の「観天望気」にある特徴があることに気づきました。
「観天望気」には漁業系と農業系があるようなのです。

漁業系の「観天望気」は中心が風です。まず風がどのように吹いているかに注
目し、雲行きや空模様は風の付加的な情報という位置づけです。そして明日雨
が降るかどうかは重要視しせず、明日どのような風が吹くかに視点が置かれて
います。ですからえなり君の「明日の天気はどうでしょうかね?」という問い
かけにやや躊躇して返事する方が多いです。

一方の農業系は雲と風を一体として捉え明日晴れるかどうか、雨が降るかどう
かをきめ細かに判断しています。えなり君の問いかけに対しても自信を持って
答える向きが多いのも農業系の特徴です。

この両者の違いは、おそらく漁師は雨が降っても雪が降っても風さえ吹かなけ
れば漁ができるけど、農業は晴れと雨のバランスが重要で雨が降らないことは
即農作物へ影響することに起因しているのだと思います。農作物がうまく育た
なければ減収へ直結するので明日以降の天気がどうなるかは漁業以上に重要な
のでしょう。


自然相手に暮らす生活でないと空を見上げることも少ないかも知れませんが、
たまには皆さんも「観天望気」をしてみてはいかがでしょう。その際、漁業系
だと明日雨でひどい目に遭うかもしれませんので、できれば農業系の観天望気
にチャレンジしてみてください。


■今週のゴーヘー

引き続きブログにてご覧ください。

http://blog.livedoor.jp/gohe/


■エピローグ

連日最高気温が35度を越え、場所によっては38度を越える地方もあるよう
です。毎日猛烈に暑くて海水温(海面付近)が高くなりすぎて、ついに魚がカ
ンコで死ぬようになってきました。酸欠でもないのに魚が死んでしまうなんて
初めての体験です。

それほど今年は暑いのか?。いえいえ去年も随分暑かったです。では去年との
違いは何かと言えば、それは「海が荒れない」ことです。去年はいくつもの台
風がやってきて一週間から10日おきくらいで海が荒れて撹拌されていました。
おかげで上下の海水が混じって低層の貧酸素状態が緩和され海水温も適度に下
がったのでしょう。

それが今年は7月以降海が荒れたのは台風7号がかすめた1度きり。海の上下
層の撹拌はわずかですぐに元に戻ってしまったのでしょう。

晴れ続きで毎日漁ができるのは良いことばかりではないようです。


■次回予告

Vol.100 「漁師は短期」 2005年8月20日(土)発行予定

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